プリマ Ⅱ
異世界恋愛ランキング1位ありがとうございます!
そしてもう1話今日は更新させて頂きます!
その時私達、つまりライム様の仕事の手伝いをしている令嬢達は突然国王に王子と一緒に話があると呼ばれた。
そして呼ばれた当初、私達はてっきりライム様の働きが認められたのだと思っていた。
だからこそ、期待とほんの僅かな緊張を抱えながら私達は国王と王子に呼び出された場所に行き、
「お主達にはライムに虐められたふりをしてほしい」
そしてその場所で私は国王に告げられた言葉に絶句した。
何を言われたのか、一瞬私達には意味がわからなかった。
ライム様は常に必死に頑張っていて、だからこそ報われなければならなくて、
なのに、目の前の男はなんと告げた?
私達の間に沈黙が落ち、国王の顔に怪訝そうな色が宿る。
けれどもその空気にただ1人王子だけは気づくことなく口を開いた。
「そうすればあの女も私と結ばれる!そうした方が英雄など持ち上げられているあの男を待ち続けるよりも断然いい!」
そして唾を飛ばしながら力説する王子の目に浮かんでいたのはただの情欲、つまり性欲だった。
さらに王子だけでなく国王の目には今まで必死に陰ではたいていてくれたライム様への感謝など存在しなかった。
その時になってようやく私は悟る。
この国には賢王などいない、そのことに私は衝撃を受けていたが、事態はそれどころではなかったのだ。
今目の前にいる2人、将来国を背負って立つものと現在国を支えていなければならないもの、その2人の王族ははただの屑でしかなかった。
それも自分の恩人の婚約者を貶めて、手篭めにすることになんの躊躇も感じない。
いや、それだけいっても未だこの男達の本質は表せていない。
何故ならこの男はこの国をこれだけ栄えさせた陰の労巧者に対する感謝を覚えることすら無い人間なのだから。
「ライム様はそんなこと望んでいない!」
「っ!」
そしてそのことを悟った時、私は国王達に対してそう怒鳴りつけていた。
国王達はまさか怒鳴られるとは思っていなかったのか、驚愕の表情で固まる。
それ程までに賢王である目の前の男は敬われる存在で、だがその時の私の胸に目の絵の男達へと捧げる敬意は存在しなかった。
「絶対に私はライム様に冤罪をかけることに協力しません!もし誰かが冤罪をかけたら、ずっと私達といたと私が証明します!」
「そうよ!」
「巫山戯ないで!」
そして私のその言葉で今まで国王の言葉に固まっていた他の令嬢達も顔に怒りの表情で国王に向けてそう怒鳴る。
確かに私達は変わり者と世間ではあまり良い印象を持たれてはいない。
だがそれでも私達は名門貴族の令嬢だ。
私達が協力すれば、国王でさえ無視することのできないそんな影響力を持つことができる。
もちろんそれでも中身はともかく賢王と呼ばれる国王と、次期国王の王子に刃向えるほどではないだろう。
「くっ!」
けれどもライム様への冤罪を防ぐことぐらいは私達だけでも十分できる。
そのことを悟り、王子と国王の顔に苦々しげな色が宿る。
だが、睨みつけてくる国王達に対して私達が目をそらすことはなかった。
絶対にライム様を守る、そんな決意共に国王達を睨みつける。
「覚えていろ!」
そしてその私達の様子に国王達は最終的にそんな風に吐き捨てて去っていた。
その時、私達は何とか国王からライム様を守れたと思ってい喜びあった。
だが、それは早計でしかなかった。
その後私達は国王達の雇った暗殺者に襲われたのだ。
そしてその時私達は通常なら死んでいただろう。
国王の雇った暗殺者、それは恐ろしい腕を持つ者達で、護衛は瞬殺され私達は瞬く間に追い詰められた。
「ライム様……」
その時にはもう私達に出来ることはただ祈ることだけだった。
おそらく私達の死にライム様は酷く傷つき、国王達は私達の死を利用しようとするだろう。
それでも、せめてライム様に幸せが……
「おい、てめぇら」
「っ!」
そしてその時だった。
突然邸の中にボロボロの状態の男、そう姿をくらませたはずの英雄が、ライム様の婚約者が現れたのは。
彼は一瞬でその場にいた暗殺者を全滅して、そして目に隠しきれない怒りを讃えながら私に尋ねた。
「俺の妻のことを全て聞かせろ」
その時が私と英雄の初めての出会いだった。
◇◆◇
「えっ?」
広場、私の発言で民衆達に混乱が広がる。
「なっ!」
そしてその中で国王は顔を青ざめさせていた。
その顔に私はいい気味だと内心で嘲笑う。
だが、その気持ちを表面に出さず私は凛々しい表情で口を開く。
自分の友人を嵌めようとした薄汚い罪人を断罪するために、
そして友人を救う為に。
「もう一度言わせて頂きます。
ーーー ライム様は私を殺そうとなどしていません!全てはこの男、国王がライム様を貶めようと作った作り話です!」
前書きにも書かせていただきましたが、日刊恋愛ランキング1位ありがとうございます!
まさかこんな所まで来れるとは思わず、とても嬉しいです!
これからもよろしくお願いします!