表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやし聞書さくや亭《十翼と久遠のタマシイ》  作者: 地底乃人M


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/70

第三十九話

❀いざ、出陣❀




 夜になる 依るになる

 (中略)──

 ぼくがいって ぼくが願った

 質問をうける 頭を横にふる

 なにもかも 消してしまおうか

 あれは飢えているといわれた

 (中略)──

 ぼくは いま      

 おそろしいことにとりつかれている  

 頭を横にふらなくては

 ならないのに

 そうしては ならないのに

 あれは待ってはくれないから

 ぼくの人生は決定されて

 おなかを()かせた魔物が

 大きな口をあけて待っていた

 夜になると 

 ぼくの(まが)ごころが深くなる

 ごめんなさい お父さん

 ごめんなさい お母さん

 ぼくのねたみ 深くなる

 だから そのまえに




「この夜ってのは、時間のことを()してるっぽいよな」


「そうだのう。なにもかも消すとは、心中おだやかな話ではないのう。第三者のにおい(、、、)がプンプンするのう」


「第三者って、この質問をうけるってところだな。こいつ、魔物にこわがっているし、(いや)存在(やつ)が、身近にいるってことじゃねぇの? ごめんなさいって両親に謝罪してるけど、どっち(、、、)の意味だろう……」


「だれかに、そそのかされたような、不本意な結末に悩んでいるからこそ、最初から最後まで、なにやら不穏な唄なのであろう。しかし、意思決定は少年側にある。これまでのことを、後悔しておるのやもしれんぞ」


「先生は、どう思う?」


 螢介と風估の解釈に、亭主はニコッと笑みをつくり、「謎解きの基本は現場を(たず)ねることかな」といって、料紙を丸めた。……現場? あ、いやな予感。


「行っておいで」


 そう云われるだろうと想像できた螢介は、「いいけど、先生もいっしょに来てくれよ」と、やや語気を強めた。亭主は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの表情へもどった。



此度(こたび)の件は、ネコを連れておゆき。わたしがそばにいるよりも、彼女のほうが力になるよ」


「ネコを?(あいつ、化猫なんだよな?) おれは、先生とふたりで調べたいのに……」



 ()ねた口調で亭主を見つめる螢介の脇腹を、風估が(ひじ)で突いた。


「身のほど知らずめが。くらやみの云うことは、素直にきいておくがええ」


「なめこさん(なんか腹たつな)。……はいはい、わかりました。わかったよ! ネコと、現場検証してくればいいンだろ。行ってくるよ」


「天蔵の小僧よ、急所は大事に使うのだぞ。まず、相手を選ぶことが重要である」


「……急所?」


「男の急所といえば、きまっておるじゃろう。ひとたび使えば元気になれて、極上の裏庭はやみつき(、、、、)になるという……」


「風估、彼は未成年ですよ。あまり茶化さないでください」


 なにやら小声で話す亭主と風估は、螢介の下半身を一瞥した。……さては、ふたりして、おれを揶揄(からか)ってるな。未成年なのは、あと数ヵ月だってのによ!(※十八歳で成人あつかいの設定。ただし飲酒や喫煙などは二十歳(はたち)になるまで禁止)


 亭主にたいする螢介の思いは、説明がむずかしい。家族ごっこだと考えるようにしていたが、とくべつな感情は募ってゆく。男の急所がなにかを察した螢介は、「おれだったら、まず最初は先生に使うかもな」と口にして、さくやを困惑させた。めずらしく涼しげな顔が赤面したので、螢介は満足して肩をすぼめた。


 聞書後、静かに眠る少年の寝顔は安らかに見えたが、タマシイの抜けた肉体は、常に危険に晒される。


「待っていろよ。おれが、おまえの真実とやらを調べてきてやるぜ」


「たのもしいのう。くらやみよ、天蔵が無事にやり遂げたさいは、褒美をあたえてやるがええ」


 その提案に亭主が肯定すると、螢介は俄然(がぜん)ひきうける気が増した。……オーケー、ネコと協力して、こんなのはサクッと終わらせてきてやるぜ!




〘つづく〙

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