600年後の自分を救うため世界を変えることにした
たたき台として書いたがこれ以上書く気が起きないのでチラシの裏的にUP
推敲はされてない。
2021/10/24
体力が回復したので少しだけ内容を推敲。
おれはタケル。35歳の建設コンサルタント会社の社員だ。俺には前世の記憶がある。ところが、めんどくさいことにその前世とやらが地球とか言ういわゆる異世界というものだった。
転生前の記憶を取り戻したのは12歳の時。この世界でも地球と同じ6・3・3制の学制がしかれている。なので小学校の6年生の時だ。歴史の授業で世界地図を見ていた時だ。昔からふとした瞬間にデジャブのような違和感があったが、こっちの世界地図を見た瞬間突然前世の地球の記憶がよみがえった。「あ!この形オーストラリアじゃん!」っていう軽いノリの思い出し方だった。それからは出てく出てくる前世の記憶。まるで洪水の様だったね。
え?別に情報量が多くて頭が痛くなるとかはなかったよ。忘れていたものを思い出しただけだからね。ただ、異世界っていうのがネックでね。頭がおかしいやつって言われるのが怖くて誰にも言ってない。別に言わなくても問題なかったからね。
異世界転生っていうとさ、普通文明レベル中世でチート知識で成り上がりっていうのがパターンじゃん?なのにさ、文明レベル高いんだわ。石鹸?8個セット1000ジェンでスーパーで売ってたよ。醤油みたいのもあったし、Tシャツも安けりゃ700ジェンで買えた。水道も下水道もウォシュレットもあった。ついでに魔法も使えた。これだけが地球との違いかな。
これだけそろってれば異世界知識なんて必要ないさ。でなけりゃ普通の会社員なんてやってないって。
惑星シャロックってこの星は呼ばれている。異世界語で地球って意味。でまあ、この星はオーストラリアみたいな形の大陸が一つだけあって地球同様生命が生まれたが大陸のその広大さ故にいつしか一つの種が遠い距離を置くようになったんだ。それから60万年後その種はそれぞれ別の種として独立しそれぞれ文明を築いた。文明が進み人口が増えるとついに二つの種は接触した。当初は広大な大地によって衝突は回避されていた。しかし、人口が増えるにつれ文明が進むにつれ水の豊かで温かい良好な環境と金属資源をめぐって二つの種族は対立を深め戦争を始めたってわけ。はい説明終わり。
つまり戦争の真っただ中にいるってわけさ。俺ってば超不幸。前世では戦争の「せ」の字もなく、火星テラフォーミング計画が実施されて宇宙開発の黎明期って時期で世間もノリノリでさ、俺もやっとこさJAXAの工学研究員として潜り込めたところだったのにいきなり交通事故で死亡でこっちの世界さ。
こっちの世界はもう間もなく最終戦争勃発するんじゃないかってもう、あっちこっちで核シェルターの建設ラッシュでうちの会社もウハウハ。おれは核シェルターの設計担当者だったから徴兵免除されて設計コンサルタントで今日も建設途中の核シェルターの中で状態確認中っす。
はい、というわけで本日のクライマックスです。パチパチ。
最終戦争勃発しちゃいました。前述の通り核シェルターの確認中だったから即死は免れたものの死の灰でここから出られません。食料もありません。建設途中の仕上がり確認だったからまだ植物プラントがなく、食料は増産不可。幸運なことに空気と水の浄化設備だけは動いていたから水だけは飲める。だけど数日で俺死にます。死因は餓死。建設途中の現場に食料なんて備蓄するわけないよね。なぜこんな世界に生まれちまったんだよ俺……。せめて次は地球に生まれ変われますように……。
タケル享年35歳。死因餓死。
主人公0歳。
次に意識を取り戻したのは、粗末な家の中だった。うまく動かせない身体。よく見えない視界。パニックを起こしそうになりながらも周囲を観察する。俺は赤ん坊になっていた。再度転生を果たしたらしい。地球じゃないな。魔法を使ってる。言葉がシャロック星に似てる。最終戦争後の世界か。今世でもタケルという名前だった。また平民でどうやら商家のようだ。文明レベル中世。あれ?前世の記憶を引き継いでいるならチートじゃね?一人で歩き回れるくらいになった頃に父親と母親の会話で聞きなれた単語を耳にした。バーゼミリオンで戦争が起こったらしい。この戦争は習ったぞ、戦争奴隷を大勢生み後に種族間対立悪化の引き金ともなった歴史の転換点ともいわれていたものだ。え?ってことは俺は過去に転生したの?まっさかー。戦争後の世界でも地名が同じなんてことよくある。ちょっと調べれば直ぐに。。。あれ?ひょっとして、ひょっとするの?
