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ブレイヴウィングス-Brave Wings-  作者: 鷹尻 光
第一章 出会い・目醒め
1/5

プロローグ~少年のはじまり

少年は、廊下に広がる血だまりの中心に倒れていた。

そして、正常に働かない思考で自分という存在を見つめ直していた。

いったい自分は何を間違ったのか。何がいけなかったのか。

そんな意味のない疑問が脳内を支配する。

実を言うと、少年は昔から、本当の意味で人間という生き物を信用したことはなかった。自分に関わる人間は必ずどこかで自分を利用するつもりだと考え、裏切られる瞬間を思い常に怯えていた。

理由は、自分でもわからないし、いつそんなことを考えるようになったのかも覚えていない。

あるのは、過剰で根の深い人間への不信感のみ。

当然、自分も人間なのだから、自分さえも信じられなかった。

それ故、自分が信頼されている、などと思ったこともない。たとえ何かの間違いで自分が高い評価を受けることがあっても、自分が失望され、否定される瞬間が来るのが、恐くて怖くて仕方がなかった。

これは、人間不信の詰めが甘かった故の結果なのか。それとも______________

(逆…だろ…)

自らも人間なのにもかかわらず、かかわりを持った人間を心から信用しなかったツケが、今になって回ってきた。と思った方が自然だろうか。

これは天罰で、目の前の人物は、自分を裁くために神様から遣わされた者。

ああ、そう考えるとすべて納得できる。人間不信の俺がなぜ今回に限って人を信じてしまったのかも。天罰からは逃げられない。そういうことだ。

自分には、この世界に生きる権利なんて最初からなかったんだ。この結果は、それがばれるのが15,6年遅かっただけの話。

いない方がいい、自分なんて。

そこまで考えたところで、彼は笑った。

傷の痛みに口元を歪めただけかもしれない。しかし、これを第三者が見ていたとしたら、こう表現するに違いない。

まるで己を嘲笑わらっているようだ、と。

そうして、目の前の人物を虚ろな目で見つめながら、彼の意識は暗闇へ堕ちていく。

世界がひっくり返る。

風が止む。

人形を縛り、操る糸はどこかに消え、人形は自由に動き回る。


意識をなくす直前、少年は目の前の人物にどのような感情を抱いただろうか。

感謝した?

命乞いをした?

救いを求めた?

否。彼が抱いた感情は、



ひどく暗く、哀しかった。

スイッチは切れず、切り替わる。



2017/4/5 全体的に表現を改め、描写も追加しました。

2018/3/14 細かい表現、言い回しを修正しました。

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