登場人物紹介:ヴァン・トライバル
【キャラクター】
名称:ヴァン・トライバル
年齢: 18歳
性別: 男性
職業: シュナイダー工房の見習い職人(入門3年目)
身長: 170cm
体格: 細身ながら引き締まっている(鍛冶仕事で鍛えられている)
髪色: ホワイトブロンド(陽の光に当たると銀色がかった金髪に見える)
瞳色: 深いブルーグレー(知的で落ち着いた印象を与えるが、少年らしい輝きもある)
肌の色: やや浅黒い(鍛冶仕事で日に焼けている)
服装:
・普段はシンプルな作業着(生成りのシャツに革製のエプロン)
・街では襟付きのシャツにジャケットを羽織ることが多い
・靴は頑丈な革製のブーツ
【性格・特徴】
◇ イタズラ好きでヤンチャ:
→ 皮肉や冗談をよく言い、悪戯を仕掛けるのが得意。ただし悪意はなく、基本的に愛嬌のあるタイプ。
◇ 行動力旺盛:
→ 身体を動かすのが好きで、思い立ったらすぐに行動する。細かい計画を立てるのは苦手。
◇ 不法な支配に対する強い反発心:
→ 権力をかさに着る人間が大嫌い。貴族や金持ちが威張っているのを見ると、無意識に反発してしまう。
◇ 職人としての誇りを持つ:
→ 過酷な幼少期を経て、ようやく手に入れた「職人」という生き方を大切にしている。
◇ 実は頭がいい:
→ 読書好きで、技術に関する本や歴史書を読んでいる。理性より感情で動くことが多いが、考える力はある。
◇ 感情豊か:
→ 喜怒哀楽が激しく、カッとなりやすいが、基本的には根は優しい。
◇ 孤独を嫌うが、プライドが高い:
→ 誰かと一緒にいることが好きだが、助けを求めるのが下手。
【口調・話し方】
・基本は砕けた話し方:「おいおい、マジかよ」「ま、いいんじゃね?」
・皮肉っぽい:「へぇ、そりゃまたご立派なこった」
→でも本気のときはシンプルで熱い言葉を使う:「俺は、職人としての腕で生きてくって決めたんだよ」
・年上にはやや敬語を使うが、慣れるとタメ口混じり
【過去・生い立ち】
・ロストンの下町出身。幼い頃に父親が蒸発し、母親と二人で暮らす。
・母親は仕立て職人だったが、病気で早くに亡くなり、孤児となる。
・生きるために靴磨き、新聞売り、果ては盗みの手伝いまでやったことがある。
・14歳の頃、シュナイダー工房の5代目店主に拾われ、見習いとして働き始める。
・最初は「手に職をつければ食える」と思っていたが、次第に「職人の技術」に魅了され、本気で鍛冶の道を極めたいと思うようになった。
・以来、3年間の修行を積み、金属加工の腕は着実に上達している。
【現在の状況】
・シュナイダー工房で、師匠や先輩職人のもとで金属加工を学ぶ。
・オリカの医療器具製作プロジェクトに関わることになり、医療器具の試作を担当。
・医療については素人だが、オリカの話を聞くうちに「こいつは本気で世界を変えようとしている」と感じ、密かに尊敬している。
・「こいつの言ってること、どこまで本当にできるんだろうな?」と思いつつも、腕試しのつもりで協力している。
【関係性・今後の役割】
◇ シュナイダー工房の5代目店主(師匠):
→ 親代わりのような存在。厳しいが、心の底では尊敬している。
◇ オリカ:
→ 最初は「変わった女だな」と思っていたが、次第に彼女の考えに興味を持つ。
◇ エリーゼ・ルシアン:
→ まだ直接の関わりは少ないが、いずれ協力することに。
◇ ロストンの街の人々:
→ 下町育ちなので、あちこちに顔見知りがいる。情報通でもある。
▼ ヴァン・トライバルの「反骨精神」の根源
1. 幼少期の悲劇——母の死と貴族の横暴
ヴァンの母親は仕立て職人で、ロストンの下町で小さな工房を営んでいた。彼女の作る服は品質が高く、一部の上流階級からも注文を受けるほどだった。
しかし、ある時 「貴族の一人が、代金を払わずに母の仕立て服を持ち去る事件」 が発生する。
母は勇気を出して貴族の屋敷へ出向き、賃金の支払いを求めたが——
「下民ごときが、私に金を要求するとはな。貴族の庇護のもとで働けること自体、名誉だろう?」
そう嘲笑され、門前払いされた。
それでも母は諦めずに訴え続けたが、最終的に 「身分を弁えぬ者」として罰金を課され、逆に借金を負うことになる。
それだけでは終わらなかった。
