ゴブリンデストロイヤー
ずんずん通路を進んでいくとさっきの小柄な影がまた見えた。
「ぎゃぎゃっ!?」
お、やっぱりゴブリンだ。
喰らえ鉄筋フルスイング!
まさかいきなり何の躊躇も無く頭をフルスイングされるとは思っていなかったゴブリン。
実はこのダンジョン、誰も入ったことが無い新規ダンジョンの為、魔物側も戦闘経験がゼロなのであった。
犬太にとっては正にラッキーである。
「ぎゃああああっ!」
「断末魔人間みたいでやだな……」
その後もゴブリンを見つけ次第フルスイングで頭を割っていく。
「ぃぎゃああああああっ!」
「あああああああっ!!!」
「ぎぃいいいいいっ!!!」
「ひぎゃあーーーっ!!!」
最初はグロくてテンション下がったけど、慣れたらそうでもないなっ!
パンパカパン♪
《犬飼犬太はレベルアップしましたステータスと唱えてステータスを確認して下さい》
はー良い声……ゴブリンの汚い断末魔がこびり付いた耳が内部から浄化されてゆくー。
録音出来たら一生聞くんだけどなー。
あ、ゴブリンみっけ。
「んっぎゃあああああああっ!」
やられボイスのバリエーション豊富だね!
でもせっかく女神様の麗しきボイスで浄化された耳がまた汚れたよ。不愉快だね。
この階層はゴブリンしかいないのかな?でもまあ、此処で頑張ってもっとレベル上げた方がいいよね多分。もうちょっと割ってくかあ。
「ぎゃぎゃぎゃああああっ!!!」
「やぎゃあああああああっ!!!」
「んやああああああああっ!!!」
「ぃやああああああああっ!!!」
ダンジョン内にゴブリンの断末魔が響き渡り1時間。
犬太が飽きてきた頃にまたしてもレベルが上がった。
パン《犬飼犬太のレベル上がりましたステータスを確認して下さいステータスは心の中で唱えることで確認できます》パカパン♪
ファンファーレにくい込んで女神様の有難いお言葉が聞こえた。
けどめちゃくちゃ早口でなんて言ったかわからなかった。
心做しか少し怒ってるような……?
あ、ステータス。
僕がステータスと心の中で唱えると、目の前に半透明のウィンドウが表示された。
うおお、近未来!かっこよい。どれどれ、僕のステータスは?
Name 犬飼 犬太 ♂
Lv 4
Job 未覚醒
Skill 嗅覚犬並
ふーん。
HPとかMPとかそういうのは無いんだね。
力とかも無いのは意外!なんかレベルアップして身体能力上がってる感覚はあるから、上がってるには上がってるんだろうけど……。
じぇいおーびー……未覚醒!なんだそりゃ!
スキルは嗅覚犬並、鼻が良いってこと?それスキルなんですか????
戦闘に役立つスキルが良かったなあ……これ鼻良すぎてもデメリットあるんじゃないの……?
ゴブリンちょっとくさいし……。
ちょっとガッカリだよ。
ん?行き止まりかな……いや、通路の先になんかある……宝箱だ!
初宝箱!罠とかあるかな?わかんないけどまあ開けちゃおう。
パカー
「おお〜」
剣だ……!鉄の剣かな?かっこい〜!
さらば鉄筋。ポイ〜。
「おもっ」
鉄筋より微妙に重たい。レベルアップしてなきゃ両手持ちしないと触れなかったかもね。
僕が非力だから?んな訳ないよねえ。
でもこれで僕も剣士だ!剣振ったことないけど、なんとかなるでしょ!
鉄筋とかまじださいよね、やっぱ剣だよね〜。