薫の日常 〜永遠亭編〜
日常編ラスト。
昨日、帰ったら当たり前のように霊夢が夢想封印を放ってきた。満面の笑みで。
僕は全ての球を受けた。僕はよけなかったのではない。よけれなかった。それほど霊夢からの怒気が怖かったのだ。立ち尽くしてましたよ。はい。
そして、今は朝。
霊夢はさっき朝飯を作り置きして、何処かへ行ってしまった。…さて、食べるか。
今日の朝飯は、
ごはん、味噌汁、タクアンに生姜焼き。
さっき出かけたからまだご飯がホクホクしている。
「いただきます」
まず、タクアンを一個取り、口に放り投げる。…うん。やはり美味しい。このシャキシャキ感がたまらない。
次は味噌汁を…ズズッ。やっぱり味噌汁は美味しい。特に霊夢の味噌汁は本当に美味なんだよ。皆も宴会の時とかおいしいおいしい言いながら食べる。
そして、生姜焼きとご飯を一緒に口へ放り投げる。…こ、これはっ!
「うまいっ!」
き、今日の生姜焼きはいつもと違う!僕が今まで食べてきた中で一番美味い!何だこれは!
****
「ごちそうさま…っと」
速攻で全てを食い終わった。
「…さて、久しぶりに家でお茶飲みながらせんべいでも食べるかな」
そうと決まれば、早速お茶を入れてせんべいを出してあとはコタツに入るだけだ。
****
ズズッ…ハー
バリバリ…
いやぁ、いいねぇ。久しぶりだわ、こういうの。今は冬だしあったかいお茶はいつもの倍美味しいし、せんべいは僕好きだし。…はぁ、このまま寝ちゃおうかなぁ。ホクホク…
クカー………スピー……………
****
「…………い………る〜……!」
「…ーーーい!……おるーー!」
「おいこら!薫!!起きやがれ!!!」
ゴスっ!
ゴフッ……
「な、何だ!?」
「何だって…。お前すんげー爆睡してたな」
び、ビックリしたぁ…。僕が寝てたら急にど突かれて、跳ね起きたよ…。
「…で?どうしたの?もこたん?」
「おう!いや、今日はたけのこいっぱい取れたから分けてやろうと思って」
「お、ありがとう」
この子はもこたんこと藤原妹紅。彼女も僕と同じ元々人間だったけど、今は蓬莱人である。髪の毛も同じ白。彼女の方が髪は長いが良く人里の人に兄妹だの何だの言われる。
「もこたん、最近どうしてたの?」
「…輝夜と少し…な…」
「そ、そうか…」
輝夜…永遠亭の蓬莱山輝夜と彼女はずっっと殺し合っている。まぁ、二人とも蓬莱人だから死なないけど。殺し合っている理由は…まぁ、昔色々あったのだ。
「んじゃな」
もこたんはそそくさと後ろを向き、帰ろうとした。
「ん?何だ?もう帰るの?」
「帰って欲しくないのか?」
顔を染めながら振り向くもこたん…。す、少し可愛いかも…。いやいや…。何考えてるんだ。
「い、いや。いつもはもう少しいるから…」
「私ももう少しいたんだけどよ、慧音が…」
「あ、そっか。なら、仕方が無いね」
「また、遊びにくるよ。じゃ」
「おー」
そう言ってもこたんは人里に向かっていった。
…さて、僕はどうしようか…。まだゴロゴロしてても良いんだけど、何か外に行きたくなってきた…。…………そうだ!久しぶりに永遠亭に行こうかな。永琳とか鈴仙とかにも会いたくなってきたよ。
****
「おーい!」
永遠亭への道のりは知っているので、竹林では迷わずすぐ永遠亭についた。…てゐの罠も長年の経験で場所を知っている。
「…あら、薫?どうしたの?」
永琳が何か眠たそうに出てきた。
「…寝てた?」
「…いえ、ウトウトしてただけよ」
「それを人は寝てたという」
「人じゃないから、私」
「…はぁ」
彼女は八意永琳。月人で蓬莱人。まぁ、昔色々あってね。彼女とは古い友人である。
「いや、ただ遊びにきただけだけど…」
「そう…。なら勝手に入っていいわよ。あなただし」
「…どんだけ眠いの…」
「昨日、徹夜したのよ…。だから眠い…」
