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ロストンの下町(スラム・ドック)



【ロストンの下町スラム・ドック




■ 下町(通称:スラム・ドック)の概要


⚪︎ 地理的位置:ロストン港の南側に隣接する低地帯。湿気が多く、夏は蒸し暑く冬は冷え込みやすい。

⚪︎ 経済状況:

 ・港で荷下ろしする日雇い労働者や、破損品・廃棄物を拾って生計を立てるスクラップ拾いなどが多い。

 ・税制や福祉の支援が薄く、自力で生活を築くしかない。

 ・ギルドや貴族たちの支配が緩く、裏社会や自警団のような集団が実質的に支配している。

 ・子供や老人の死亡率も高く、「生き残る」こと自体が一種の競争。

⚪︎ 文化・風習:

 ・荒っぽいが、「義理と助け合いの文化」がある。

 ・「食べ物を分けた奴は仲間」「他人の稼ぎは奪わない」などの独自の掟が口伝で受け継がれている。

 ・踊りや音楽などの庶民芸術も盛んで、街角では簡易楽器による即興演奏も行われる。

⚪︎ 建築・景観:

 ・崩れかけの煉瓦家屋、板を継ぎ足したバラック、運河沿いに立てられた水上小屋などが並ぶ。

 ・上水道が通っておらず、汚水や生活排水がむき出しで流れている。

 ・だが住民たちは器用で、壊れた道具や建材を修理・再利用して暮らしている。

⚪︎ 教育・識字:

 ・学校はほとんどなく、寺院や慈善団体による識字教室が時折開かれる程度。

 ・読み書きができる子どもはごく少数で、ヴァンの読書好きもこの地域では異例。




■ ヴァンにとっての「下町」


・子どもの頃のヴァンは、魚市場の裏で靴磨きをしたり、港湾倉庫の荷物を運んで小銭を稼いだりしていた。

・「家」はなく、仲間たちと廃屋に身を寄せていた時期もある。

・母親は仕立て屋としてなんとか働いていたが、病に倒れた後は文字通り一人きりで生き延びた。

・ヴァンの人懐っこさや反骨精神は、この下町で育まれた“泥まみれの人間関係”の中でこそ培われたもの。




■ 主要エリアとランドマーク


1. クローク通り(Cloak Street)

・スラム・ドックの中心にある曲がりくねった主通り。

・食堂、古道具屋、裏ギルドの連絡所などが集まる“下町の心臓部”。

・夜になると闇取引や賭博が盛んになり、地元民以外は立ち入りを避ける。

・ヴァンはこの通りで靴磨きや呼び込みのバイトをしていた。


2. 魚骨フィッシュボーン市場

・港から近く、朝一で水揚げされた魚や海産物が並ぶ市場。

・正規の店舗に加え、路上販売の屋台や盗品市も混在している。

・「魚臭さ」が街に染みついているが、活気があり貧しい者でも空腹を満たせる場所。

・ヴァンの知人だった漁師の娘(後述の友人)が幼少期に手伝っていたのもここ。


3. 焚火坂たきびざか

・傾斜のきつい坂道にバラックや掘っ立て小屋が並ぶ居住区。

・夜はところどころで焚き火が焚かれ、人々が身を寄せ合って話す社交の場となる。

・ヴァンが母親と暮らしていた小さな家も、ここにあった(現在は取り壊されている)。



■ 宗教施設・教育


4. セント・レオナ聖堂跡地

・元は由緒ある聖堂だったが、半壊し今では孤児や貧困層の避難所として使われている。

・修道女や神父が細々と食料配布・識字指導などを行う。

・子供時代のヴァンが読み書きを教わったのはここ。

・地元では「レオナさまのひかり」と呼ばれ、敬われている。



■ 治安・裏社会


5. 灰犬団(はいけんだん / Ash Hounds)

・下町の実質的な“治安維持組織”。

・市から派遣された衛兵ではなく、元兵士や漁師上がりの荒くれ者たちが作った自警団。

・市警と違って賄賂にはあまりなびかないが、力での抑止が基本。

・「灰犬に目をつけられるな」は下町の子どもたちの共通認識。

・ヴァンも何度か「調子に乗って怒鳴られた」ことがある。


6. 黒鳩亭(こくきゅうてい / The Black Dove)

・クローク通りの裏路地にある古い酒場兼情報屋。

・表向きはただの飲み屋だが、盗品の出入りや密輸品の取引が行われている。

・情報通のマスター(元密偵)は、ヴァンの母親と旧知の仲で、ヴァンを何度か匿ったこともある。




■ 地元の言い回し・スラング(例)


