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隠れてた私の恋は3角形  作者: おかゆ
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1話

 私は普通の高校2年生の女子で自慢できるとすれば所属している女子ソフトボール部が県ではそこそこ強くて、私はレギュラーって事くらい。それ以外は、まぁ普通かな。


 登校して教室の机の上で突っ伏し、窓の外を眺める。今日も天気がいいなぁ、もう7月か夏は苦手だな、朝が弱い私は自然とあくびが出てしまうのを手で隠す。


 教室に誰か入って来たけど、私は気にせず机に突っ伏している。クラスの皆に挨拶をしながら歩いてきた。その足音は私の机の横で止まった。


「小夏ー、ういーす。ってか今日元気なさそーじゃん。どしたー?」


 この声はやつだ。うるさいなーと思いながら声の方に顔を上げる、短髪でお調子者のシンジが私の顔を覗いている。


「本当だー、小夏どうした? 大丈夫?」


 シンジの横に立っている眼鏡をかけた、タケルまで私の顔を覗いてくる。


 2人で私を囲んで顔をジロジロと見なくてもよくない? 私は珍獣でも何でもないってーの。


「寝不足だから平気、平気」


 手をひらひらさせて軽く返しておいた。


「なーんだ、また、ゲームで夜更かし? いつもの事じゃん」


「体を大切にしろよな」


 挨拶が終わると2人はそれぞれの席に着いた。タケルは優しいな体を気遣ってくれるなんて。


 シンジの奴は私が毎晩スマホでゲームしてると思ってるな、あいつめー。まあ毎晩はやってないけどゲームしてるのは本当だし、まっいっか。


 チャイムが鳴って教科書を取り出して少し待つと教師がやってきて一時間目が始まる、体育以外の授業が苦手な私のノートを取るはずの右手は仕事せずに、ここ最近のシンジとタケルの事に頭を働かせていた。


 シンジとタケルと私は小学校からの幼なじみ。

 小さい頃は3人で野球したり、駄菓子屋行ったり、自転車で何処まで遠くへ行けるか冒険したり、楽しかったなぁ。


 ちょっと前までは、三人で出掛ける事が多かったのに最近は何故かあいつら2人がそれぞれで誘ってきて、私と2人で遊びに行きたがるし、恋バナがやたら多かったり、理想のタイプを聞いてきたりなんやらで、おかしい気がする、色気付いただけかなー。


 私としては昔みたいに仲良く3人で面白おかしく過ごしていたいのになーって思ってしまう、3人で行動した方が絶対楽しいのに。


 お調子者のシンジがドジして笑いが起きて私が賑やかして、冷静なタケルが上手くまとめて、3人で笑いあう。そんな昔が楽しかったな。

 あーなんかモヤモヤする。どーしたらいいんだろ、なんだかなあー。



 △ △ △ △ △



 あっという間に今日一日の授業が終わり、放課後になる、よし部活だ、今日は変に頭使っちゃったから部活で体を動かしてスッキリしよう。鞄を持ち、立ち上がる。


「小夏ー。部室まで送るぞー、俺と行こーぜ」


 とシンジから声がかかる。


「俺も部室まで送って行こうと思ってたんだ、俺と行こう。小夏」


 シンジの声を追いかける様にしてタケルからも言われる。


 はあー、今日もか。最近になってから毎日これである。私の選択肢は1つだけ。


「はーい。シンジ、タケル行くよー」


 2人の手を取り3人で部室に向かう。これも最近の恒例となっている。「俺じゃねーのかよ」とか「俺とは」とか聞こえたけどお構い無しにズンズン廊下を進む。


 この2人は何でそれぞれ誘ってくるんだろ、3人でいた方が絶対楽しいのに。それを言葉には出さないけど、こうして3人でいられて嬉しい私はルンルン気分で今日も仲良く3人して部室にむかうのであった。




 △ △ △ △ △




 シンジとタケルとは部室前で別れて、今はフニフォームに着替えてる最中、親友の香奈枝(かなえ)が不思議そうに話してくる。


「小夏さ、2人が可哀想だからどっちかに決めてあげたら?」


「えっ、何がー?」


「何がーって、シンジ君とタケル君の事だよー。あの2人、タイプは違うけど、どっちも顔は整ってるしどっちを選んでも楽しそうじゃん?」


「決めるとか選ぶとかよく分かりませんなー」


「はー? 大体は察しつくでしょ?」


「んー、なんの事やら」


「もういいよっ。自分の気持ちに気付いた時には2人がそばにいないって事もあるんだからね。2人が小夏から離れていっちゃっても知らないよ」


 膨れ顔で部室を出ていこうとする親友に抱きついて必死に引き止める。


「ごめん、ごめん。自分でも返しが適当すぎたと思ってる、反省するから許してー、香奈枝」


 香奈枝に抱きついて謝ると気持ちが通じたのか、もういいよ、気にしてないからと笑みを向けてくれた。


「小夏がどう思ってるのか知りたかっただけなのに、深入りしすぎたね、ごめん」


「私も悪かったから、ごめん。本心というか私の現状の気持ちなんだけどね、恋愛というのがよく分からないんだ。付き合いたい気持ちとか誰かとずっと一緒にいたいとかも分かんないし、精神年齢低いからかなー、そのへんの気持ちが欠けてんだよねー」


 加奈枝は驚いた表情をしたあと、すぐに普通の表情に戻り口角を上げた。


「へー、少し驚いたけど。なんか小夏らしいね」


「そーかなー。だからシンジとタケルを選ぶっていうのも分かんないし、3人で一緒にいるのが楽しいんだ、私は!」


「なるほどねー」


「ま、そんな訳なんだー。あっ練習始まっちゃうよ、グラウンド行こー」

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