鉤爪ゲット
あー……。
まさかパンツか靴下を要求されるとは思わなかった。
パンツはちょっと嫌だけど靴下ならまあいいか……いいのか?でもそれで食料と水が手に入るなら安い……のか?
靴下なくなったら靴擦れしそうだなー……う〜ん。
まあいいか。
「じゃあ靴下をあげます」
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!(ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!)」
コボルトさんが狂喜乱舞している。
マジでバグったゲームのキャラみたいな動きで猛烈に喜んでる。こわ。
右足を靴から抜いてスルッと靴下を脱ぐ。
黒だから汚れは目立たないけど、ちょっと汗ばんでる。うえ〜……。
左足も同様に脱ぎ脱ぎ。
「ほい〜」
「WoW(WoW)」
王から国宝でも下賜されるかのように恭しく受け取るコボルトさん。
んん〜?これが超絶美少女の靴下ってんなら僕にも共感出来るんだけど、僕だからな。
いや、まてよ?犬的には僕って超絶美少女だったりするのか?
超絶美少女犬♂……。
「クンカクンカスーハースーハー」
おっ、目の前で嗅がれるのはキツいね。
精神がゴリゴリ削れるよ。
「食べ物と水……」
くれ……。
「!……ワオッ!(ハッ!ごめんごめん、着いてきて。俺達の集落に案内するよ!)」
「おねが〜い」
ーーーーーーーーーー
その後、僕はコボルトの集落で大歓迎されてご馳走と飲み物をたらふく飲み食いした。
……どうやら僕は犬にモテる。魔物でもね!
僕の外見がコボルト視点で、超絶美少女犬♂、もしくは超絶美少年犬である可能性は高まったと言える。
だけどまあ、みんな良い犬で楽しく過ごせたよ。
寝床も貸してもらったので、今日はここで休もうと思います。
おやすみ〜。
………………
「ワオワオ……(寝たか?)」
「ワオッ……(多分な……)」
ーーーーーーーーーー
ちゅんちゅん
小鳥の囀りで目が覚める。
ん〜〜〜〜?なんだかやたらと全身がベタつくな……寝汗かな?暑かったけど。
うっ、ちょっとけものくさい……水場に案内して貰って、身体を洗おうかな。
その後、身体を清めた僕はコボルトたちの集落を後にした。
だいぶ引き止められたけど、帰りたいんでね。
まぁ3階層への階段が見つからなければまたお世話になります。
うん、よく眠れたからか身体はスッキリしてるね!
今日も元気にダンジョン探索していくぞーっ!!
そういえばコボルトの集落で剣帯と鉤爪を貰いました。
鉄の剣はこれで腰に吊るせるね。
んでもって鉤爪、これがまたカッコイイ。メリケンサックに刃が4本ついてる感じ。刃渡りは30cmくらいで扱いやすそう。
獣戦士的にもアリじゃないか?
今はそれを両手に装備してるよ。
良いもんくれてありがとね、コボルトさん達!
それと二階層にはやっぱりコボルトしか魔物はいないらしい。居るのは動物と虫だってさ。
だからさっさと三階層を目指します。