第10話
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【商人ギルド「金色の獅子」 】
1. 商人ギルドの概要
ロストンは 交易の要所 であり、さまざまな商人、職人、冒険者、旅人が行き交う都市である。
そのため、経済を管理・統制する機関 として、商人ギルド「金色の獅子」が存在している。
「金色の獅子」は、単なる商人の集まりではなく、ロストンの経済を実質的に支配する組織 である。
帝国の直轄領ではないロストンにおいて、商人ギルドの力は絶大であり、
商取引、税制、物流の調整、物資の価格設定、信用取引の管理 などを担っている。
2. 商人ギルドの役割
■ 主要な機能
商業取引の認可・管理
- ギルド登録をしていない者は正式な商取引ができない
- 取引には ギルド発行の信用証明 が必要
商品価格の調整と市場監視
- ロストンの物価は ギルドが管理 しており、急激なインフレ・デフレを防ぐ役割がある
信用取引(ローンや資本融資)の管理
- 一定の信用を得た商人は ギルドから資本を借りて事業を拡大することができる
- ただし、借金の踏み倒しは ギルドの「回収人」たちにより厳しく追及される
貿易ルートの調整と物流の管理
- ロストンは ラント帝国、ヴァルキア神聖帝国、カルマーン皇国の交易中継地
- ギルドは 各国との交易協定 を管理し、物流の安定を図る
治安維持と傭兵の雇用
- ギルドは 独自の警備団 を雇い、商人たちの安全を守る
- 盗賊団や密輸組織の摘発も行う
特殊取引と影の経済管理
- 「裏市場」(ブラックマーケット)の監視と管理
- 盗品や密輸品が出回ることを防ぎ、一定の「非合法取引」をコントロールする
3. ギルドの建物の特徴と構造
ロストンの 中心広場 から少し離れた場所に、
ひときわ目を引く巨大な建物がそびえている。
それが、商人ギルド「金色の獅子」の本部 だ。
■ 建物の外観
重厚な石造り で、ゴシック建築を思わせる荘厳なデザイン
建物の正面には 巨大な金色の獅子の紋章 が刻まれている
二階建ての大広間 を持つ、ロストンでも屈指の巨大な建造物
入口にはギルド警備兵が常駐 し、不審者の立ち入りを防いでいる
屋根の上には 交易の女神「メルヴァ」の彫像 が立っている
■ ギルド内部の構造
◇1階:商業エリア(取引所)
ギルド受付
→ ここで商人たちは取引許可を申請し、登録手続きを行う
商品市場
→ 商人同士が取引を行う大ホール
→ 契約の成立には ギルド発行の契約書 が必要
ギルド銀行(信用管理室)
→ 商人たちの 資金管理 を担当するエリア
→ 貸付、信用取引、融資の審査が行われる
◇2階:行政エリア(管理部門)
ギルドマスターの執務室
→ 商人ギルドを統括する**「ギルドマスター」** が執務を行う部屋
会議室(取引調整室)
→ ギルドの上層部が集まり、価格調整や交易方針を決定する場所
裏取引部門(密貿易監視室)
→ 密貿易や裏市場の監視 を行う部門
→ 必要に応じて、ギルドの「回収人」が動く
■ ギルドに関わる主要人物
1. ギルドマスター「レオポルド・ヴァインハルト」(52歳)
- 金色の髪を持つ壮年の男
- 商才に長け、ラント帝国の貴族とも深い繋がりを持つ
- 商売人でありながら、戦略家でもある
2. ギルド幹部「リシャール・カールマン」(45歳)
- ギルドの「金融部門」を統括する男
- 笑顔の裏に鋭い計算を隠す、交渉の達人
3. 「回収人」ヴォルフガング(38歳)
- ギルドの「闇の執行人」
- 金を踏み倒した者には“粛清”が待っている
4. ギルド訪問シーンの描写(オリカ視点)
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ヴィクトールに連れられ、ギルドの門をくぐる。
「でかっ……!」
私は、目の前の 巨大な石造りの建物を見上げ、思わず口を開けた。
正面の壁には 金色の獅子の紋章が燦然と輝いている。
「ここが……商人ギルド?」
ヴィクトールが軽く頷く。
「正式名称は『金色の獅子』。
この街の経済を実質的に支配している組織だ」
私は、ごくりと息を飲みながら堂々とした正面玄関へと歩を進めた。
扉を開けると、驚くほどの熱気が中に渦巻いていた。
商人たちが契約を交わし、取引を叫び、交渉を行う巨大な市場。
「やあ、いい木材が入ったぞ! 交渉しようじゃないか!」
「馬鹿を言うな、先週よりも価格が高すぎる!」
「この契約書を見ろ、俺たちにはギルドの保証がある!」
まるで証券取引所のような光景だった。
「すごい……」
この場所で、ロストンの経済が動いているのだ。
ヴィクトールは、受付に向かい、静かに言った。
「この娘をギルドに登録したい」
こうして、私は 「商人ギルドの一員」 となる第一歩を踏み出した——!