プロローグ
時々ふと、感じてしまうんだ。
この儚くて、小さな世界の中心を。
それは僕自身なんかじゃなくて、
止められない空のサイクルでもない。
ただ、ふいに吹き抜ける風の中に、
今日と明日を分ける雲の切れ間がある気がする。
授業の終わりを告げるチャイムの音。
窓の外、傾き始めた陽が校舎の壁を淡く染めていく。
時計の針はほんの少し急かしたように早足で、
私はまだ、ノートの端に書きかけの数式を残したまま。
「織華、帰ろう!」
聞き慣れた友達の声と、放課後。
揺れるカーテンのそばで、グラウンドに落ちた木漏れ日を目で追いかける。
カバンを肩にかけながら、教室を出るその瞬間、
なんでもない一歩が、今日を追い越していくような気がした。
駅まで続く坂道。
足元で揺れる影。
どこまでも続くように思えたこの日々も、
きっとある日、音もなく消えていく。
それでも、私たちは毎日同じように笑って、
新しい話題を見つけて、昨日とは違う今日を探してる。
「ねえ、今日さ、ちょっと寄り道しない?」
「いいよ、どこ行く?」
そんな、ありふれた約束を交わしながら、
風の通り道とすれ違う。
すべてがいつか変わってしまうことを、
本当はずっと前から知っていたのに。
それでも——
明日もまた、空はどこまでも高く——
いつかじゃない「今」を、連れてきてくれたなら。
——(作詞・作曲:みほちょむ,2023年透明標本の「消えそうに塗りつぶした桃色」より、歌詞を一部引用)
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藤崎 織華 — プロフィール
◇ 基本情報
・本名: 藤崎 織華
・年齢: 享年19歳
・誕生日: 5月12日
・出身: 日本・東京都
・身長: 160cm
・血液型: A型
◇ 容姿
・黒髪のストレートで肩にかかる程度の長さ(普段は後ろで緩く束ねている)
・色素の薄い茶色の瞳(知的な印象を与えるが、どこか迷いを孕んだ目をしている)
・透明感のある肌で、清楚な雰囲気
・体型は華奢で、細身ながらもしなやかさを感じさせる
◇ 性格
・努力家で、強い意志を持つ
・幼い頃から負けず嫌いで、一度決めたことはとことんやり遂げようとする。
・どんなに困難でも、自分の力で道を切り開こうとする芯の強さがある。
・聡明だが、どこか迷いを抱えている
・幼い頃から優秀で、勉強は常にトップクラス。
・しかし、「自分が本当に医者に向いているのか」と迷いを抱えていた。
・人当たりがよく、周囲からの信頼が厚い
・周囲の人間に対して優しく接し、困っている人がいれば手を差し伸べる。
・ただし、自分の感情を押し殺してでも他人を優先することがあり、無理をしがち。
・真面目で実直、でもどこか抜けている
・勉強や仕事に関しては完璧主義だが、日常生活では天然な一面もある。
・ぼーっとしているときがあり、友人たちからは「しっかり者だけど、意外と抜けてる」と言われていた。
【学歴・経歴】
■ 高校:
・東京都内にある難関私立高校「聖桜学園」出身。
・偏差値75の超進学校で、東大・医学部進学者を多数輩出する。
・高校時代は理系コースに進み、常にトップクラスの成績を維持。
・特に生物・化学が得意で、医学部を目指すことを決意する。
・一方で、勉強だけでなく部活動(科学部)にも参加し、人体や薬学に関する研究を行っていた。
■ 大学:
・医学部(国立大学・桜蔭大学医学部)に現役合格。
・1年次から解剖学や生理学、生化学などの基礎医学を学ぶ。
・しかし、大学での勉強は想像以上に厳しく、「医者として生きること」の現実に直面する。
▼ 医学生としての挫折
—「知識だけでは、人を救えない」—
織華は座学や理論には絶対の自信を持っていた。
試験でも常に上位で、論理的思考力にも優れていた。
しかし、実際に病院での臨床実習や患者とのコミュニケーションを経験する中で、「医師としての適性」に疑問を抱き始める。
・現場では、教科書の知識だけでは対応できない場面が多い。
・実習で、急変する患者を前にして何もできなかったことがあった。
・「この患者の命をどうすれば救えるのか?」と考えても、瞬時に答えを導き出すことはできない。
・医師には「即断即決」「臨機応変な対応力」「患者の感情を汲み取る力」が必要だと痛感する。
・「知識はあっても、実践で使えなければ意味がない」
・診察では患者の訴えを聞き、必要な検査を指示し、診断を下さなければならない。
・しかし、実際の現場では「理論通りにいかないこと」がほとんどだった。
・「いくら勉強ができても、現場で適切な判断ができなければ意味がない」という現実を突きつけられる。
・「患者とどう向き合うべきか」が分からなかった
・医療には「技術」だけでなく「コミュニケーション能力」が不可欠。
・だが、織華は「患者の心に寄り添うこと」の難しさを知る。
・ある患者に病状を説明しようとした際、「お前に何が分かる」と言われてしまう。
・それがショックとなり、「私は本当に医者としてやっていけるのか?」と悩むようになる。
なぜ医者を目指したのか
織華が医者を志したのは、幼少期のある出来事がきっかけだった。
•幼い頃、事故で大怪我を負ったことがある
•幼稚園の頃、公園で遊んでいた時に転倒し、頭を強く打ってしまった。
•病院に運ばれた際、優しく接してくれた医師のことを今でも覚えている。
•「医者ってすごいな、こんなふうに人を助けられる仕事をしたい」と思うようになった。
•家族の影響も大きい
•父親が医療系の研究職で、医学に触れる機会が多かった。
•幼い頃から医療や人体に興味を持ち、自然と医学の道を志すようになった。
•“人を救いたい”という純粋な想い
•ただし、それが「本当に自分の道なのか」とずっと悩んでいた。
•医学部に入ってからは、「知識だけでは人は救えない」と実感し、理想と現実のギャップに苦しむ。
▼ 転生前の最後の記憶
—「生と死の境界」—
織華は事故に遭い、生死の境を彷徨った。
それは単なる交通事故だったが、頭部を強打し、昏睡状態に陥る。
病院のベッドの上、意識の奥で彼女は「母親の泣き声」を聞いた。
「織華……お願いだから、目を開けて……」
手を握られる感触。
しかし、その手を握り返すことはできなかった。
意識が沈みゆく中、彼女の脳裏には「生と死」の狭間が広がっていた。
—— もし生き返れたら、私は何をしたい?
—— もう一度、医者を目指したいのか?
—— それとも……
その瞬間、光が差し込んだ。
気づいた時には、異世界に転生していたのだった。
織華の転生前の人生は、「理想と現実の狭間で揺れる」 ものだった。
だからこそ、転生後の彼女は「今度こそ、人を救いたい」と願うようになったのかもしれない。