ラント帝国・大貴族「第十二師団」
「この国に名を連ねる十二の影」
それは帝国の礎を支え、皇帝の命により動く最精鋭の貴族たち。
歴史の表と裏を自在に行き交い、軍事・政治・経済・宗教・科学など、帝国のあらゆる領域に影響を及ぼす。
帝国の民は彼らをこう呼ぶ。
——「十二の覇道」
その存在は神聖不可侵。
彼らの決定は、帝国の法よりも重く、皇帝の勅令に等しい。
だが、栄華と権威の裏には、血塗られた歴史がある。
ラント帝国が成立する以前、十二師団の前身はそれぞれ異なる派閥として存在していた。
ある者は王家に忠誠を誓い、ある者は科学を究め、ある者は異端を裁き、ある者は闇に生きた。
統一されることのなかった十二の貴族たちを、ひとつにまとめたのが、初代皇帝「レオ・フォン・アストリア」である。
彼は強力な統率力と圧倒的な武力で十二の派閥を制し、それぞれに「師団」という名を与えた。
かくして、「十二師団」はラント帝国の中枢機関として確立され、現在に至る。
しかし、十二師団は絶対ではない。
彼らの内紛は幾度となく起こり、ある時は皇帝の座を巡る陰謀に関与し、またある時は帝国の運命を左右する戦争を主導した。
表向きは帝国の守護者、だが実際には、互いに権力を争うライバルでもある。
そして今——
ラント帝国は、世界樹を巡る大きな岐路に立たされている。
十二師団の中でも、戦争派・改革派・保守派と意見が分かれつつあり、帝国の未来が揺らいでいた。
この混乱の中、オリカの診療所にまで「十二師団」の影が忍び寄ろうとしていた……。
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各師団は独自の紋章を持ち、それぞれの信念を示す「組織訓」を掲げている。
第一師団:「王盾の家系」
【役割】
帝国軍の最高指揮官を務める、皇帝直属の精鋭部隊。
戦争の際には、帝国軍全体を統括し、皇帝の身辺警護も担当する。
「王の盾」とも称され、最強の軍事力を誇る。
【紋章】
黄金の双剣と盾が交差し、その上に王冠が浮かぶ。
【組織訓】
「王の剣は鋼より固く、王の盾は神の加護よりも強し」
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第二師団:「秘書官の家系」
【役割】
帝国の政務を管理し、法を制定する官僚貴族。
また、帝国内外の情報を掌握し、外交や内政にも強い影響を持つ。
【紋章】
開かれた書物と羽ペン、中央には天秤が描かれている。
【組織訓】
「知恵を巡らせ、秩序を築く者こそ帝国の礎」
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第三師団:「金融貴族」
【役割】
帝国の財政を支配し、銀行・交易の管理を行う貴族派閥。
帝国内で使用される貨幣「ラント・ゴールド」の発行権を持ち、事実上、帝国経済の頂点に君臨する。
【紋章】
黄金の鍵とコインが交差する紋章。
【組織訓】
「金は力、経済は帝国の血脈」
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第四師団:「聖教派」
【役割】
帝国における宗教と教義を統括し、信仰を管理する聖職者の一族。
帝国の公式宗教「ラグエル教会」を主導し、異端審問にも関与する。
【紋章】
聖なる十字架の周囲に、光輪が輝く紋章。
【組織訓】
「神の意思こそ、帝国の導き」
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第五師団:「戦争貴族」
【役割】
実戦指揮官として、戦場の最前線に立つ軍事派閥。
帝国最強の戦士たちを輩出し、戦争の決定権も持つ。
【紋章】
赤い旗を掲げた騎士の紋章。
【組織訓】
「剣は語る。勝者こそが帝国の正義」
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第六師団:「学術貴族」
【役割】
魔法・科学・医療の研究を行う貴族派閥。
医療審問会を主催し、「正統な医学」を管理する立場にある。
オリカを異端として追い詰める中心勢力。
【紋章】
錬金術の三角形と魔法陣の紋章。
【組織訓】
「知識は力、知恵なき者に道を示せ」
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【第七師団:「貿易貴族」】
【役割】
帝国内外の交易・流通を一手に管理する貴族派閥。
港湾都市や商業都市を掌握し、貿易を通じて莫大な富を築いている。
ロストンの商人ギルドとも強く結びついており、アレクシス家とは長年の協力関係を築いていたが、近年は「グレゴリアン家」との対立も見られる。
【紋章】
三本の黄金の帆船が交差する紋章。
【組織訓】
「富は流れ、帝国の血となる」
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第八師団:「異端審問官」