主人公15歳
俺は未来知識を利用して事業を始めた。一つは自分の前世知識が本物であるかを確認するため。もう一つは、前世の自分を餓死から救うため。「最終戦争を防ぎ人類の未来を救う」なんて無理無理。英雄なんてがらじゃないしね。凡人は凡人らしく大人しくします。
というわけで、最終戦争を未然に防ぐという方針を早々と放棄。俺よりはるかに優秀な奴らが設立した国際連合、国際連盟が次々と失敗してるんだ。凡人である俺がこれ以上何かを行っても無駄だよ。とりあえず最終戦争後の復興事業に注視することにする。必要なのは食料培養技術。エネルギー生産技術。宇宙船のような循環型コロニー技術。やるべきことはいろいろありそうだ。
とにかく目前の指標として金を稼ぐことから始めなくてはなるまい。
最終戦争600年前の今はまだ立憲君主制は確立しておらず王侯貴族がそれぞれ土地を治めていた。人口もせいぜい大都市で10万人程度。ガラス細工はいまだ鉄を分離できず緑色をしており、石鹸も高価だった。600年後から見れば原始的な魔法技術が市民の生活を支えていた。国民の大半が農奴で都市に住む者は人口の2割程度に過ぎなかった。鉄加工は国家の一大プロジェクトだったが、森林資源が限られており鉄に限らず金属製品は非常に高価だった。
俺は、利用されていない石炭に目を付けた。石炭ならば森林資源を消費せず砂漠化を起こさずに手軽に燃料として利用できる。この時代石炭から硫黄を分離したコークスが発明されておらず、金属加工の燃料としては使用できなかった。そのため、国家が生活用の火だねとして木炭の使用を禁止し代わりに石炭を燃料として使うようにお触れが出されるほどだった。
コークスの製造を伯爵家に売りつけコークス製造会社を立ち上げた。自分が興した会社名をゲート社と決めた。前世で自分が所属していた会社だった。そして、社訓として前世の自分を雇い指定の核シェルターにかくまうように指示を残した。
主人公18歳
政商として刀鍛冶として武具の生産の傍ら、金に任せ趣味の研究を始めた。
主人公20歳
もともとモノづくりが好きだった俺は前世で工学科を卒業していた。フライス盤や旋盤を使用して万力やらねじやらを製作した経験があった。その時に学んだ知識をもとに鉄加工のための旋盤、フライス盤の開発を始めた。
目指すは自動車の開発。せめて蒸気機関車くらいは作りたい。歴史改変?最終戦争が起こる未来になにを遠慮すればいいの?どうせ私は凡人。大したことはできない。どうせこれも歴史の補正力で時間の誤差レベルで最終戦争が起こるのだろう。ならば、核シェルター技術と食料生産技術ぐらいまでは発展させておくべきだろう。
ついでに800年前頃から金を作るために広まった錬金術をルーツに持つ化学者を集め、物質の単離化研究を始めた。
主人公25歳。
ついに蒸気機関車の開発に成功した。次なる目標は内燃機関である。あと、知り合いの商人の娘さんと結婚しました。美人と言っていいでしょう。
主人公35歳
俺は鉄道事業を始めた。鉄道建設技術は核シェルター製造ノウハウを得るためである。山脈を掘り抜き最短で地方と都市を往復できる鉄道は瞬く間に市民の支持を集め鉄の巨人と呼ばれた。猿人族の生活はうなぎのぼりである。
あと、この10年で子供が4人できました。女、女、女、男です。おかげで家では女系家族で男は肩身が狭いです。妻は男の子が生まれて感激してました。私は前世の記憶があるから気にしてなかったのだが、親族から跡継ぎはできないのかと大分言われていたみたいです。おかげで末っ子にべったり。マザコンにならないか心配です。
主人公37歳。
石炭不足が生じるようになった。より効率的に石炭を採掘するためにタケルはダイナマイトを試作した。試作は大成功でいい具合に威力が出せた。あとは量産設備を整えればいいだろう。まあ、計画は明日にでも練るかね。俺は早々に自宅に帰った。
その矢先夢を見た。俺の目の前には粗末な服を着た獣人族がいた。そして、その粗末な服の獣人族はガタイの良い二十歳くらいの猿人族に殴られ地面にへばりついていた。一方的に暴力を受けるその獣人族はまだ7歳くらいの男の子だった。主人である猿人族に不快な思いをさせたため「しつけ」を受けているのだ。
