カルマーン皇国ー砂漠の大国
【カルマーン皇国の基本情報】
▼ 地理・立地
カルマーン皇国は東方大陸「ゼルファリア」 に位置し、 広大な砂漠地帯を中心に形成された国家である。
周囲は険しい自然環境に囲まれており、地理的に他国と明確な境界を持つ。
この国の特徴は 「厳しい環境と豊かな交易」 の共存であり、一見すれば過酷な自然が支配する砂漠国家に見えるが、
国内にはいくつものオアシス都市が存在し、それらが交易網を支えている。
■ 国境と主要な地形
・北方 → 「竜の尾山脈」:古来より竜族が住むとされる険しい山岳地帯。
・西方 → 「ベルナーク交易市場」:ラント帝国やヴァルキア神聖帝国と交易を行う要衝。
・南方 → 「炎獄の荒野」:高温の砂漠地帯で、未知の魔獣が棲む未開の地。
・東方 → 「瑠璃の海」:大陸最東端に広がる海域。古の船団が消えたという伝説が残る。
■ 主な地形と環境
・「カルマーン砂海」 → 国家の大半を占める広大な砂漠。
・「翠のオアシス」 → 貴族や豪商が支配する、都市の中心地。
・「炎獄の荒野」 → 生物の生存が困難な焦熱の大地。
・「瑠璃の海」 → 東方交易の要所となる港湾地帯。
・「竜の尾山脈」 → 竜族が隠れ住む聖域とされる。
・「神々の谷」 → 古代カルマーンの遺跡が残る聖地。
▼ 政治体制
カルマーン皇国は 「皇帝」 を中心とする専制君主制を採用しているが、
宗教的指導者 「マジュリ」 による強い影響を受けており、二重統治体制となっている。
■政治の主要構造
・皇帝派(王族・貴族) → 政策決定・軍事・外交を担う。
・宗教派 → 法律・司法・教育を統括し、信仰を基盤に国家運営を行う。
■ 現在の状況
近年、皇帝派と宗教派の対立が激化しており、内政が混乱。
商人ギルドが台頭し、貴族層と対立しつつも、経済の実権を握りつつある。
【カルマーン皇国の歴史】
▼ 1-1. 竜族との共存時代(約2000年前〜1500年前)
カルマーン皇国の起源は、古代遊牧民族 「ナスラ族」 に遡る。
彼らは 砂漠を移動しながら竜族と共存する文化を築いていた。
■ ナスラ族の文化
・「竜の加護を受けし者たち」 → 竜族との交易を行い、共に生活していた。
・「砂漠の神託」 → 世界樹の魔力を利用した「風読み」の術を持っていた。
・「騎竜兵団の伝説」 → 一部のナスラ族は竜と契約し、強力な騎兵隊を形成していた。
■竜族との誓約
・「我ら、砂と空を分かち合うものなり」
・「竜は天に、砂は地に、共に歩むものなり」
→ 竜族と人間が戦争を避けるための誓いとして交わされた。
しかし、約1500年前、外部勢力の侵攻により状況が変化する。
ナスラ族は団結し、砂漠の覇権を握ることを決意した。
▼ 1-2. 王国の成立(約1500年前)
ナスラ族を統一した王 「シャーマーン1世」 によって 「カルマーン帝国」 が成立。
砂漠の交易路を独占し、一大商業国家へと発展。
■ 主要な出来事
・シャーマーン1世の即位 → 遊牧部族を統一し、王国を建国。
・「竜族の誓約」 → 竜族との和平条約が結ばれる。
・交易の拡大 → 東方と西方の交易ルートを開拓し、繁栄を極める。
■ シャーマーン1世の政策
・交易路の確立 → 砂漠の交通を制御し、交易の独占に成功。
・竜族との共存維持 → 竜族の協力を得て国防力を強化。
・宗教的統一 → 砂漠の神「マジュラ」の信仰を国家宗教として定める。
■ この時代の特徴
・貴族制度が生まれ、富と権力の格差が広がり始める。
・竜族と人間の関係が微妙に変化し始める。
・ヴァルキア帝国が台頭し、国際関係が複雑化。
▼ 1-3. 戦乱の時代(約500年前〜300年前)
ヴァルキア帝国が東方大陸へ侵攻し、「砂の戦役」 が勃発。
