表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/76

8-1・剣の技術

 朝になって目が覚める。眠れないって思ってたけど、いつの間にか眠っていた。


「あれぇ?真田さん?」


 真田さんのベッドはカラッポ。どこに行ったんだろう?まぁ、健康的な男子としては起き抜けに女子に会わずに済むのは助かる。でも心配なので、廊下に出て探していたら、外から「えいっ!」「やぁっ!」と威勢の良い声がする。

 顔を出したら、庭で真田さんが剣の素振りをしていた。


「おはよう」

「あっ!尊人くん、おはよう!」

「早起きして剣の練習?真田さん、すごいね」

「早起きってより寝られなくてね。体動かしてスッキリさせてるの」


 明るくなると同時に起きて、軽くジョギングををして、今は素振りをしているらしい。真田さん、旅の緊張感をキチンと維持してるんだ。シッカリ熟睡していた自分が恥ずかしい。


「僕も剣の練習しよっ!」


 剣術って、漠然と剣を振り回して上達するんだろうか?よく解らないけど、ジッとしてられないので、部屋に戻って先生の剣を持って庭に出る。


「尊人くん、試合やってみない?」

「剣で?」

「うん」

「真田さんって、剣でモンスターと戦ったことあるの?」

「無いっ!実は剣を抜くの、今日が初めて」


 そう言えば真田さんって、この世界に来て最初の2日間は、隠れっぱなし&モンスターから逃げ回ってたんだっけ?


「剣なんて怖くて使う気になれなかったし、村にいる時は使う必要無かったけど、

 少しくらいは戦えるようになっとかなきゃな~って思って」


 僕が頼りになれば、真田さんが戦う練習なんてせずに済んだんだろうな。危険な旅に付き合わせてしまったことを、申し訳なく感じる。


「そっか。なら試合やってみよう」


 刃を剥き出しにして試合するのは怖いので、鞘に入れたまま剣を構えた。すると、真田さんも「そりゃそうだね」と、剣を鞘に納刀してから構えた。


「いくよっ!・・・やぁっ!」


 真田さんが突進してきて剣を振り下ろしたので、僕の剣で受け止める。2度3度と剣を打ち下ろしてきたので全部受け止める。女の子相手に(というか誰に対しても)剣なんて振るいたくないので、僕は防御に専念する。

 もう2回ほど剣をぶつけ合ってから、真田さんは大きく後退をした。


「ちょっと休憩。手が疲れちゃった」


 真田さんが剣を手放したので、僕は構えを解いた。

 僕自身、剣の格好良い振り方なんて解らない。だけど、多分、真田さんよりはマシ。だって、真田さんの体格に対して剣が大きすぎて、ロクに振るえていない。「真田さんの身長と剣の長さが同じくらいなんじゃね?」と錯覚してしまうほどだ。


「尊人くんは?俊一くんと一緒にモンスター倒してたんだよね。

 本読んで、モンスターの研究してたもんね」

「本を読んでたのは強いモンスターに遭遇しない為の研究。

 僕はモンスターを牽制してただけで、倒したのは柴田くんね。

 だから、実績は真田さんとほとんど変わんないよ」 


 僕の持つ剣の鞘は鉄拵え。真田さんの持つ剣の鞘は革拵え。当然、僕の武器の方が重い。でも、多分、真田さんは腕の筋肉が少なすぎて、剣をまともに振り回せてない。


「その剣、真田さんには重くない?」


 突進してくる真田さんには迫力があるんだけど、剣を振った途端にヘロヘロになってる気がする。


「メッチャ重い!10回くらい振ってると、腕が痛くなっちゃう

 もうちょっと腕の筋肉付けなきゃだね」


 あまり人のことは言えないけど、「そんな状況でよく2日間も森の中で生き延びられたな」「オークの攻撃をかいくぐれたな」と感じてしまう。


「ねぇ?真田さんの特殊能力ってどんなスキル?」


 特殊能力のお陰で生き残れたようにしか思えない。


「僕のはね、レンタルっていう能力」


 他人の切り札を聞くんだから、礼儀として先に僕の切り札を説明する。


「なんか借りるの?武器とかお金とか?」

「人の特殊能力を大幅に制限された状態で借りるの。

 凄く使いにくくて、どこでどう使えば役に立つのか解んない能力なんだよね」

「へぇ~・・・誰かの能力、借りたことあるの?」

「うん・・・まぁ・・・

 借りっぱなしで返せなくなっちゃった力石先生のリターンね」


 僕は特殊能力を発動させて、目の前にカード化されたリターンが浮かんでいる状態を真田さんに見せる。


「この状態で選択すると使えるようになるの。

 一時的に現実世界に戻れるんだよ。

 まぁ、この世界の時間が急激に経過しちゃうから、今は戻る気が無いけどね」


 もし真田さんが「現実世界に戻ってみたい」って言ったらどうしよう?直径1.2mの入り口しか作れないから、密着しないと同時に通れない。説明したら「それなら戻らなくていいや」って言われてしまいそうだ。


「あたしのはね、ピークエクスペリエンスってゆーの」

「ぴーくえくす・・・・・・なにそれ?」

「え~~~っとね・・・どう説明すれば良いんだろ?」


 真田さんは、剣を拾って鞘から抜き、剣を手放して鞘を構えた。


「『いいよ』って言ったら、尊人くんの鞘であたしを攻撃してっ」

「はぁ?」


 真田さん、僕に「鞘で殴りかかってこい」って言ってる。攻撃を食らってもダメージが通らない特殊能力?だから2日間も死なずに済んだってこと?


「手を抜かれちゃうと説明が上手くできないから、本気で殴りに来てね」

「だ、大丈夫なの?」

「多分ね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 もの凄く気が進まない。鞘で思いっきりぶん殴っちゃったらどうしよう?ここは、真田さんの言い分を信じるしかないのかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