タケルが猿人族の科学技術を発展させたため戦争は猿人族優勢のままついに敵勢力を屈服させた。時折獣人族の残党が山脈に潜み散発的なゲリラ活動を続けていたがそれも組織だった抵抗とは呼べない代物だった。
獣人族は獣と交わった汚らわしい動物としてそのすべてが奴隷に落とされた。獣人族の王族は、男は皆殺しにされ、女は愛玩奴隷として好き者の猿人王族や貴族に飼われたという。都合の良いことに猿人族と獣人族との間には子供はできない。良心を持ったものがいれば涙を流したことだろう。しかしそれは王侯貴族に限ったものではなかった。猿人族のすべての奴隷が法の下の自由を得て解放された一方で、穴埋めに獣人族がそれに代わった。
獣人族は300年間に渡って奴隷として管理され、終戦直後と比べればその人口は激減した。反抗勢力となることを政府要人たちが恐れたためであろう。最終戦争は回避された。多くの獣人族の屍の上に栄華を得た猿人族。しかし、西暦2000年代の地球を生きた前世の俺にとっては目を覆うばかりだった。人口知能とロボット技術の進歩により奴隷の必要性もうすれ世論の中にはさらなる獣人族の削減を!と叫ぶ過激思想さえ聞こえるありさまだった。さらにはバイオテクノロジーの進歩により遺伝的、物理的に獣人族の脳をいじくり徹底的に反抗心をそぎ落としたバイオロボットと呼称される獣人族さえ存在している。獣人族は家畜であり人ではないのだ。
前世の俺は、そんな世の中を嫌っていたが小心な凡人の俺にとってなにができるというのだろうか?俺は目をつむり現実から目を背け、一般猿人族として75年の生を終えた。老衰だった。
目を覚ました俺は自分のもたらした未来に戦慄した。これは夢ではなく実在する未来だ。あの未来はアウシュビッツであり天下を取ったナチスドイツだった。
このままでは壊れる。小心者の私の心が!そんな言葉が最後に来るあたりやはり俺は自己中な小心者の凡人であった。それはともかく未来の自分を救わなくてはならない。
俺は方針を転換する。やはり兵器につながるダイナマイトの開発はまずかったようだ。ダイナマイトの開発は中止。書類はすべて燃やした。もともと個人で実験していたので秘密が漏れることもないだろう。あと、道徳心。これがない世界があの未来だ。道徳心は生活が安定すれば勝手に向上するだろうと思っていたがどうも600年では足りなかったようだ。精神性の伴わない文明の発達はそれだけで破滅となりうる。
そしてその道徳心の発達を阻害したのは教会だと思う。前々から思っていたが経典に「獣と交わりし不埒な人ならざる獣」と明記してあるのはどうよ?でも、どうすべきか俺程度の凡人が国教を敵に取るなんてできるわけがない。ましてそれを解体とか、まず無理。国を挙げて凹られるのが目に見えるようだ。そういえばユダヤ人迫害の一因はキリスト教の経典だったよな。と一人地球時代を思い出す。キリスト教を起こしたイエス自身ユダヤ人だったというのに。宗教と迫害ってなんでこんなに仲良しなんだろう。
そんな時、ギースという名前の一人の神学者にあった。彼曰く、教会は獣人を「獣と交わった獣」と呼んでいるが、古代語で書かれた経典では「獣の尻尾を持つ人」と書かれており人間として記載しているという。経典には「なんじの隣人を愛せよ」という言葉があり、教会はそれを獣人にも当てはめて考えるべきだと彼は言った。
次いで先般の戦争で多くの獣人が奴隷となったことを話題に挙げ経典にある「強者が弱者を搾取してはならない。神は互いが助け合うことを望まれたからである。」という一文を持ち出し、奴隷制度自体にもそれを黙認する教会にも不満を表した。
また、現在教会が認定している経典には抜けがあり、古代遺跡で見つかった経典には「経典を預かる者、預言者は時代時代にいずれ又現れるであろう」と書かれていたそうだ。経典は時代によって預言者によって推敲を重ねるものであり、今の経典に全てを求めて獣人を蔑視するのは間違いだと大演説をしてくれた。
なんか久しぶりに獣人族を差別しないことを言う人に合えたなあと思っていたが最後の一言で私は絶句した。
「そして今の時代に現れた預言者こそ私です。私の教えを広める手助けをしていただけないでしょうか?」