そう言うと永琳は永遠亭の中に入っていった。…本当に眠かったのか…。ごめんね、永琳。
「おじゃましまーす」
永遠亭に入ると…誰も向かえてくれなかった…。なんだか泣きたくなってきた…。もう良いもん。勝手にお茶入れるもん。
****
ズズッ…ハァ…
で、結局コタツに入りながらお茶飲むんだね…。でも美味しいからいいや。
ここは僕の部屋。永遠亭のね。永琳と輝夜が良心で作ってくれた部屋だ。まぁ、家具はコタツくらいしかないんだけど。…掃除してくれてるのか、埃ひとつも無かった。…ありがたい。
……………ハァ。このまま寝ちゃおうかなぁ。気持ちが良くなってきた…。
「何で人ん家来たそうそう寝るのよ…」
「ふぁ?」
目を開けるとそこには輝夜が立っていた。もう少しで寝れたのに…。
彼女は蓬莱山輝夜。姫様である。容姿は姫様だけの事はあり、びっくりするくらい美人なのだが、性格に少々問題がある。まず、引きこもりである。永遠亭から外にあまり、というか全然出ない。あと少し腹黒い。
さっきも説明したが、もこたんと昔、色々あったのだ。
「だって、誰も向かえてくれないんだから。遊びに来たのに…」
「ごめんなさいね。変わりに私をあげるわ」
「いらないよ?」
…あと、僕に猛アタックしてくる。姫ゆえに、何でも手に入らないと気がすまないらしく、会うとなかなかに猛アタックしてくる。
「仮にも姫がこんなにアタックしてるんだから、少しは反応しなさいよ」
「いや、輝夜はアタックし過ぎなんだよ…」
「久しぶりに会うしさ…。チューくらいさせてよ」
「え?やだよ?」
「当たり前のような顔しないでよ!」
会うたびにこのような会話をする。もう……慣れた。
「姫様ぁ。師匠が呼んでまs…って。あ、薫さん。来てたのですか」
そこにうさ耳の女の子、鈴仙優曇華院イナバが来た。彼女は永琳の弟子(実験台)である。
「…鈴仙も僕が来たの気づかなかったのね…」
「私はさっきまで薬漬けにされてましたから」
「またか!」
てか、永琳起きてんじゃん!何なの?さっきの演技?
「永琳は何処にいるの?」
「師匠ですか?師匠の部屋にいるハズですけど」
「そうか。ありがとう」
「ちょっと、薫!チューまだしてないわよ!」
「だからしないって!」
さて、永琳に会ってさっきの演技について話し合おうか!
待ってろよ〜、永琳!今行ってやるから!
( ゜∀゜)o彡°えーりん!えーりん!
****
「たのもーー!」
「ギャ!な、何なの?薫?」
永琳の部屋に凄い早さで入ったら、ビックリしたみたいだ。少し反省。だが!
「さっきの眠たそうなのは、演技だね!?」
「ええ、そうよ」
「何でだい!?」
「そう言えばあなたの顔を見れなくて済むからよ」
…聞かない方が良かったよぉ!!!!僕って嫌われてるの!?え!?そうだったの!?ヤバイ!涙が止まらない!
「…嘘よ。そんなに泣く事ないじゃない」
「…あ、嘘なの?」
「ええ、眠たかったのは本当よ。さっき薬飲んで眠気を吹き飛ばしたのよ」
僕はからかわれただけだったのか。
「で?どうしたの?」
「いや、僕は演技か否か確かめたかっただけだよ」
「そうじゃなくて、ここに何しに来たのってことよ。本当に遊びに来ただけなの?」
「うん。そうだよ」
「あら。本当だったのね。なら、お茶でもしようかしら?ウドンゲとか姫とかも誘って」
「そうだね。久しぶりに皆でお茶しよう!」
僕らは夜までお茶を飲みながら、久しぶりにこの面子でいっぱい駄弁った。
(おまけ)
「今日てゐ見てないけど?何処にいるの?」
「あー、てゐは今罠を作ってるわ」
「違うわ。永琳。ただの罠じゃないわ」
「姫様、ただの罠じゃないって?どういう事です?」
「良く聞いたわねウドンゲ!それは薫専用のわn…」
「輝夜。ちょっと表出ようか」
「え?何で?って、キャァァァァ!!!」
本編まであと1話。