表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

6月8日 玄武の守り主


「さて、玄武の守り主だが」

 ソウヤがコーヒーカップを手にしながら話し出す。

「まず、敵は二人組だ」

「二人組?」

「ああ。二人とも剣士なんだが、まず指輪を持っている方。これは純粋に剣士として強い。そしてもう一人は、剣士としての腕前は大したこと無いが、瞬間移動が出来る」

「瞬間移動……ですか?」

「そうだ。これが厄介で、斬り付けても、既にそこにはいない。決して攻撃が中らない」

「それじゃ勝ち目ないじゃないですか」

「いや。指輪を持っている奴はもう一人のほうなんだ。だからコハクとマオで瞬間移動剣士を足止めしてくれれば、その間に守り主をオレが倒す」

「時間稼ぎ……」

「十分持ちこたえれくれればそれで良い。とにかく集中して敵の攻撃を避けることだけ考えろ。いいな」

 

   …


 玄武の守り主がいるのは隣町の大ホールらしい。寝倉からは大体十分程度の距離で、コハクも元居た世界で行ったことがある場所だ。

 ホールが見えてくると、先頭を歩いていたソウヤが立ち止まった。

「不意打ちは無いとは思うが、一応、臨戦態勢を整えておいたほうがいい」

 そういわれてマオは杖を、コハクは剣を引き抜いた。

 ホールまでの階段を登りきる。後二十メートルで入り口というところまで来た時。

 ホールから出てきた二つの影に気がつく。

「あれが……」

 男と少女。男の方はコートのフードをすっぽり被っていて顔が見えない。少女の方は制服を着ていて、今時の女子高生のようだった。

「男が守り主、女が瞬間移動する奴だ」

 ソウヤが二人に歩み寄っていく。

「手筈は分かってるな?」

「……はい」

 次の瞬間にはソウヤの手に剣が握られた。

「玄武の守り主よ。そっちの女の相手はこいつ等。お前の相手はオレだ」

「……良いだろう」 

 次の瞬間男が駆け出す。

「じゃぁ、あんた達はこっちね〜」

 そういってホールの中に姿を消す少女。

「マオ、追いかけよう」

「うん」

 既にソウヤと男の戦いは始まっていた。


  …

 

 ホールに入ると、少女は入り口から十メートル程の場所で剣を構えていた。

「まずは小手調べ!」

 マオは杖を少女に向けて叫んだ。

 快速の槍となって敵に向かっていく炎。だが少女はそれを避けようともしなかった。

 だが。炎槍が中る直前。少女の体が消え、その右に五メートル程離れた場所に姿を現した。

「何だ……アレ」

 てっきり煙でも出るのカと思ってたが、本当に一瞬で移動してしまった。

 コハクは剣を構えて少女に向かって駆け出す。

 またもその場から動く気配が無い少女。コハクは少女に向かって剣を振りかざした。

 だが、剣と少女の距離があと数センチというところで、またも少女が消え、今度は数メートル後ろに現れた。

「どうなってんだ……」

「残念でしたー。そんなんじゃ中らないよ?」

 もう一度追撃するために数歩踏み出した時。またも少女の姿が消える。

 次の瞬間、後ろに気配を感じ、とっさに剣を振りかざす。金属の衝突音。

「あー惜しいな」

 そういって少女はすこし離れたところに転移した。

 完全に翻弄されていた。攻撃は避けられ、危うく後ろから斬られるところだった。

 次の瞬間。横から剣が飛んで来る。それをギリギリ弾き、カウンターの一太刀を振るうも、次の瞬間には少女は転移。と、転移して現れた先にすぐさまマオが炎槍を放つ。だが、転移で避けれられる。

