第三章 裏路地
俺は今通学路と全く反対の道をあの理科の教師と歩いている。あの時、俺は答えを告げた。
そうすると彼女は、着いて来いとだけ言い歩き始めた。
俺はその小さい背中に着いて行く。
「あの、まだ目的地には着かないんですか」「あともう少しだ、我慢しろ」
その内に彼女は静まり返ったシャッター商店街の裏路地に入って行く。その路地には野良猫1っ匹見当たらなかった。彼女はそこで足を止める。
「着いたぞ、ここが目的地だ、さあ私を抱け」
ああ、この人はなんなのだろう、人を驚かすのが好きなのだろうか、まだ俺は図書室に入ってからのこの人の行動を何一つ理解できていない。きっと心が読める亀の甲羅を背負った仙人ぐらいしか理解できないだろう。
「あの先生、せめて説明をしてください。なんとなく着いてきたけど、いきなり抱けって意味わかりません」
俺は説明を求めた。
「どうせ説明した所でお前は分からん。実際に身を持って体験したほうが早い。体験にまさる説明はないからな」
まったく意味は分からんが、うんあれだ、この人は教科書で教えるより実験で教えるようなタイプなの
だろう。理科だけに・・・
「いいから私を抱けと言っているのだ。重力から開放されたいのだろう?それとも、ああそうか私を抱くの恥ずかしいのかふっふっ。やはり思春期まっしぐらの高校生なのだな」
彼女は少し嬉しそうに笑う。
「いや、俺はロリコンじゃないですし・・・まあ抵抗がないわけでわ、、ぐはっ」
見事に蹴りが腹に入った。
「なんだとぉ・・・今の貴様の口ぶりだとまるで私の容姿が幼いとでも言いたげだな」
彼女は眉間にしわを寄せながら顔を近づけてきた。
「ごほっ、、済みません、今のは失言でした・・・しかし抱くと言ってもどう・・・」
俺は咽ながら質問する。
「適当に腰でも掴め、手間を取らすな」
疑問を残しながらもいやいや彼女の腰に手を回す。その時、ふわりと髪からいい匂いがした気がした。
「さぁいくぞ!お前に新しい世界をみせてやる」