第1話
※この物語には『悪役令嬢は悪魔付きっ!』の外伝、ジェット・アンバー視点になります。1話から盛大なネタバレがあるので物語を最大限に楽しみたい方は本編『悪役令嬢は悪魔付きっ!』を読了後にお読みください。
なお、サブタイトルからのネタバレを防ぐために後書きにサブタイトルを付けさせていただきます。
偉大なる賢者の導きによって建国された、アイオライト王国。ボク、ジェットはその国の第二王子として生を受けた。
両親の容姿を良いところ取りをした容姿は、家族や城の女性達から、それはもうチヤホヤされていた。しかし、それが一変したのは六歳の誕生日を迎えた直後だった。
「うわっ、なにこれ……」
母譲りの碧眼は血のように真っ赤に変わっていたのだ。突然の出来事に城中が大パニックになった。
「悪魔の目だ!」
「殿下が悪魔に憑りつかれた!」
阿鼻叫喚とはこのことを言うのだろう。それもそうだ。この国では赤い目の子どもは災いを招く悪魔だという言い伝えがある。王子が悪魔の目を持っていたら誰もが驚くだろう。
実際は悪魔に憑りつかれているわけではない。魔力が覚醒した時に起こる突然変異で、瞳の色が変色し、子どもは大きすぎる魔力のせいで制御ができない。そのため、魔力を暴走させる子どもを悪魔として例えられたのが、この言い伝えだ。
幸い、ボクは魔力を暴走させることはなかったけど、別の理由から家族からも家臣達からも遠巻きにされることになり、魔法学院卒業を機に臣籍に下り、辺境の地、アンバーの領主となった。
そして、三十歳を過ぎたあたりで王都では叔父による反逆が起こった。
ボクは王都へ戻り、国外へ嫁いだ姉以外を皆殺した叔父を殺害した。しかし、それだけではボクの怒りは収まらなかった。
叔父の謀略に加担した者だけでなく、城に残る人間を亡き者にした。
そして、妹やその家族の処刑を目にし、歓声を上げていた城下の人間は見つけ次第、殺して回った。
こうして、アイオライト王国は廃墟と化した都とアンバーの地だけを残し、他国に吸収される。
そしてボクが起こした惨劇は、赤い悪夢と呼ばれることになる。
これが、人生一周目のボクの生い立ち。
第1話 赤い悪夢の始まり