カルマーン皇国は 強大な騎兵隊と魔術師団 を用いてこれに抵抗したが、
戦争は長引き、結果として 竜族との決裂 を招く。
■ 主要な出来事
・「砂の戦役」(対ヴァルキア戦争) → 東方の覇権を巡る戦争。
・竜族との決裂 → 一部の竜族がヴァルキア側についたことで関係が悪化。
・宗教改革と「マジュリ」の台頭 → 竜族信仰が一部で異端視され、信仰統制が強まる。
■ 戦争の結果
・ヴァルキア帝国との間に 緩衝地帯 を設置し、直接の軍事衝突を避けることに。
・竜族の一部がヴァルキア側につく → これにより、竜族の信仰が弾圧され始める。
・宗教改革と異端審問 → 竜族と混血した者が 「穢れた血」 として迫害を受けるようになる。
→ この時代に「竜の血を引く者=異端」という考えが定着する。
▼ 1-4. 近代化と商業革命(約200年前〜現在)
商人ギルドが台頭し、貴族層と対立。
交易国家として発展する一方で、貧富の格差が拡大し、国内の不安定要素が増加。
■ 主要な出来事
・「大商業革命」 → 商人ギルドが力を持ち、貴族支配を脅かす。
・竜族迫害の強化 → 竜の血を持つ者は「異端」として扱われる。
・皇帝派と宗教派の対立 → 政治の混乱が続く。
【文化・信仰・経済】
▼ 2-1. 信仰と宗教
カルマーン皇国の宗教は、「竜信仰」と「砂の神マジュラ」 に基づく。
かつては竜族を神聖視していたが、現在は「マジュラ教」の影響で竜信仰は衰退。
■ 主要な宗教組織
・「マジュリ(聖職者階級)」 → 宗教的権威を持ち、皇帝にも影響を与える。
・「竜の隠れ里」 → 竜族の信仰を守る秘密結社。
▼ 2-2. 経済と交易
カルマーン皇国は「交易国家」として、世界経済の要となっている。
特に「香辛料・金・絹」などの輸出品が有名で、ラント帝国・ヴァルキア帝国とも交易を行う。
■主要な交易品
・「砂金」→ 大陸で最も純度の高い金鉱石。
・「竜の鱗布」 → 竜族の技術で作られた希少な繊維。
・「神聖香」 → 高級な香水や薬として使われる特産品。
【カルマーン皇国と世界の関係】
▼ 3-1. 他国との関係
カルマーン皇国は中立の立場を維持しているが、
各国との関係は緊張を孕んでいる。
■ 主要な外交関係
・ラント帝国 → 交易は盛んだが、文化摩擦が絶えない。
・ヴァルキア神聖帝国 → 過去に戦争経験があり、警戒中。
・フェルゼン公国 → 軍事的交流は少なく、やや冷淡。
【竜族とカルマーンの関係】
▼ 4-1. 竜族の神話と信仰
カルマーン皇国では、竜族は 「神の使い」 として崇拝されている。
「世界樹の力を宿す存在」とされ、古の叡智を持つ守護者 として語られてきた。
信仰の中心は 「竜神ナフタル」 であり、竜族の血を引く者は 「聖なる血脈」 とされる。
▼ 4-2. 竜族との共存と迫害
かつては共存関係にあった竜族とカルマーン人だが、
商業革命以降、 「竜族の血を引く者」 は 異端視されるようになった。
理由は 「竜の力を持つ者は人よりも強大であり、支配者に適さない」 という貴族たちの意向だった。
そのため、竜の血を持つ者は 隠れ里でひっそりと生きるか、追放される ことが多くなった。
【フィオナ・ナスラの出自】
▼ 5-1. フィオナの血統
フィオナは カルマーン皇国の貴族ナスラ家 の生まれである。
しかし、母はカルマーン人の貴族だったが、父は竜族の末裔だった。
このため、彼女は 「異端児」 として扱われ、幼少期に貴族社会から排除された。
▼ 5-2. 追放と放浪
フィオナは母に守られながら、オアシス都市で育ったが、
7歳の時、父の正体が露見 し、一家は貴族社会から追放された。
その後、ベルナーク交易市場 に流れ着き、
密輸業者や情報屋の世界に足を踏み入れることとなる。