この世界の基本単位について
■ 長さの単位体系(メルト(Melt))
▼ メルト(Melt)とは
エルドラシア大陸において標準化された「距離の基本単位」。産業革命以前より地域ごとに異なる「歩測」や「馬車走行距離」が用いられていたが、帝国統一以後、交易・輸送・工学発展の必要性から統一単位として制定された。
▼ 歴史的背景
古代エゼル王朝では、「ファスティ・ライン(Fasthi Line)」と呼ばれる大地測量網が築かれており、測量者の平均的な一歩を基準とした長さの単位が使われていた。
のちにラント帝国がこの測量網を統一規格化する過程で、「1エル=約0.566メートル」という単位が使われ、それを「2エル = 1メルト」とすることで、土地管理や建設、軍事陣形の単位として広く普及していった。
▼ 起源
メルトの起源は、古エルゼリア学派によって提案された「正午に地表を移動する日光の長さ」にある。
当時、1メルトは「夏至の日、帝都ルーヴェンの王宮前広場に立てた基準柱が正午に投影する影の長さの等倍」とされた。
▼ 帝国標準への採用
産業革命期(A.C.950年以降)、都市間交通の整備と魔導鉄道の開通に伴い、物資輸送・地図作成・建築設計における「誤差統一」が必須となる。
これにより、ラント帝国技術局により、「1メルト=基準結晶振動(マナ脈波)に基づく標準尺」として再定義された。
▼ 数学的/測量的見地
・1メルト ≒ 1.132m
・小数表記・計算にも使えるため、10メルト=11.32mといった具合に計算がしやすい。
・「メルト」はさらに細分化されている。
▶︎1メルト = 100「ネル(nel)」
▶︎ネル ≒ 1.132cm
▼ 数学的・物理的定義(近代以降)
・1メルト ≒ 1.132 メートル(実際にはこの世界の平均的な成人女性の自由歩行速度「約1.12〜1.54m/秒」に相当)
・物理的には、「帝都の標準魔導振動1,000,000周期のエネルギー転移距離」によって規定される。
・計測は「魔導干渉計」または「マナ干渉杖」によって正確に測られる。
▼ 文脈と文化的意義
・軍事分野では「5メルト陣形」などの表現で使われ、個人の立ち位置の距離感を示す尺度として重宝。
・建築や配送業においても、通路の幅や橋の長さなどにおいて「メルト」が標準単位。
・一方で、「50メルトの距離感」という表現は、会話や戦闘での**絶妙な間合い=“一息で届くか、届かないか”**の感覚を象徴する比喩的表現としても定着している。
▼ 使用文化・比喩表現
・「五十メルトの距離」=弓兵が必中圏に入る間合い(特に戦術用語として)
・「一メルトの余裕」=わずかな差、または猶予を意味する
・「千メルトの誓い」=長距離の旅や約束を意味する詩的表現
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■ 重さの単位体系(セル(Cer))
▼ 基本単位:セル(Cer)
・1セル ≒ 1.5kg(成人が片手で無理なく持てる標準的な重量)
・語源は古代エル語の「sèr=担ぐこと」から
▼ 補助単位:
・1デセル(Decer)=0.1セル ≒ 150g
・10セル = 1ルオ(Ruo) ≒ 15kg
・100ルオ=1トウム(Toume) ≒ 1.5トン
▼ 用法と文化的意味:
・農産物や獣の肉、金属素材の計量に使用。
・「20セルの荷」は旅人が一日かけて運べる分量の基準とされる。
・郵便や配送業では、「1ルオ以下なら迅速便」とされ、料金が変動。
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■ 重さの単位:グラント(Grant)体系(国際単位系)
▼ 名称と記号
・基本単位名:グラント
・記号:gt
▼ 基本定義
・1グラント(1 gt)は、この世界における標準物質「クリスタリナ鉱(Crystallina)」の1立方リラ(= 10㎤)が自然状態にある際の質量を基準として定義されている。
この鉱石は、帝国標準庁(ISB: Imperial Standards Bureau)によって精製・保管され、帝都ルーヴェンの「計量の塔」にて定期的に校正されている。
▼ 単位の階層体系(十進階層)
【単位名/記号/換算】
□ キログラント / kgt / 1,000 gt
□ ヘクトグラント / hgt / 100 gt
□ デカグラント / dgt / 10 gt
□ グラント / gt / 1 gt
□ デシグラント / dgt / 0.1 gt
□ センチグラント / cgt / 0.01 gt
□ ミリグラント / mgt / 0.001 gt
▼ 歴史的背景と由来
・背景:
ラント帝国ではかつて、穀物一袋や水の一瓶など、用途ごとに異なる単位が使われていたが、産業革命に伴う「統一単位法(A.C.948年制定)」により、帝国全土で重さの共通単位として「グラント」が導入された。
