第一章 非凡な日常
「おい三枝、飯食おうぜ」
そう話しかけてきたのは隣の席の藤野。
別に仲がいいと言うわけではない。
ただ俺がいつも暇そうにしているから声をかけて来るのである。
そういうとき俺は適当に肯き席を45度回転しくっつける。
「なあ、お前ってなんかいつも俯いてるというかぼーとしてないか?」
「そうか?授業がだるいだけだよ」
勿論これは嘘である。今でも「浮く」妄想は日常茶飯事だ。
「お前って部活入ってないけど家で何してるの?」
こういう質問の回答は決まってる。
「寝てる」
周りが一斉に笑った。もう少し詳しく説明すると俺の日常は学校から帰ってきたら、まず寝て起きたら飯食って、適当に勉強してゲームか本でも読んでまた寝る。そういう半ニート生活を送っている。
そんなことをしている内に、昼休みが終わり5時間目のチャイムが鳴った。
教師が入ってくると周りが騒ぎ始めた。入ってきたのは、今年から配属になった女性の教師。
「こんにちは、今年からこの高校に入りました川原絵里です。皆さんと同じ1年生ですよ。担当は理科、趣味は料理です。ちなみに彼氏はいませんよ。良ければ絵里先生って呼んでくださいね」
俺は目を疑った。見た目はほとんど中学生でいわゆる童顔。慎重も150cmがいいところだ。髪は黒のストレートで腰ぐらいまである。化粧もほとんどしていない様に見えるが、たしかに美人だ。、いやかわいいのほうが合ってるかもしれない。
クラスの男子は大はしゃぎで、教師は質問攻めにあっている。
彼女はいやな顔1つせず、それに1つ1つ丁寧に答えていた。
俺は配られた新しい教科書に、重力について書いてあったので暇つぶしに読んでいた。気のせいだろうか、その時彼女は本を読んでる俺をまるで睨み付けて見ている様だったのは