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01. A Letter from Vivian to Him



 親愛なるあなたへ


 最後にあなたから受け取った手紙を、毎日何度も読み返しています。

 あなたの勇気を尊敬します。

 そして、あなたの優しさに何度も励まされます。

 あなたが無事であればいいと、昼も、夜も、夢の中でさえ、いつも祈っています。

 戦火のようすは時々、都会へ出た町人たちから伝え聞いていますが、耳に届くのは恐ろしい話ばかり。ほんの数年前は戦いに出た者の猛々しい戦果や、祖国の英雄たちの話を聞きましたが、今や聞こえてくるのは辛いことばかりになりました。

 この小さな町でさえ、例外ではないのです。

 先日は、出兵していた町長の息子の戦死の知らせを受け、町中が喪に服していました。しばらく返事を書けなかったのは、そんな理由があったのです。

 食料は日に日に貧しくなり、昔は簡単に手に入った贅沢品──なにげないものです。レースの帽子や、新しい手袋のような──が、お店から消えていきます。ときには、お店そのものが閉まってしまうことも。


 今まで、こんな話を私の方から書いたことはありませんでしたね。ごめんなさい。本当に苦しいのは戦地にいるあなたがたなのだと、よく分かっています。

 ただ、上に書いたような、町長の息子の死があって、少し気が沈んでいるのかもしれません。


 アナトール、私にとって唯一の救いは、あなたが無事であるということだけです。


 たとえば、カーテンの隙間から淡い朝日を受けて目を覚ます朝。

 食料庫はもうほとんど空っぽでも、

 日が暮れるまで牧場の世話をしなければならないと分かっていても、

 あなたが私のもとへ帰ってきてくれる日を思うと、すべてが驚くほど簡単に受け入れられるのです。


 そして日が昇って、焼けつく太陽の下で、牧場の草をむしっていたとしましょう──雑草の先は鋭利で、時々指を切ってしまいますし、小さな困った虫たちが汗の匂いに惹かれて群がってくるうえに、あちこちに馬たちのフンが落ちています。

 逞しいあなたは笑うかもしれませんが、私には大変な仕事なのですよ? 汗だくになって、身体中が悲鳴を上げます。

 それでも……ふと目を閉じると、私にはあなたの声が聞こえます。

 どこか遠くから風に乗って、あなたの声が届くような気がするのです。あなたの落ち着いた声が、私の名前を呼んだり、優しく慰めてくれたりするのが聞こえる気がして、私は後ろを振り返ります。

 すると、背後に広がるのは抜けるような青い空だけで、あなたはいません……。

 今は、まだ。

 でもその時、風が吹きぬけて私の頬を気持ちよくなでると、感じるのです。あなたがどこか遠くから、ほんの少しでも、私のことを思っていてくれていると。


 そんなふうに、私はあなたの帰りを待っています。

 いつか本物のあなたが、牧場にたたずむ私にこっそりと近付いてきて、後ろから優しく抱きしめてくれる日を夢見ています。

 あなたは、私の救いであり、望みであり、現実に一番近い夢なのだと思います。


 どうかお身体を大事になさって。

 ときには、勇気よりも大切なものを守ってください。あなた自身を。

 私は、一国民として、立派な将校として身を立てたあなたを尊敬しますが、同時にあなたの帰りを待つただの女だということも、忘れないで。


 ──愛を込めて、ヴィヴィアン



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