貴族派の影響力が強い役人たちが母の工房を「無許可営業」として取り締まり、彼女の商売道具である裁縫器具や布地を没収してしまったのだ。
仕事を失った母は、生活のために低賃金の工場労働を余儀なくされ、次第に体を壊していった。
やがて、過労と病気によって衰弱し、ヴァンが12歳の時に他界。
彼女を救える手段はあったはずなのに、誰も助けなかった。
貴族の横暴を黙認し、見て見ぬふりをする人々。
その不条理に、ヴァンは 強烈な憤りを覚えた。
2. 「権力者は結局、自分たちの都合しか考えない」
母の死後、ヴァンは 「不法な支配」 というものを肌で感じるようになった。
彼は孤児として生きるために、靴磨きや荷運び、新聞売りといった仕事を転々とした。
その過程で目にしたのは、
「金持ちや貴族たちが、庶民を搾取しながら平然と贅沢を享受する世界」 だった。
たとえば——
・工場で働く子供たちは 「仕事を選べる自由」すらなく、過酷な労働を強いられていた。
・一方で、工場のオーナーや貴族たちは 「労働者がいくらでもいるから、多少潰れても構わない」 という考えだった。
・役人たちは賄賂を受け取り、工場の劣悪な環境を見て見ぬふりをする。
・「無能な貴族のほうが、真面目に働く職人よりも上にいる」 という身分制度がまかり通っていた。
ヴァンは思った。
「なんで“生まれ”で人の価値が決まるんだ?」
「誰もが努力すれば、それに見合った対価を受け取れるべきだろ?」
「なんでアイツらは、自分たちの都合のいいルールで庶民を支配してんだ?」
こうした疑問が、彼の中で「反骨精神」となって根を張っていった。
3. それでも、希望はあった——シュナイダー工房との出会い
ヴァンが14歳のとき、彼は 「シュナイダー工房」の5代目店主、グスタフ・ヴァイスハイトに拾われた。
そのとき、彼は工房の前で 「貴族の馬車から落ちた馬具を拾い、こっそり売ろうとしていた」。
シュナイダーの親方は、その様子をじっと見つめた後、こう言った。
「物を売るんなら、盗むより“自分の手で作る”ほうが、よほど価値があるぞ」
ヴァンは驚いた。
今まで大人は「盗みはいけない」と言うだけで、代わりの道を示してはくれなかった。
だが、この親方は違った。
「お前、何か作れるのか?」
「……作れねぇよ。でも、金がねぇと生きていけねぇだろ」
「なら、技術を覚えろ。技術は、金より強い」
その言葉に、ヴァンの中で 「何かを作り出すことの価値」 が初めて生まれた。
こうして彼はシュナイダー工房に弟子入りし、職人としての道を歩み始める。
4. 「俺は“作る”ことで、支配に抗う」
今、ヴァンは 「職人」として生きることに誇りを持っている。
彼にとって「技術」とは、ただの生計手段ではない。
「権力者の都合に左右されない、唯一の武器」 だった。
貴族がどれだけ財産を持っていようと——
役人がどれだけ賄賂をもらおうと——
「俺の手で作ったものは、誰にも奪えない」。
だからこそ、彼は「支配」に対して本能的に反発する。
金と権力で人を踏みつけにする貴族どもには、反骨心をむき出しにする。
シュナイダー工房で教わった 「職人としての誇り」 こそが、彼の支えなのだ。
そして——
そんな彼が 「オリカの医療器具製作プロジェクト」に関わることになる。
「病人を治すために、新しい道具を作る」 という未知の領域。
それは、ただの鍛冶仕事ではない。
ヴァンにとって、「技術が、人を救うことにつながる」 という概念は衝撃だった。
「……アイツ、ただの変わった女かと思ったけど、マジで世界変えようとしてんのか?」
最初は半信半疑だったが、次第にオリカの情熱に引き込まれていく。
そして彼は、自分の手で作った「医療器具」が、誰かの命を救う瞬間を目の当たりにすることになる——。
それは、ヴァンの中で「技術の価値」を新たな次元へと引き上げる経験となるのだった。
■ まとめ
☑︎ 母親が貴族の横暴によって職を奪われ、過労で死んだ経験が「支配に対する反発心」を生んだ
☑︎ 幼少期に労働を経験し、不公平な社会の現実を知った
☑︎ 職人の技術こそが、支配に抗うための「力」だと信じている
☑︎ シュナイダー工房で学び、「作ること」で自分の生き方を確立した
☑︎ オリカの「医療器具製作プロジェクト」に関わり、さらに新たな価値観を得ていく