前言撤回。こいつサイコパス系の危険人物だったわ。因みに後で知ったのだが教会の発行する経典には「預言者モーゼはロバに乗りこの世界に現れた」と書いてありロバに乗るのは避けるのが常識らしいのだが、彼はこの街に来るのにロバに乗ってやってきたそうな。本人曰くロバの方が安かったからだそうだ。良くも悪くも常識がぶっ飛んでいるようだ。
ただ利用できる人材であることは確かなので、こいつ人柱にして安全なところから教会改革も見るのもいいかなあととりあえずでキープすることにした。
どうやら俺は自己中な凡人だったようだ。それに屑さも少しブレンドされていたらしい。とりあえず活版印刷技術を持つ俺は惜しみなく彼の著書を世に放った。
これで少しはましになるだろう。ついでに「北風と太陽」とか「蟻とキリギリス」とか「マッチ売りの少女」とか「クリスマスキャロル」とか「レ・ミゼラブル」とか「コメ百俵」とか「二宮金次郎物語」とか道徳的な本も相次いで出版した。ぎりぎり富裕層には売れたよ。農奴は文字読めないからしょうがないね。とりあえず私塾を各地に立てて農奴の文字普及に努めました。もちろん教材はうちの会社の本ね。
また夢を見た。やはり、獣人は猿人の奴隷であった。猿人の奴隷はいないし、獣人奴隷のおかげで猿人はきつい肉体労働なしで文化的な生活ができた。政府の基本姿勢も獣人人口の抑制政策をとっていた。奴隷に代わりロボットを活用する方針も打ち出していた。しかし、変わっていたところもあった。 奴隷保護法である。内容は奴隷の身体を健康に保つ義務を奴隷保持者に求めるものだ。少なくとも街中で平然と奴隷に手を挙げる者は見かけなくなった。獣人は猿人の敵であり将来的には種族を抹殺しなければならない。しかし、抹殺には人道的配慮が必要である。想像のやや斜め下を行った思考回路だが道徳心が養われたのは事実のようだ。その世界の俺はやはり奴隷とは距離を置いて75歳で老衰で亡くなった。
俺は目を覚ました。えーと?とりあえず、妥協してこれで良しとするか?仲良しこよし、戦争のない平和な世界なんて凡人の自分では導けないと思っている。それなら獣人族にとっては悪夢の未来だがぎりぎり生活が保障されているみたいだし世界が滅亡しないだけでも自分が導ける最良の未来だと思う。本当に獣人には申し訳ないことなんだけどね。凡人てつらい。ただ問題発生。ダイナマイトのレシピを焼却したのに普通に戦争に使われてたわ。どうやらスパイが紛れ込んでいたらしい。使っていたのは王族派の兵だったから多分王族からの密偵だと思われる。これつついたら藪蛇になるだろうなあ。味方に殺されるかもってどうよ?うん。気が付かなかったことにしようか。……いや分かってる。それらしい人物は分かってるんだ。昨日の今日のことだからね。まだ王宮に報告とかはしてないと思うんだ。何とか説得すれば間に合うかもしれない。とりあえず話だけでもして見るか。石鹸製造責任者のゴンドルト・リカバー君ちょっと時間いいかい?来てくれるかね?
結果。ごめん。やっぱり俺凡人だわ。反乱って言っていい?逆に説得されて保護対象になった。だって気が付いたら複数人に剣突きつけられて「デッドオアライフ(死か服従か)」なんて言われたらそりゃあライフ選ぶでしょう。あの未来は確定しました。ごめんなさい獣人さん。
現状ですが、役職は名誉会長になりました。会社は国営で新会長は国から派遣されたお役人さんです。はい。国に会社乗っ取られました。名実ともに政商です。伯爵普通に俺を売りやがった。
考えてもみたら、目的はどうあれ効率よく兵隊送れる技術に敵地を簡単にぶっ飛ばす兵器作りだす研究してたら、謀反を疑われますよね。しかも、教会に盾突く聖書をこっそり販売してるとくるわけだ。殺されても文句は言えないね。今、お国のお屋敷に隔離されております。暇です。いつか愚低王と呼ばれろ。
しかもあいつ支持率アップのためなのか、鉄道運賃を定額固定の値引きしやがった。その上、俺の立てた私塾を公立化して義務教育とか言い出した。義務教育は全く周囲に話していなかったので正直驚いた。意外に有能だったのかあの愚低王。おれは前世知識の丸パクリだからね。でもこれだけは言わせてくれ。人の功績横取りしやがった!!地獄に落ちろ!