「そうしたの? 動く的は苦手〜?」

 そんな風に挑発してくる少女。

 完全に手が出せない。これじゃ無敵じゃないか。

「コハク! 攻撃を続けて!」

「え?」

 いくら攻撃を続けても、攻撃が中るとは思えない。

 だが、他に策があるわけでもない。マオにはなにか考えがあるのかもしれない。 剣を握りなおす。

 少女との距離は五メートル程。その差を一秒で詰める。

 剣は空を斬る。

 少女は瞬時に数メートル後ろに現れた。

「コハク! 追撃して!」

 言われるままに、走り出す。間合いを詰め、瞬間移動され、また間合いを詰める。それを十回程繰り返した。

「そんなに動いて大丈夫? 疲れてきたんじゃない?」

 甘い声でそう語りかける少女。

 確かに、コハクの息はすこしずつ上がって来ている。

「blaze!」

 動きを止めてコハクに、マオが変わって攻撃を続行した。だが、たとえ快速の炎槍であっても、その発動を認知された時点で中る確立は無くなる。

「blaze!」

 次の攻撃。無論、瞬間移動でかわす。だが。今までとはすこし違った。一度、数メートル後方に現れ、こんどはもう一度、数メートル右に現れたのだ。

 もし最初みたいに後ろに移動したままなら、炎槍はまっすぐ飛ぶので中っていただろう。

「やっぱりね」

 マオがそう呟いた。

「どういうこと?」

「こういうことよ!」

 もう一度炎槍を飛ばすマオ。

 無論避けられるが、

「blaze!」

 続けざまに放つ。それも避けられる筈だった。だが、それは少女の中った。といっても咄嗟に構えた剣で無力化されてしまったが。

「……中った?」

「どうする? まだ続ける?」

 マオがそう問いかける。

 すうと、少女は剣を投げ捨てて両手を上げた。

「こーさんしますよー」

「……どういうこと?」

 さっきまで自信たっぷりだった少女があっさり降参したのだ。驚くほか無い。

「もうあいつの瞬間移動は無意味だわ。だって彼女が瞬間移動できる場所には規則性があるんだから」

「規則性?」

「そう。彼女の瞬間移動する方向と距離は決まってるのよ。後ろ、右、後ろ、右って交互に移動してるの。距離も皆一緒。だから、先回りして攻撃すれば必ず攻撃は中るってわけ」

「つまり……これ以上続けても少女に勝ち目は無いってことか」

「そういうこと」

「最初にね、あのコートの男に言われた。『これはゲームだから勝てない敵はいない』って。だから、男はそれぞれの相手に必ず弱点を用意してるのよ」 

「なるほど……って、ソウヤがまだ戦ってる!」

 それに気がついて、勢い良くドームを飛び出した。


   …


 ドームの外。

 そこには、剣を握り締めたソウヤがただ佇んでいた。

 地面には一つの指輪。それが『玄武の指輪』であることは予想がつく。

「ソウヤ! 無事!?」

 駆け寄ると、ソウヤは「ああ」と下を向いたまま答えた。

「……ソウヤ?」

 その表情は表現しがたいものだった。だが、それは間違いなく悲しみのものだった。

 ソウヤが指輪を拾い上げる。

 それを一度に握り締めてから、マオに差し出した。

「……ありがとう」  

 そういってマオは指輪を受け取った。

「それとな。青龍の指輪の能力は『結界の展開』、玄武の指輪の能力は『魔力量の増加』だ」

「ソウヤさん? どうか……したんですか?」

「……」

 しばらくの無言。

 その後、「いや」とだけ答えた。


   …


 集めなければならない指輪は後一つ。ソウヤがいる限り負ける心配はしなくて良い。それぐらいにソウヤは強い。

 だから、一番の問題は指輪集めではなく、ヒスイのことだった。

 何故俺を襲ってきたのか。

 それだけが気がかりだった。 





 ちょっと解説を。

 ソウヤですが、玄武の守り主との戦い、このシーンは今章では描写しませんでした。

 というのも、この戦いにはちょっとした裏を用意しています。

 いつか、その辺を番外編として書きたいと思っていたり。


 では、これからもこの作品をよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