【役割】
異端審問を行い、帝国の「秩序」を維持する役割を持つ。
魔女狩りや異端狩りの指揮を執り、帝国にとって弊害となる、あらゆる分野の“異端”を審議する役割を持つ
【紋章】
燃え盛る炎の中に鎖で縛られた人の紋章。
【組織訓】
「異端は炎で裁かれるべし」
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【第九師団:「辺境貴族」】
【役割】
ラント帝国の最果て、未開の地や辺境地域を支配する貴族派閥。
魔獣の脅威と戦い続ける「防衛貴族」とも呼ばれ、辺境の民にとっては「皇帝よりも近い支配者」である。
辺境の安全保障を名目に、独自の軍隊を持ち、時に帝国と対立することもある。
【紋章】
巨大な城壁と剣を掲げた騎士の紋章。
【組織訓】
「境界を守り、帝国の礎となる」
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【第十師団:「秘密結社」】
【役割】
帝国の「裏側」を支える影の組織。
政治的な暗殺、情報操作、諜報活動を専門とし、**「帝国の意思を形にする」**役割を持つ。
「第十二師団」と異なり、あくまで「貴族派閥」としての影の勢力であり、皇帝直属の存在ではない。
事実上の「帝国の闇」であり、反体制派の弾圧や政敵の抹殺を行う。
【紋章】
黒い蛇が絡みつく仮面の紋章。
【組織訓】
「影は光を導くために」
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【第十一師団:「呪術貴族」】
【役割】
闇魔法・呪術・錬金術を研究し、帝国の禁忌技術を司る貴族派閥。
「旧アウロラ計画」にも関与しており、ヴァルキア帝国の「魔造化技術」とも深いつながりがあるとされる。
公式には「異端審問官(第八師団)」によって管理されているが、実際には帝国が利用している。
【紋章】
逆さまの三日月と絡みつく荊棘の紋章。
【組織訓】
「禁忌こそ、新たな叡智の扉」
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第十二師団:「黒の代行者」
【役割】
皇帝の密命を受け、あらゆる“影の任務”を遂行する特務師団。
暗殺・諜報・裏取引などを行い、帝国の「表に出せない仕事」を担う。
帝国の中でも最も秘密に包まれた師団であり、その存在を知る者は少ない。
【紋章】
闇の翼を広げた漆黒の鴉。
【組織訓】
「影は語らず、帝国を支える」
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◆ ラント帝国・十二師団 現師団長一覧 ◆
——帝国の覇道を司る十二の影。その頂点に立つ者たち——
それぞれが一国の主にも匹敵する力を持ち、軍事、政治、経済、宗教、異端審問、諜報、錬金術などの分野で圧倒的な影響力を誇る。
彼らは皇帝の臣でありながら、皇帝にすら容易には屈しない。
そのカリスマ性と能力は群を抜いており、まさに帝国の“支配者”たちである。
【第一師団:「王盾の家系」師団長】
アグリウス・ヴァンダム(38歳・男性)
「帝国の剣にして、皇帝の盾」
・容姿:銀髪を短く刈り込んだ屈強な体躯。顔には無数の戦傷跡。
・特徴:帝国軍総司令官にして「王の盾」。戦場で幾度も帝国の危機を救ってきた英雄。
・性格:実直かつ冷徹。皇帝には絶対の忠誠を誓うが、それ以外には妥協しない。
・武器:「帝剣ヴァルクレイア」——皇帝直系の騎士にのみ与えられる剣。
【第二師団:「秘書官の家系」師団長】
カミラ・フォン・ルーベン(35歳・女性)
「帝国の書記官」
・容姿:漆黒の髪を一本に結び、眼鏡をかけた理知的な美女。
・特徴:帝国の政治・法を司る高官であり、国内外の情報戦にも精通する。
・性格:冷静沈着で合理主義者だが、決して情を欠くわけではない。
・能力:「万言の書庫」——魔導書を自在に操り、記録と魔法を同時に行使する。
【第三師団:「金融貴族」師団長】
バルドル・アッシュグレン(52歳・男性)
「金こそが、この世の真理」
・容姿:腹の出た貴族然とした男だが、鋭い目と切れ者の雰囲気を纏う。
・特徴:帝国の経済を支配する絶対的権力者。莫大な富を持ち、腐敗と結びつくも、帝国の財政を掌握。
・性格:金と権力を何より重んじ、金を通じて帝国の運命を操る。
・能力:「黄金律」——手にした貨幣を自在に操り、魔力を帯びた金貨を武器とする。
【第四師団:「聖教派」師団長】
ルシル・エヴァンス(29歳・女性)
「神の御声を聞く者」
・容姿:白銀の長髪に透き通るような白い肌、神聖なオーラを纏った女性。
・特徴:帝国の聖教を統括する聖女。皇帝にも匹敵する宗教的影響力を持つ。
・性格:優雅で穏やかだが、神の意志に背く者には容赦しない狂信的な一面も。
・能力:「聖光の祈り」——魔法障壁と治癒魔法を極めた加護の力を持つ。