・「腹が鳴ったら魚骨に行け」:困ったときは市場で何か見つかるという意味。

・「犬が吠えたら隠れろ」:灰犬団の巡回が来た合図。

・「レオナの慈悲にすがるか?」:望み薄なことを冗談めかして言う皮肉表現。





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【ストリートチルドレン(通りの子ら)】



■ 概要


「ストリートチルドレン(通称:通りの子ら)」とは、ロストン下町に生きる孤児や家出少年少女たちの総称。

大人に頼れず、自分の力で生きるしかない彼らは、“家を持たぬ影”とも呼ばれる。



■ 分布と生活様式


・拠点は焚火坂の廃屋や、魚骨市場の倉庫裏、クローク通りの地下排水路跡など。

・固定の寝床を持たない子も多く、仲間内で順繰りに“寝場所”を融通しあう習慣がある。

・食事は市場の残り物やパンの耳をもらったり、時には盗みや物乞いで得る。

・年長の子は、荷運び、靴磨き、使い走り、闇商人の手伝いなどで小銭を稼ぐ。

・特に頭の良い子や腕の立つ子は、「黒鳩亭」や灰犬団の目に留まり、“使える小僧”として雇われることも。



■ 年齢層と階層


・年齢は6~17歳が主で、10歳を超えると「半端者ハンパモン」と呼ばれる中堅層になる。

・長く生き残ってきた“古株”たちは、実質的なリーダー格。縄張りやルールを仕切る。

・一方で新入りや年少者は苛められやすく、淘汰される者も多い。

・少年団のような組織ではなく、緩い連帯と利害で繋がる“野生の群れ”。



■ 独自ルール・価値観


1. 「寝場所は力で守れ」

 → 寝床を奪われたくなければ、ケンカでも交渉でもいい。自力で守ることが誇り。


2. 「食い物と靴は命より重い」

 → 靴を盗まれると“最底辺”扱い。食べ物と履き物は最優先の価値。


3. 「仲間を売ったやつは、通りに戻れねぇ」

 → 密告や裏切りは最も重い禁忌。灰犬団に通報した子は“影なし”と呼ばれ、追放される。


4. 「拾われたら、二度と戻るな」

 → 誰かに養われることは、通りでは“卒業”扱い。嫉妬も含めて、帰ってきた者は歓迎されない。



■ ストリートチルドレンとロストン市民の関係


・一部の市民や市場の店主たちは、子どもたちに同情し、食べ物を与えたり話し相手になったりする。

・反面、窃盗や騒動の原因にもなるため、迷惑がられている層も多い。

・特に上層市民や衛兵からは「犯罪予備軍」と見なされ、冷たい視線を向けられている。



■ ヴァンと「通りの子ら」


・ヴァンは10歳頃から約4年間、ストリートチルドレンとして生きていた。

・クローク通りの「トビ」という古株少年に目をかけられ、荷運びや使い走りを教わる。

・頭の良さと手先の器用さで、子どもたちの中でも一目置かれていた。

・母の死後も他人に頼らずに生きる道を選んだのは、“通り”の誇りと美学が染みついていたため。





【少年団「シャドウウィングス」】



◼︎概要: ロストンの下町で活動するストリートチルドレンたちが結成した自助組織。団員同士が協力し合い、生き延びるための知恵や技術を共有している。


◼︎活動内容: 情報収集、護衛、荷物運搬などの仕事を請け負い、報酬を得て生活費を稼いでいる。また、団員の安全を守るため、互いに見守り合う体制を築いている。


◼︎組織構成: リーダー、副リーダー、一般団員で構成され、リーダーは経験豊富な年長者が務める。新入りは試用期間を経て正式な団員となる。




◆ “ある少女”について


・名前: ティナ・フェルナンド

・年齢: ヴァンと同い年

・外見: 栗色の髪を肩まで伸ばし、明るい茶色の瞳を持つ。

・性格: 明るく快活で、面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。

・ストリートチルドレンとなった経緯: 幼少期に両親を疫病で失い、親戚も彼女を引き取る余裕がなかったため、路上生活を余儀なくされた。

・少年団での役割: シャドウウィングスでは情報収集や連絡役として活躍し、持ち前の明るさで団員たちの精神的支えとなっていた。

・牧場で働くようになった経緯: ある日、シャドウウィングスの依頼で荷物運搬をしていた際、郊外の牧場主と知り合う。彼の厚意で住み込みの仕事を紹介され、安定した生活を求めて牧場で働くことを決意。

・ヴァンとの関係: 少年団時代、ヴァンとは特に親しい間柄で、互いに信頼し合っていた。現在も交流は続いており、お互いの仕事や生活について尊重し合っている。




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