第17話
「ついに……ついに……!!」
私は、ヴィクトールの屋敷の一角にある使われていなかった建物の前で、思わずガッツポーズをした。
「ここが……私の診療所!!!」
開業許可を取ってからというもの、私はもうテンションMAXである。
今までは “闇医者”、…というか無免許状態の「エセ医者」としてこそこそ治療をしていたけれど、これからは “合法的に”堂々と医療行為ができる!
「よーし、まずはこの診療所に素敵な名前をつけなきゃ!」
私は、気合いを入れて、紙とペンを取り出す。
「うーん、やっぱり“医療”に関係する名前がいいよなぁぁ」
私は、地面にしゃがみ込み、いくつかの候補を書き出してみた。
⚪︎ 「オリカ診療所」 → シンプルだけど、なんか地味?
⚪︎ 「癒しの館」 → ちょっと胡散臭い?
⚪︎ 「生命の灯」 → かっこいいけど重すぎる?
「むむむ……もっと可愛くて、でも覚えやすい名前……」
私は腕を組みながら、ふと、市場で見かけた“うさぎのマーク”の雑貨屋 のことを思い出した。
「うさぎ……」
——ピン!
「『街角診療所 うさぎのおうち』!!」
「……ん?」
自分で口にしておいて、私はハッとした。
「……いやいやいや、待って?」
これ、めちゃくちゃ 可愛すぎない!?
でも、なんだか 愛嬌があって親しみやすい 気がする。
診療所って、堅苦しいイメージがあるし……
こういう 柔らかい名前のほうが、患者さんも来やすいんじゃない?
「うん……うん、もうこれでいいや!!!」
私は 大きな文字 で 「街角診療所 うさぎのおうち」と書き上げ、
その紙を バンッ! とテーブルの上に置いた。
「決定!!!!」
「……お前、本当にそれでいいのか?」
後ろからヴィクトールの冷静なツッコミが入った。
「ええ!? だって可愛いじゃん!!」
「可愛いというか……もはや子供向けの菓子屋にしか聞こえんが」
「うるっさい!!私の診療所なんだから、私が決めるの!!」
私はむすっと頬を膨らませつつ、『うさぎのおうち』という店名を堂々と掲げた。
さて、診療所の名前が決まったところで——
次は、開業準備!!
「よーし、まずは掃除よ!!」
私は、屋敷の一角にある 使われていなかった建物 に足を踏み入れた。
——が、そこに広がるのは……埃とクモの巣の嵐!!
「うっわぁ……!!」
★診療所の現状(掃除前)
- 床に積もる埃(歩くと足跡が残るレベル)
- 家具はあるけどボロボロ(長年の放置で傷んでいる)
- 壁にはクモの巣とカビ(要掃除&補修!)
- 天井からホコリが降ってくる(くしゃみ不可避)
「……これは大掃除が必要だわ…!!」
私は、掃除用の布とバケツ、ホウキを手に取り、医者になるための第一歩(大掃除) に挑むことにした——!
「まずは、窓を開けて換気!!」
勢いよく窓を開く。
すると、長年の埃が風とともにぶわっと舞い上がった。
「ゲホッ!! ゴホッ!!」
「お前、掃除の前に布で埃を払うべきだろ」
ヴィクトールが呆れた声でツッコミを入れる。
「う、うるさいうるさーい!そういうのは実践しながら学ぶの!!」
私はホウキを手に取り、床の埃を豪快に掃き出す。
次に壁や家具を拭いていく。
☑︎ 掃除の流れ
① 窓を開けて換気!(まずは空気を入れ替え)
② 床を掃く!(埃とゴミを撤去)
③ 家具を拭く!(テーブルや椅子を清潔に)
④ 壁と天井の汚れを落とす!(カビ&クモの巣を撤去!)
⑤ 床に薬草を敷く!(香りで消臭&抗菌)
作業開始から2時間後——。
「ふぅ……やっとキレイになった……!」
私は、額の汗を拭いながら部屋を見渡した。
「うん……いい感じじゃない?」
掃除が終わった診療所は、埃まみれの廃墟のような空間 から、明るく清潔な診察室 に生まれ変わった!
「ここで、私は医者としてやっていくんだ……!」
ワクワクしながら、診療所の看板をドアの上に掛けた。
「“街角診療所 うさぎのおうち”、開業準備完了!!」
「……まだ何も準備できてないだろうが」
「いいの! こういうのは気持ちが大事なの!!」
やばい、ワクワクが止まらないッ——!
こういうのは形からだよね!?ね!!?