匂いフェチ?
う〜ん、お腹は空いたし喉も乾いたけど、まだ限界って程じゃないかな。
もうちょっと探索してみようかね。
「どぅどぅでゅどっ♪どゅっどゅっ♪」
ゴブリンはもう敵じゃないし、サクサクいこう!
ーーーーーーーーーー
足に乳酸が溜まってきたような気もしないでもない頃、ようやく見つけました!
「2階層への下り階段!出口じゃないのは順調にやばいね!」
参ったな〜。
2階層に食料と飲める水があればいいんだけど……正直期待薄だよね。
一階層をもっと探索して出口を探すべきなんだろうけど、ゴブリンばっかりで飽きたし、2階層が気になる。
いいや、行こう。
「ゴブリンじゃないのが出るようになったらいいなー」
タンタンっと階段を降りていく。
地味に結構長い階段だ。
まるで永遠に続きそうな……着いた!うぇーい。
階段の先は森でした。
すげーっ!!!なるほどなあ!なんでもありなんだね!この木漏れ日は擬似的な太陽光?普通に空があるけど……。
そう見えるだけ?
「木だ〜」
ぺたっと手のひらで木の表面に触れてみる。
ちゃんと木だね!
ふむふむ……。
まてよ、森ってぇことは食べるものあるんじゃないか?ワンチャン川もあったりして。
助かる!未来は明るいなぁ……!
ガサガサッ
近くの茂みから物音。動物よりは魔物の可能性。
そんなに大きくは無さげだけど。
視線を物音の出処へ向ける。
ガサッと現れたのは。
「二足歩行の犬……」
コボルトってやつ?見た目は柴犬みたいな顔で、それが棍棒片手に二足歩行してる感じ。思った以上に可愛い。
身長は僕よりちょっと小さいくらいだけど、僕の身長が160cmだから十二分にデカいね!
それにしても、コボルトか……犬好きだから殺したくないな〜。
僕ってほぼ犬判定を女神様に受けてる訳だし、戦闘回避出来たりしないかな?仲間だよー。
「コボルトさん!食べ物ありませんか?」
ちょっと話しかけてみっか!ダメ元ダメ元。
コボルトさんは少し首を傾げてこっちを眺めている。
うーん?このダンジョン基本的に魔物の殺意低め?ゴブリンも今思い返してみると、先手取ってくること無かったような……。
「ワォワォ……(ワォワォ、仲間?)」
通じた〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!
え!僕やっぱ犬なん。なんか吹き替え的な感じで言ってること分かるわ。
とりあえずまぁ仲間じゃないけど仲間ってことで!
「うん!道に迷ってお腹ぺこぺこなんです〜。食べるものとお水が欲しいです!」
「ワァオ……(ワァオ……かわいそうに……)」
しかもなんかいい人っぽい。これはワンチャンあるね。
「ワォ?ワォ……(でもタダじゃ無理だよ?物々交換でお願い……)」
えー、差し出せるもの無いんだけど……。どうしよう……。
「持ち物が無くって……今来てる服と剣しかないんだけど、剣は出来れば手放したくないな……」
コボルトさんはこちらにとっとこ近付いてきて、フンフンと僕の匂いを嗅ぎ始めた。
やっぱ可愛い!モフモフしたいな……、流石に怒るかな?
「ワォオ!ワォッワォッ!(君いい匂い!じゃあ君の身に付けてる服と交換しよう!)」
いい匂い?汗めっちゃかいたから汗臭いと思うけど、コボルト的にはアリなのかね?
んでもまあ、服でいいなら……ん?服全部?全裸はきついぞ!家にも帰れなくなる!
「どの服と交換してくれる?」
様子見のジャブ。これで、は?全部の服だけど?って言われたら断ろう。それか値下げ交渉。
「ワゥ〜……ワォオーンワォ(う〜ん、なるべく匂いの濃いやつ……パンツか靴下ください)」
……お?????
コボルト匂いフェチ説。