【第五師団:「戦争貴族」師団長】
ギュンター・バルフォード(45歳・男性)
「戦場に立つ者」
・容姿:筋骨隆々の大男。髭を生やし、全身に傷跡が刻まれている。
・特徴:帝国最強の軍人。前線で兵士と共に戦い、あらゆる戦争に勝利をもたらす。
・性格:武人らしく豪快だが、戦場での冷徹な判断力を持つ。
・武器:「龍槍グリフォード」——敵陣を貫く巨大な魔槍。
【第六師団:「学術貴族」師団長】
アイゼン・ベルンハルト(60歳・男性)
「知識こそが力」
・容姿:白髪混じりの髪と長い顎髭。鋭い鷲のような目。
・特徴:魔法・科学・医学を統括する知識の巨人。
・性格:冷徹な学者肌であり、「非正統な医学」を否定しオリカを糾弾する。
・能力:「魔導書庫」——帝国最古の魔術書から知識を取り出し、行使する。
【第七師団:「貿易貴族」師団長】
オスカー・ローレンツ(41歳・男性)
「富は流れ、力となる」
・容姿:茶髪のオールバックに、華やかな刺繍の入ったローブを纏う。
・特徴:商才に長けた策略家であり、ロストンの商業ギルドとも密接に関係。
・性格:表向きは陽気な商人だが、裏では非情な交渉術を使う。
・能力:「千の商談」——契約魔法を用いて取引を成立させる。
【第八師団:「異端審問官」師団長】
アナスタシア・ヴェルトハイム(26歳・女性)
「審判の刃は、常に正しき者の手に」
□ 容姿:赤と黒のグラデーションがかった長い髪を持ち、冷たい琥珀色の瞳を湛える。
・黒を基調とした審問官の制服を纏い、肩には帝国の象徴である白銀の徽章を飾る。
・細身ながらも研ぎ澄まされた体躯を持ち、どこか静かな威圧感を漂わせている。
□ 特徴:帝国の「異端審問」を司る存在であり、帝国内で最も冷酷で、最も“正しき”者。
・彼女が「異」と断じた者は、これまで一人たりとも日の目を見ることはなかった。
・幼少の頃より貴族として育ち、歴代最年少で審問官の位を授かる。
・しかし、彼女が現在の地位にあるのは、その才覚と冷徹さゆえだけではない——
・彼女自身が前師団長を「殺し」、その座を奪い取ったからである。
□ 性格:常に冷静沈着であり、決して感情を露わにしない。
・誰に対しても平等であり、敵であろうと味方であろうと、彼女が正義と定めたものは揺るがない。
・彼女が「これは正しい」と判断すれば、それは絶対であり、誰も覆すことはできない。
・逆に言えば、彼女が「これは間違っている」と判断した場合、その者に待つのは粛清のみである。
□ 能力:「審問の焔」
・魔法による裁定能力。
・相手の魔力の「本質」を視ることができ、その力が“世界の理”に反していると判断すれば、焔の剣を以て裁く。
・ただし、彼女はこの力を濫用することはなく、常に「正しき基準」に基づいて行使する。
【第九師団:「辺境貴族」師団長】
エルンスト・ヴェルナー(50歳・男性)
「境界を守る者」
・容姿:長い白髪に無精髭、野性味あふれる厳つい風貌。
・特徴:辺境の城塞を守る防衛貴族。最も戦争と魔獣に近い存在。
・性格:義理堅く、戦場で培った冷徹さを持つが、弱き者には優しい。
・能力:「大地の守護者」——城壁や防御魔法を発動し、領土を守る。
【第十師団:「秘密結社」師団長】
クラウス・ヴォルフラム(38歳・男性)
「帝国の闇を司る者」
・容姿:整った顔立ちを持つが、常に仮面をつけている。白髪に近い灰色の髪。
・特徴:帝国の裏社会を支配し、貴族社会の暗部を統括する男。暗殺、諜報、情報操作、帝国の黒幕として君臨。
・性格:冷徹かつ非情。感情を見せることはほぼなく、完璧な合理主義者。
・能力:「影の領域」——光の届かぬ場所に限り、自在に空間を操ることができる。
・補足:オリカの存在を早い段階からマークしており、彼女の「魔力の本質」に興味を抱く。
【第十一師団:「呪術貴族」師団長】
エリザベート・カスティール(31歳・女性)
「禁忌を超えし者」
・容姿:漆黒のローブに身を包み、長い銀髪を持つ。妖艶で蠱惑的な美貌。
・特徴:異端の魔術を統べる貴族。帝国の禁忌技術の研究を進め、「魔造化技術」に関与。
・性格:妖艶で知的。目的のためなら非情な決断も厭わないが、美しいものには目がない。
・能力:「血の契約」——血を媒介にした魔術を使い、生命力を操作する。
・補足:オリカの治癒魔法に強い関心を持ち、その力を「禁忌の叡智」として研究しようとする。
【第十二師団:「皇帝の影」師団長】
ゼノン・アルバレスト(28歳・男性)
「最も皇帝に近き者」
・容姿:漆黒の軍服を身に纏い、短めの黒髪と鋭い金色の瞳を持つ。
・特徴:皇帝直属の特務機関「第十二師団」の指導者であり、あらゆる帝国の機密事項を握る存在。
・性格:冷静沈着、だが時折見せる笑みには「人を試すような鋭さ」がある。
・能力:「絶対命令」——相手の魔力を支配し、一定時間行動を制御する。
・補足:オリカの存在を異質なものとして警戒し、「彼女が帝国にとって脅威かどうか」を見極めようとしている。