主人公40歳。
出家させられました。妻とも離縁です。妻を家長にして財産をすべて引き渡しました。それでも月に一度会いに来てくれています。本当によくできた嫁です。どうも、謀反を企てたものの王国に尽くした功績から国王のお暖かい温情により島流しということらしいです。反吐がでらあ。(やけくそ)。現在、国のお目付け役の下、地方の教会で講義を受けております。最低限、僧侶としての知識は持ってくれなくては困るとの教会側の判断です。僧侶としては神話と治癒魔法の知識が必要とのことです。講義は結構新鮮だった。どういう意味かって?例えるならば江戸時代の医者はこんな風に考えていたのか見たいな感じ?色々間違ってはいるが未来につながる考え方もちらほら出てきて歴史を感じる。神話の講義は、うん知ってた。600年後と変わらない。ギース君は聖書の中身を変えるまでには至らなかったようだ。
教会での生活は肉、酒、過度な食事は禁止。朝はミサを手伝い、昼は講義、夜は早めに就寝します。時報替わりの鐘突きは一番下っ端の未成年の小僧さんがやってくれます。肉が恋しい毎日です。お寺ってよりもキリスト教の教会に近い様式と儀式です。
教会はある程度病院も兼ねているようで、治癒魔法で怪我をした人の治療も行っているようです。私も修行がてら治療に出ております。前世の怪我や病気治療の知識が役に立ちました。
主人公43歳。
最近元妻と子供達が私の教会の近くに引っ越してきました。今では週1で会えます。私の唯一の幸福なひと時です。
かなりひどい怪我をした兵士を治療したところ崇められました。どうやら上級治癒魔法でないと治せない傷だったそうです。まあ前世知識あるからな。でも、やっぱり魔法を使うなら魔導コンピューターが欲しい。全部自分の脳みそを使って魔法を制御すんのってかなり疲れるんだよね。具体的に言えば魔力を流して病状を解析するときとかね。前世はそのところは楽だった。代わりに魔導CPUが計算して結果だけを教えてくれたんだから。実際のところ自分の脳みそを使っても魔導CPUにやらせても結果はほぼ変わらない。ただ疲れという意味ではずいぶん違ってくる。自分の脳みそを使うときは、意識で使っていない脳細胞を一時的に計算で利用するだけだから、無意識に計算をしているみたいな状態になる。だから、意識的には計算している感覚がないのだ。でもやっぱり脳みそを使っているわけなので疲れはでてくるのだ。前世の研究では一見使われていない細胞でも実は何かしらに使用されており、それを阻害するのは脳の健康を考えた場合悪影響を与える。なんていう研究結果もでていた。負担が少ないほうがいいだろう。
というわけで魔道CPUを作ることにした。と言っても本格的な魔道CPUは難しいので簡易魔道CPUを製作することにした。本来は魔導金属と半魔導材を積層して製作するのだが600年前の技術ではそんなことは不可能だ。そこで生物の神経細胞を培養して作る魔導CPUだ。神経の伝達には地球では電気とホルモンだったが、こちらでは魔力が電気の代わりに使われているようだ。魔力切れになると意識がなくなるのは神経細胞が疎通に使う魔力が足りなくなるためだ。重度の魔力切れでは死ぬこともあるっていうのは根幹細胞にすら信号を送れなくなって生命を維持できなくなるからだ。心臓が止まったりね。だからよっぽどのことがない限り魔力切れを起こしてはしてはいけない。
横道にそれた。そういうわけで神経細胞を培養するわけだが動物の脳細胞を培養するのはお勧めできない。SF映画エイリアン顔負けのグロテクスなオブジェの中日々を暮らす羽目になる。簡単なのが植物の根っこを利用する方法である。あらかじめ植物の種に魔力を練り込んでおいてあるルールにのっとって根っこが伸びるようにする。これ育てればいつの間にか根っこが絡まりあい神経細胞の様な様相を呈する。これは核戦争で滅んだ前世の獣人族が開発した技術だ。鉱物資源を猿人族に取られた獣人族はバイオ技術を磨くことでそれに対抗した。……そういえばなんで、世界が変わったのに核戦争の起こった未来を忘れないのだろうか?不思議だ。ともかく、教会内の敷地に魔力操作を加えた植物を植えて魔導CPUを作成していく。治療室にも植物の生命力を治癒に利用するためと言って怪我がひどいときに使用した。うん。こんな原始的なCPUでもあるだけで負担が違うね。
主人公48歳
いつの間にか5年がたった。3年目で晴れて見習いが取れて僧侶となり、治癒以外に冠婚葬祭で司祭として立ち会う許可を得るようになった。
自分の子供たちの結婚の祝福ができました。これだけは僧侶となれてよかったです。離婚はしたけど未だ夫婦仲は良好だと思います。
最近、育てた木が育ってきて植物性魔導CPUの性能が上がってきたため、魔力的な負担が減った。結婚式のときは健康になる祝福を軽く与えるようにした。これが良かったのか私が祝福したカップルが全員1年以内で子供ができたため、わざわざ遠方から子供ができない夫婦が私の祝福を得るために来るようになった。単なる免疫系統の活性化と疲労しにくくなる細胞の活性化魔法をかけただけなのだが。まあ、おそらく男性側が頑張ったんだろうねえ。あとは、元娼婦とかで病気持ちって分かった夫婦にはその都度治癒魔法をかけて治しておいたからそれもよかったのかな?
