After Clearing
気がつけばコハクは住宅街の道に立っていた。訳が分からず、しばらく立ち尽くす。
そうだ──ヒスイ。
ヒスイがどうなったかを確認するため、ヒスイの家に向かって走り出した。
…
五分ほどでヒスイの家が見えてくる。
チャイムを鳴らすと、すぐに返事が返ってきた。
「はい、ああコハク君。どうしたの?」
それはヒスイのお母さん……死んだはずのお母さんの声だった。
「……あ、はい。ええっと、お父さんはいますか?」
「お父さん? ええ。いるけど」
「本当ですか!」
「え、あ勿論よ。でもどうしたの? いきなりそんなこと言い出して」
すこし困惑気味にそういうヒスイの母親。
「あ、いやええっと」
と、急に後ろからトントンと肩を叩かれた。慌てて振り返る。
──そこにはヒスイの姿があった。
「ヒスイ!」
コハクは、その姿を見るや否やヒスイを抱きしめた。
「コハク……」
コハクの涙は止まらなかった。
「ヒスイ! 死んだかと! 死んだかと思ったぁ!!」
「……死んだよ。確実にね」
「えっ? どういうこと……」
まさか、ここにいるヒスイは幽霊なのか。
だけど確かに抱きしめている。
「私はね。『家族全員を生き返らせる』ことを願ったの。それでね。家族ってのは自分も含めて家族なのよ。だから──私も生き返ったの」
「……そうなのか……。でも何でも良いや。ヒスイがここに居ればそれで」
「うん……ありがとう」
こういうの世間ではご都合主義っていうのかもしれない。でも良いじゃないか。皆幸せならそれで良いじゃないか。
ヒスイはここにこうして生きているんだ。それになんの文句があるっていうんだ。
…
その後、抱き合ってるところをヒスイのお母さんに見つかってしまい、あれこれ言い訳を並べたが、ほとんど意味を成さず、ただ一言「思春期だね」と言われてしまった。
それから。以前聞いていたマオの家に向かった。マオの家はコハクの家と意外と近く、十分程度で辿り着いた。
チャイムを鳴らす。
「はい」
と聞きなれた声。マオはすぐに出てきた
「マオ!」
「コハク。ありがとね。みんなコハクのおかげ」
「ううん。俺は何にもしてない」
「そんなことない。一人だったらきっと潰れてた。結局死ぬだけだったはずよ。コハクが居てくれたからこうして今生きていられる」
「マオ……」
マオはコハクにもう一度ありがとうと言って笑いかけた。




