表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/309

第48話



「……ハッ」


沈黙を破ったのは、ルナティアだった。


彼女はオリカを見つめ——


ククッ、と喉を鳴らして笑った。


「ハハッ……ハハハハハ!!」


彼女の 笑い声が、夜の静寂を破る。


「おいおい、なんだよそれ」


ルナティアは楽しげに目を細めた。


「テメェ、“命” そのものを操るってのか?」


彼女の紅い瞳が妖しく光る。


(ルナティア……笑ってる?)


オリカは、不気味な寒気を覚えた。


(まるで、私の力を試したがってるみたい……!)



「へぇ……これはますます面白くなってきたな」


ルナティアは 片腕をゆっくりと持ち上げる。


すると——


漆黒の魔力が、まるで鎧のように彼女の腕を覆っていく


その表面には、不気味な紋様が脈打つように浮かび上がった。


黒魔術と剣技を融合させた、“戦闘形態”。



——“黒の武装”。



「オレの力、もっと試してみるか?」


——ゴォォォッ!!!


ルナティアの魔力が 急激に膨れ上がる。


空気が 圧縮され、周囲の草木が軋む。

地面がルナティアを中心にヒビ割れていく。


「っ……!」


オリカは思わず後ずさった。


(ダメだ……これは、今の私じゃ止められない!!)


エリーゼやライゼン、セフィナも 警戒の色を強める。


「——やめなさい。」


その時だった。


低く、落ち着いた声が響いた。







「ルナティア、下がりなさい」


その言葉とともに、夜の闇の中から 一人のダークエルフが現れた。


彼女の名は——



《フレン・ノクターン》


 ⚪︎ ダークエルフの村“ノワール・ヴェイル” の住人であり、リーダー

 ⚪︎ “黒魔術” を極めた魔導士であり、村を守る守護者

 ⚪︎ ルナティアの“保護者” でもある人物




「……チッ。」


ルナティアは舌打ちをする。


「なんだよ、フレン。邪魔しに来たのか?」


「お前が勝手に暴れまわっていれば、止めに入るのは当然だ」


フレンは 静かにルナティアを見つめた。


「これは“戦い” ではない。

無意味な衝突は、我々の未来を閉ざすだけだ」


その言葉には 揺るぎない威厳があった。


(この人……ルナティアと同じダークエルフ?

でも、雰囲気が全然違う……)


オリカはフレンの佇まいに、奇妙な威圧感を感じた。


彼はルナティアと同じ“闇” を持っているのに、どこか洗練された気品が漂っていた。



「……お前たち、“ノワール・ヴェイル” に来い。」


フレンはオリカに向き直る。


「ノワール・ヴェイル?」


「我らダークエルフの村だ。」




《ノワール・ヴェイル》


 ・闇の森の奥深くに存在する隠れ里

 ・かつてヴァルキア帝国の侵攻を受け、人間との対立を深めた

 ・フレンの治める村は、戦争を避けるために“隠れる” ことを選んだ




「ルナティアの“呪い” について、知りたいのだろう?」


「……!」


オリカの胸が高鳴る。


(ルナティアの呪い……!)


「お前に、その“答え” を見せてやる」


フレンは、そう告げると、再び ルナティアへと視線を戻した。


「ルナティア、戻るぞ」


「……クソッ」


ルナティアは魔力を収める。


漆黒の鎧が霧のように消え、元の姿に戻った。


「——テメェ、面白ぇな」


ルナティアはオリカを睨みつけ、ニヤリと笑った。


「その力、いつか本気で試してやる」


オリカは 息を呑む。


(……この子は、まだ私を試してる。)


(でも、少しだけ……“違う表情” をしている気がする。)


「行くぞ、ルナティア。」


フレンの一言で、ルナティアは 不服そうに肩をすくめながら、闇の中へと消えていった。


こうして——


オリカはダークエルフの村“ノワール・ヴェイル” に向かうことを決意するのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