面談にきた不妊相談のカップルにはそれぞれ問題個所に治癒魔法をかけてあげました。魔導CPUあっての治癒だけどね。なんか最近、植物がエイワに思えてきた。魔導CPUなんだけどもうエイワでいいや。祖先の歌声が聴こえないかなあ。
というわけで結婚式の司祭としてちょくちょく祝福をかけていたのだが、その間にイレギュラーが1件起きた。なんと戦争奴隷の獣人と結婚したいと申し出たカップルが出てきた。当然教会は拒否。俺も面倒ごとはもうたくさんなので素直に引っ込む。いやほらさ、私未だに監視されているからね。下手なことはできないのよ。ちらっと本人を見たけど猿人基準で見ても美人さんだった。というか獣人は耳が長いっていうのと狼の尻尾があるってだけで他は見た目猿人と同じだからね。仲良さそうだったなあ。結局、事実婚みたいな感じで表向きメイドとして暮らしてた。男はさすが商人というか負けん気が強い。タフガイって感じだったね。居場所のいい街を見つけたと言って4年ほど前に商店ごとどっか別の場所に引っ越していった。
はずなんだけど今私の目の前におるわ。男の方。なんでや。なんでも、今住んでる村の神父さんが獣人に寛容な方でそこで結婚式を挙げたそうなんだけど子供ができなくて悩んでるらしい。その神父さんに相談したところ私のことを紹介されたそう。まあ、確かに最近そっち方面で有名なんだけさ。一応聖職者なわけでなんか微妙な気がする。なんかよく分からないけどその神父さん私をめっちゃ信奉してるらしい。俺が祝福を与えれば絶対できるとまで断言したそうだ。なにその不動の信頼。怖い。よくよく聞けば俺がこうして出家させられた一因となった本を書いたやつだよ。ギース君だった。宗教改革でチェ・ゲバラしてるあいつね。もう私を巻き込まないで欲しいの。私、小心な一市民だからね。というかギース君、あんた教会が結婚を認めていない猿人と獣人の結婚の祝詞を受け持つとか、すごいね。信仰に命かけてるよ。バレンタインかお前。いや、チェ・ゲバラだった。まあ、どちらにしろ子供は難しいかなあ。前世の世界でも研究の途上だったし。子供を産ませることはできるけど。せいぜいレオポン程度の子供が精いっぱいだろうね。染色体の数は同じなんだけどね。なぜか子供はできないのよ。子供ができても孫は望めないよ。猿人と獣人はもう全く別の種なんだってことを説明したけど、一瞬悩んでいるみたいだったけどそれでもいいから子供が欲しいそうだ。なんか大分追い込まれてるっぽい。
かわいそうだったのでとりあえず、女つれてもう一度ここに来いって言ってやった。結婚の儀はしてやれないが治癒魔法くらいはかけてやってもいいだろう。
っていうわけで今ゲロ吐いてます。二人を木の根と蔦に覆わせてその前でレオポンくらいを目指して遺伝情報を解析してたんだけど途中で魔力切れで力尽きました。体力回復した後もう一度途中から解析したけどエイワさんも難しいって言ってた。やっぱり俺たち種が完全に別れてるんだよ。レオポンすら奇跡。やるなら遺伝子改変するしかないわ。
というわけで正直に二人に話してみる。女大泣き。男は希望が潰え去った絶望の表情。
なにこれガンを告知した医者?すげードラマ見てるわ俺。泣きそう。遺伝子改変技術がない時点で詰んでるんでどうしようもないっす。……どうにかならないもんか?遺伝子、遺伝子……。概念だけなら思い出した。
確か、ナノマシンといったな。もともと、ガン治療でガン細胞だけに薬を届けるのに開発された極小のロボット技術だ。それがさらに分子レベルにまで小型化したせいでインフルエンザ予防とか風邪の治療にも使われるようになった。遺伝子的な病気にすら、数年単位で個々に遺伝子を組み替えて治療できる夢の技術と言われていた。1つ目を作るのは難しいが一度作ってしまえば鼠算でコピーを作りどんどん増殖し治療に必要十分なナノマシンを体中にいきわたらせることができる。しかもナノマシン同士がネットワークを作り、その人の細胞に最適な治療を自動で模索してくれる。魔法がなかった地球では相当な設備がないと到底製作不可能だが、工学魔法なら個人単位で製作可能だろう。
とは言え研究途上で地球でも実現には至ってなかったな。知ってたら前世の俺が「俺つえー」やってるよ。たぶん。。。今の今まで忘れてたけど。とりあえずダメ元でエイワさんに概要だけ伝えてできるか聞いてみるか……。って?似たようなものならできそう?え?それまじで?エイワさんマジパなくね?