・由来:
名称の「Grant」は、古帝国語で「量りし者」または「等しさ」を意味する**“granthar”**に由来し、秤の守護神「ヴェル=ラミス」の神名にも通じている。
▼ 実生活での使用例
・パン一斤:約500 gt(0.5 kgt)
・一般的な果物1個(リンリ果):約200 gt
・矢じり1本:60~100 gt
・鍛冶用ハンマー:約2~3 kgt
・鎧一式:約15~25 kgt(素材により変動)
▼ 世界観との整合性
「グラント」は帝国の流通・交易・鍛冶・魔導素材などあらゆる分野で標準化されており、各都市では地方の「計量司」が校正を行う。輸送ギルドや工房、商人ギルドにおいてはこの単位での記録・契約が必須とされる。
このように、グラントは、ラント帝国全土における統一された質量基準として社会と産業を支える要石の一つである。他の単位系とも有機的に連動することで、より豊かな物語の基盤となる。
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■ 時間の単位体系(ラクト(Lakt))
▼ 基本単位:ラクト(Lakt)
・1ラクト = 約1.2時間(昼間を10分割する基準)
・語源は帝国標準語「luc=光」から、日照時間を基準としたため。
▼ 下位単位:
・1ラクト = 60ラキ(Laki) ≒ 約1.2分
・1ラキ = 60ティア(Tia) ≒ 約1.2秒
▼ 上位単位:
・10ラクト = 1サイク(Cycle) ≒ 約12時間
・2サイク=1エラ(Era) ≒ 1日
▼ 特徴:
・日を「黎明サイク」「宵闇サイク」に分ける文化あり。
・一日24時間制とは異なり、自然光の変化を基準にした柔軟な時間感覚。
・時の測定には「魔導時盤」が用いられ、光と音で時を知らせる。
▼ 追加の文化表現
・「一ラクトの猶予」=「1時間程度の待機・準備期間」
・「十セルの信頼」=「命を預けるに等しい重さ」
・「ティアの呼吸」=「刹那的、瞬時の出来事」
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■ 時間の単位体系: 「メルク(merk)」の体系(国際単位系)
▼ 天文観測に基づく定義
「メルク」は、惑星「アルカディア」の自転周期を基準としている。具体的には、アストラの1日(自転周期)を「1アルカディア日」とし、これを86,400等分した単位が「1メルク」と定義されている。これは、地球における「秒」の初期定義と類似しており、1日を24時間、1時間を60分、1分を60秒と分割する方式を踏襲している。
▼ 原子振動による精密な測定
後に、アルカディアの科学者たちは、特定の元素「ルミナイト」の原子振動を利用して、より精密な時間測定を可能にした。「1メルク」は、ルミナイト原子の基底状態における超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9,192,631,770倍の継続時間と定義された。これは、地球におけるセシウム133原子を基準とした「秒」の定義と同様のアプローチである。
▼ 時間単位の体系
この世界では、「メルク」を基準として、以下のような時間単位が体系化されている。
【単位名/記号/メルク換算/説明】
□ メルク / mk / 1 / 基本時間単位
□ キロメルク / kmk / 1,000 / 長時間の計測に使用
□ メルク分 / mkf / 60 / 1メルク分 = 60メルク
□ メルク時 / mkt / 3,600 / 1メルク時 = 60メルク分
□ 日 / ad / 86,400 / 惑星アルカディアの1自転周期
□ 年 / ay / 31,556,952 / 惑星アルカディアの1公転周期
▼ 文化的・歴史的背景
「メルク」という名称は、古代アルカディア語で「光の瞬き」を意味する言葉に由来している。これは、時間の最小単位が星の瞬きのように短いことを象徴している。また、アルカディアの文化では、時間を「光の流れ」として捉える哲学があり、「メルク」はその概念を具現化したものとされている。
▼ 他の単位との関係性
「メルク」は、他の物理量の単位とも密接に関連している。
・速度:「1フローラ」は、1メルト(長さ単位)を1メルクで移動する速度と定義される。
・加速度:「1アクシス」は、1フローラの速度変化が1メルクで生じる加速度とされる。
・エネルギー(ルクス):「1ルクス」は、1メルクの間に1メルトの距離で1ユニットの力が作用する際のエネルギー量と定義される。
このように、「メルク」は天文観測と原子物理学を基にした精密な定義を持ち、他の物理量の単位とも整合性を保つよう設計されている。これにより、科学的な計測や日常生活においても一貫性のある時間管理が可能となっている。




