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第34話



「ギィィィィ!!!」


黒い影が森の茂みから飛び出してきた瞬間、馬車の中の空気が一気に張り詰めた。


オリカは 馬車の窓から身を乗り出し、森の中をじっと見つめる。


(ちっちゃい……けど、牙が鋭いな。)


目の前に現れたのは、黄緑色の肌をした小さな怪物——ゴブリンだった。



■ ゴブリンの特徴

 ・小型で群れを作って行動する

 ・基本的には知能が低く、動物的な本能で動く

 ・人間を襲うこともあるが、単体なら脅威は少ない



「オリカ様、危ないですよ! 下がってください!」


エリーゼが杖を構え、護衛の兵士たちも構える。


「いやいや、ちょっとここは私に任せてって!」


「は?」


オリカは手をかざし、治癒魔法を発動する準備を始めた。


「治癒魔法が魔獣にどんな影響を及ぼすのか、試してみたいんだ!」


「オリカ様、今それやるんですか!?」


「うん!」


オリカの手のひらが淡い光を放つ。


ゴブリンの体に向かって、治癒魔法を照射した——。



「……どうなる?」


馬車の周りにいた皆が固唾を飲んで見守る。


治癒魔法の光がゴブリンの体を包み込んだ瞬間——


「ギャァァァアア!!?」


「えっ!?」


ゴブリンが突然、地面を転がり始めた。


「ちょっ……なんで!? 痛がってるの!?」


オリカは目を見開いた。

自分の治癒魔法は、本来なら傷を癒し、生命力を活性化させるはずだった。


しかし、ゴブリンはまるで焼かれたように体を震わせ、苦しみ悶えていた。


(……ちょっと待って、まさか……)


「オリカ様……治癒魔法がゴブリンには“毒” になってるみたいです」


エリーゼが、静かに分析する。


「毒!? どういうこと!?」


「おそらく、ゴブリンの体には“負の魔力” が流れています。」


「負の魔力?」


「魔獣は世界樹の魔力の影響で生まれるものですが、その中には“負の魔力” を宿した存在がいるのです。

オリカ様の治癒魔法は“生命力の増幅” を行うもの。

つまり——負の魔力を持つ魔獣には、“逆効果” になる可能性が高いのです」


「……つまり、治癒魔法が、こいつにとっては“聖なる力” みたいに作用したってこと?」


「ええ。聖霊や神聖魔法に近い作用を持っているのかもしれません」


「……なんか、めちゃくちゃ面白いね!!!」


オリカは 瞳を輝かせた。


(ってことは……この治癒魔法、魔獣に対して“攻撃手段” にもなるってこと!?)


「……オリカ様、興奮してませんか?」


ルイスが少し引いた顔で見てくる。


「いやいや、新しい発見ってワクワクするでしょ!?」


「……まぁ、オリカ様らしいですね」


とりあえず、ゴブリンは苦しみながら森の中へ逃げていった。


「ふぅ……戦闘にならなくて済んでよかったです」


エリーゼは剣を収め、護衛の兵士たちも安堵した表情を浮かべる。


「さて……治癒魔法の研究を進める必要がある感じだね」


オリカは、馬車に戻りながら新たな疑問を整理し始めた。



■ 新たな発見

 ・治癒魔法は負の魔力を持つ魔獣には“ダメージ” になる

 ・魔獣の種類によっては、魔法の影響が異なる可能性がある

 ・治癒魔法を応用した“対魔獣技術” を開発できるかもしれない——




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