よ、よし。ちょっと動揺したけど今は落ち着いた。使うか。この技術。どうしよう。マジでできるとなるとちょっと躊躇しちゃうな。
遺伝子改変ということは理論的には人間を他の動物にも変えられてしまえるということだ。例えば熊の遺伝子に変更するようにナノマシンに命令すればそれができてしまうのだ。ナノマシンで人を動物に変えて、新惑星の珍生物大公開!みたいな動物園ホラー漫画が話題を呼んでいた。思い出したら怖くなってきた。使うにしてもかなりガチ目に俺以外の人間に漏らさないようにしなくてはホラー漫画が実現しかねない。でもこの技術ある種の人にとっては福音でもあったそうな。男が女に、女が男になるなんてことも可能なわけですから。他にも不老長寿を実現できるとされる技術でもある。まあ、あくまで理論であって実現してたわけじゃないんだけどね。
だからこそ地球では制限を設けながらも研究にまい進していた。
あれ?ひょっとしなくても子供どころか孫もできるんじゃね?そう思ってエイワさんに聞いたら「私が提案したナノマシンは染色体を解析し生殖に悪いと思われる生殖細胞を排除するだけ。組み換え自体はできない。あくまで可能性を上げるだけ。これ以上のナノマシンは現在の工学魔法では製作不可能」とのこと。……そっか。なにか含むモノがないわけではない。
とはいえ、号泣する彼らを前にあっては心がガラスでできている私が取れる道は一つしかなかった。
「すこし時間はかかりますが、祝福はかけられます。」私がそう切り出すとピタリと場が静かになった。祝福しても絶対に子供ができるわけでもないし、子供ができるまでに数年かかることもある、場合によっては一生子供ができない、それどころか獣人同士、猿人同士でも子供ができなくなる可能性、途中で体が耐えられなくなり死ぬ危険性もあるなどの説明をするが、「可能性があるならば是非」と即答された。
私は再度エイワさんに接続し、工学魔法を使う。頭に思い浮かべるのはエイワさんが設計したナノマシンの構造。二人の手を握り二人の細胞を材料にナノマシンを製作する。後はエイワさんにお任せ。凡人の俺が細かいことできるわけねえだろ。
エイワさんに聞いたら「ナノマシンに二人のDNA情報を解析するようにインプット。細胞の発達を阻害する遺伝子の除去を生殖細胞に限って行うようにプログラムを組みインストールした」とのこと。エイワさんの知能マジ上がりでちょっと怖えわ。
一瞬魔力を高めナノマシンを起動させた。あとはナノマシンが勝手に増殖し二人に適した遺伝子操作(組み換えではない)を行うだろう。
「今お二人に祝福をかけました。20年です。祝福は20年で消えます。それまでにお子ができなければお諦めください。」
当然、危険なナノマシンを放置するわけにはいかない。20年経てば自壊し増殖を止めるようにプログラムを組んでもらった。二人は20代。20年もあれば十分にその役割は果たすだろう。ついでに魔力サーチ妨害の術式を組み込んだので私以外の魔術師が見てもサーチはできない。こうして二人は私の元を去っていった。
3日だ。二人が来てからナノマシンを植え付けるまで3日もかかった。疲労困憊である。魔力切れ寸前である。布団の中で「もうこんな面倒なこと二度とやらねえぞ」とつぶやきながら私は意識を落としたが、これが死亡フラグであったことに気が付くのにそれほど時間はかからなかった。
あれから1ヶ月。早くも14組目の異種族カップルが私の目の前にいた。そして15組目が今ちょうどやって来た。俺工学科出の商人だったんだけど。なんで不妊治療まがいのことしてるの?分野が違うんですけどー。あのくそったれな愚低王が悪いんじゃ。
半ばやけくそで死の行軍(タケルの魔力不足が原因)を消化していくのだった。本当に子供ができるかって?知るかよ。遺伝子改変できないんだから正直気休めだよ。ゴリラとチンパンジー掛け合わせようとしていると思ってくれ。絶望しかないからな?本人たちには言えないけど。できたとしてレオポンだから。孫? できるわけないじゃん。なのにこんなとこにまで来るってごめんなさい。不妊の先送りにしかなってません。目先の幸福のために将来の不幸をばらまいているのが私です。まずい。このままじゃ俺地獄行じゃん。レオポンにタコ殴りの恨まれコースだよ。だけどいま治療を終えた目の前のカップルはなんだか嬉しそう。無理って言われていたのが突然できるかもなんていわれたらそりゃ藁にも縋る思いで来るだろうさ。でも本当のことを知っている私はやっぱり悪なんだろう。でもあの顔をみたら何とかしてあげたくなるじゃない。
まあレオポン自体生まれるか未知数だけど。実際、夢でも未来視は来ないし、やっぱりできないだろうね。
