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      マオの告白(2)

 道中。

 コハクは、ヒスイとマオ。どっちが好きなのかを考えていた。

 ヒスイは小さい頃から一緒に育った幼馴染だ。同じ病院で生まれ、コハクとヒスイと名付けられ、十六年間をともにした。

 一方マオは会ったのは七日前(実際は以前にも会っているらしいが)。

 その点だけで言えばどちらを取るかは決まりきっている。

 だが、ヒスイは確かに大事な人だ。しかしそれは大事というだけであって、恋ではなかった。無論、ヒスイを女としてみたことが無いわけではないし、意識もいした。だが、それでもやはり兄弟みたいなもので、あくまで恋ではない。

 そう考えれば、二人に大した差は無かった。

 前を歩くマオを見る。

 華奢で発達途上の体。綺麗というよりは可愛いというのがしっくり来る。

 そうだな……急ぐ必要は無いかな。

 とりあえず、今はマオを生かすことを考えなければ。   



   …


 三十分程で目的の駅に着いた。

「さて、この辺にいるとは言っていたけど、どこに居るのかな……」

 ソウヤが辺りを見渡した。

 と、何かを発見し、微笑するソウヤ。

「……探す必要は無いみたいだぜ」

「え?」

 ソウヤが近くにある二階建ての建物の屋上を指す。

 そこには槍を構えた一人の『騎士』が居た。

「……青龍の守り主?」

 金髪碧眼の青年。その身を甲冑に包み、剣を携える姿はまさしく中世から飛び出した『騎士』そのもの。

 コハクは剣を引き抜いた。それに続いてマオも杖を取り出す。

「……待て」

 ソウヤが右手で二人を止めた。

 次の瞬間、その右手には剣が握られていた。

「ソウヤさん?」

「まぁ俺に任せておけ」

 騎士が地上に飛び降りた。

 二つの影が同時に駆け出す。

 槍が次から次に突き出される。その点の攻撃を、ひたすら見切り片剣で受け流す。

 攻撃はやむことは無い。無数の点の攻撃が繰り出され、ソウヤが剣の攻撃可能範囲まで踏み込むことを許さない。

「──!」

 ソウヤは大きく後ろに飛び退いた。

 小さな閃光。左手にも剣が握られる。

 再び間合いを詰めるソウヤ。

 槍の攻撃。それを確実に受け片方の剣で攻撃しようとする。だがその前に槍が引っ込み次の攻撃を繰り出す。リーチで考えれば槍が優位だが、逆に一度でも踏み込まれれば、それは敗北を意味する。即ち、槍は敵を貫くまで永遠と攻撃を繰り出す必要がある。

「はっ!」

 片剣に弾かれた槍が一度引っ込み、再度突きを繰り出す。だが、その前にもう片剣が動いていた。今までの避けるためだけだった動きとは違い、反動をつけて振り上げられる。片剣は突き出てきた槍を大きく弾き、その隙に踏み込むソウヤ。

 赤く染まる剣。剣は騎士の甲冑と甲冑の僅かな隙間を斬り付けていた。

 ソウヤは反撃を恐れて、そのまま前に飛び出し、騎士から離れた。  

 だが、反撃は無かった。騎士は倒れこみ、それきり動かなくなった。

「──スゴイ」 

 そんな感想が無意識に口から出た。

 ソウヤの両手から剣が消える。

 それと同時に、騎士の遺体は、徐々に光りになって最後には指輪だけを残して消え去った。

 ソウヤは指輪をそれを拾い上げた。

「三つ目と四つ目の指輪はスキルアップではなく、なにか特殊な攻撃術や防御術を発動できるものだが──守り主が効果を言う前に消えてしまったからな……」

 そう言いながら、蒼銀の指輪をマオに手渡した。

「……ありがとう」

「ああ、どういたしまして」

「これで三つ目だね」

 朱雀、白虎、青龍の指輪が集まった。残るは玄武と黄龍のみ。

「意外と簡単に集まったわね……」

 その通りだと思う。白虎以外は何もせず自動的に手に入ったのだ。

「そりゃ当然だ。二つまでは『準備』なんだ。あくまで戦うために必要最低限のものを与えるための指輪に過ぎない。大変なのは三つ目からなんだ」

「……ってことは、玄武や黄龍は簡単には行かないと?」

「無論だ。黄龍は知らないが、玄武は強い。三人が各々の力を最大限発揮しても勝てる保証は無い」

「つまり、戦いはまだまだこれからってことですね」

「ああ。そうだ」


   …


 寝倉に戻ってきた一行。

 すこし遅めの昼ご飯を取る。

「缶詰……飽きたね」

「うん……」

 それから、缶詰を食べ終わり、一息つくと、ソウヤが手招きをしてきた。

「なんですか?」

 そう聞くと、『隣の部屋に来い』と言われた。

 なんだか分からないが、ソウヤについていくコハク。

「……さて、単刀直入に聞こう──どこまで行った?」

「は?」

「昨日だよ。昨日部屋で抱き合ってたじゃないか。その後どこまで行ったかって聞いてるんだよ」

「な! 見てたんですか!?」

「ああ。たまたまな。でも悪いと思ってすぐ下に降りたよ。だからどこまで行ったのか気になったんだ」

「ど、どこまでって」

「A止まりか? それともB? ……いや、今朝の様子からすると実はCまで?」

「ありません! 何もありませんですって!」

「隠さなくても良いぞ」

「隠してません! あれはその、ただ慰めてただけですから!」

「慰めてた……ね」

 ニヤニヤ顔が止まらないソウヤ。騎士を倒した双剣士の面影はどこにも無かった。

「まぁいいだろう。約束しよう。今日は三階には上がらず大人しく寝ている。だから遠慮なく……」

 コハクは勢い良く部屋から出て行った。





 今のところ、1日1話の更新ペースですねー。

 最初に投稿した日が2月になっていますが、これは別の小説のページをリニューアルしたからです。

 本当は最初の章を投票したのは七日ですからー。


 では、これから読んでいただければ幸いです。


 姫反アロ

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