なんて思っていた矢先夢を見た。やはり獣人は奴隷で政府が獣人の人口抑制と人口知能ロボットへの代替を進めている。そんな中、とある研究報告がなされた。最近分析精度が上がり学問として確立し始めた遺伝研究で獣人と猿人の混血の形跡を発見したのだ。長年猿人の突然変異と言われていた耳長と呼ばれる一族である。名前の通り通常の猿人族よりも3センチほど長く先のとがった耳を持っているのが特徴である。この耳の形状は獣人族ととてもよく似ていたい。しかし獣人族に見られるように耳に毛が生えておらず見た目は猿人族と同じと言ってよかった。尻尾もなく猿人族と同様で毛が薄い。600年ほど前から文献に出現し、出現当初から獣人に似た耳の形から混血ではないかと言われていたが、毛の薄さと尻尾がないことが決め手となり、猿人族の類縁とされ猿人耳長族として迎え入れられた。耳長の一族は高い魔力適正を持っており、その適正から治癒魔術で猿人社会に浸透していた。耳長族に命を救われた猿人は五万と存在する。その魔力を取り入るため猿人族の貴族の中には耳長族の血が流れている者までいる。また、現在の教会のトップである法王に次ぐ権力を持つとされる4人の大司教のうち2人は耳長族である。当然社会は沸騰した。獣人と猿人の混血はあり得ない。試験管内で再現実験が繰り替えされ、一つの結論を得た。獣人と猿人は混血できないが耳長族はそのどちらとも混血できる。ただし、培養実験によれば獣人族との交配は流産が多く、生まれる子供は獣人族が片親の場合すべてが耳長族となり、片親が猿人族の場合は猿人族と耳長族の遺伝の強いほうの形質が表れる。マスコミはこの研究に熱を上げ、世論は耳長族を獣人として蔑視するものと、猿人族として擁護する者とに分かれた。蔑視派は汚らわしい獣人との混血を理由に、擁護派は耳長族から獣人が生まれないことを理由に激論を戦わせた。最終的に法王が過去の猿人族と認める判例を持ち出し「獣人の血は流産により清められ、貴き猿人の血が勝った猿人種である」と声明を出したことでようやく耳長族は猿人種として再度認められ世論は沈静化した。
マスコミは獣人族の扱いについて議論を発展させ、世代を重ねれば猿人種となるのならば獣人族も人と見なしてもいいのではないかと意見するようになったが、政府の激しい抵抗にあい市井でひっそりと話が持ち上がる程度となった。一進一退を繰り返し同じ状況が続きタケルは75歳で老衰で亡くなった。
タケルは未だ眠りの中にいる。その顔は穏やかだった。あの15組のうちいずれかが子をなしたのだ。そしてそれが社会に受け入れられるまでに至った。核戦争を回避した上、奴隷滅亡ルートしかなかった獣人族を少しだけタケルは救えたのだ。凡人であるタケルにとってこの上ない大成功と思えた。久しぶりにタケルは熟睡できた。
翌朝タケルは、年甲斐もなく勢いよく飛び起きた。テンションマックスだったからだ。このまま窓に身を任せれば空も飛べる気持ちになった。むろん物理の力はタケルにも平等に働き朝からたんこぶを作る羽目になった。腰もだいぶ痛い。元妻からはかなり心配された。やはりタケルは凡人である。いや凡人というよりお調子者である。だが地獄を見てきたものが地上に這い上がってこれたのだ。だれがそれを非難できようか。
ちくしょー、いい夢見られたと思ったのに。空飛べないのかよ。ここは空飛ばせろよ。そうかー。あいつら子孫残したのかあー。いやあよかった。レオポンタコ殴りコースは回避できた。うんうん。働き者にはご褒美があるんだよ。ものすごい達成感。何だろう。ゲスイ勘繰りだが。タイミングから言って一番最初のカップルな気がする。いやあ焼けちゃうねえ。
問題はやっぱりあれか。獣人族自体の滅亡は止められなかったか。結局政府の野郎、耳長族使って穏やかな獣人抹殺計画推し進めていたからな。なんなんあの頑固さ。といって他に俺ができそうなことはないし。しばらくは教会で治癒稼業ですかねえ。
主人公53歳
あれからさらに5年が経ちました。あれから1000組近い数に処置をしてきた。異種間カップルって意外に多いというのが素直な感想です。戦争で勝って獣人奴隷が増えているってことなのかもしれない。魔力切れで苦しみながらもそれでも毎日祝福を与えるのも罪悪感のせいだ。私が死ねばきっと地獄に落ちるだろう。ダイナマイトなんて作らなければよかった。未来知識を使うとろくなことにならない。ところで不思議なことに、異種間カップルへの祝福について国からも教会からも干渉されません。実際に子供が生まれてるのになぜだろう。教会からすれば迫害対象の子供を増やしているはずなのに。と思っていたが、原因はやっぱりギース君でした。前に言ってた古代遺跡から発掘された聖書にあった失われていた1章がどうやら正式に教会に認められたらしい。で、治癒魔法で奇跡と起こしている私が預言者の再来ではないかと教会上層部でいわれているそうでかなり腫れ物に触るような扱いらしい。全く気が付かなかったよ。予知夢だけでなくて実際に獣人との間に生まれた子供にも何度か会ったけど予知夢通りでした。
尻尾ないし耳が長い。ていうか予知夢では気が付かなかったけどこれどう見てもエルフだよね。もし私のエイワをこの子達に引き継げば森に住む民って言葉が絶対につくだろうね。意図せずエルフの誕生に立ち会ってしまったようだ。これぞファンタジー主人公補正。圧倒的エルフの存在感。いなければファンタジーじゃないって神様思っているんじゃないだろうか。