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ライム Ⅴ

元領主達は幾らその身分を剥奪したところで何の抑制にもならない。

そう分かっていた私達が取った手は単純なものだった。

つまり、相手が強大な力を持っているのだとすればそれが振るえないうちに無力化してしまえばいいという。


だからその為に私は裁判官、つまりあの男を部屋に潜ませた上で元領主達を挑発し続け、国家反逆罪という高位貴族であれ即時裁く事ができる唯一の罪を執行出来るだけの言質を引き出したのだ。


まぁ正直言えば、こんな回りくどいことをせずにも、国家反逆など比にならない程の罪を元領主達は犯している。

だからこの場にのうのうときた瞬間に即座に取り押さえたかったのだが、残念ながら証拠と言えるものが無かったのだ。

そして証拠もなしに取りおさえるような行為、それは新しく出来た裁判所の顔を潰すことに他ならず、今回はこのような手を使うことになったという訳なのだ。

そして裁判所が有罪と判定したお陰でようやく私も次のステップに進む事ができる。

そう私は安堵したが、未だ元領主達は諦めようとはしていなかった。


「ま、待て!少し私は口が滑っただけではないか!そんなことでこの私を……」


「ですが、貴方は先程はっきりと国を潰すと仰いましたね」


「ち、違う!あれは言葉の綾だ!貴殿の聞き間違いだ!」


「そ、そうだ!全てその女が悪い!」


「私達ははめられただけだ!」


元領主達の裁判官への言い訳は、本人も危機的状況にあるのが分かっているのか、どんどんとおかしなものになっていく。

それは当然の結果だった。

今まで元領主達は自身の権力をちらつかせ脅すようなことしかやっていないのだ。

今更誤魔化すような手段など持ってはいないだろう。


「そうですか……」


しかし、裁判官はまるでその言葉に納得したように頷いた。

そしてその裁判官の態度に元領主達は一瞬顔を輝かせて……


「と、そんな言葉で騙せると思えるとは貴方は余程頭の中身が軽いみたいですね」


「なっ!」


……次の瞬間裁判官の嘲笑に目を見開くことになった。

私はその裁判官の態度を見て、彼も相当元領主達に対して不満が溜まっていたことを悟る。

うん、この人はかなり優秀だけどもその優秀さのせいで疎まれていた人間の1人なので、その原因となった元領主達にも色々と思うところがあるのだろう……

しかしそんな私の思いは、ヒステリーを起こしたような元領主達の叫びによって中断されることになった。


「くそ!どいつもこいつも!」


「こんなことで私達を止められたとでも思っているのか!思い上がりも甚だしい!」


「私達が裁かれてもまだ家族がいる!直ぐに私達を拾い、その上でこの国に剣を向けてくれる家族がな!」


今までは代表の1人に話させていたはずなのに、余裕が無くなってきたのか全員で騒ぎ立てる元領主達の喧しさに私は一言、裁判官に告げた。


「彼の方達を」


「ええ。分かりました」


去っていた裁判官の姿に元領主達の顔に隠しきれない愉悦が浮かぶ。

恐らく去っていた裁判官を見て、自分たちの脅しが効いたとでも思い込んでいるのだろう。

そして元領主達の1人が尊大な様子で口を開き……


「さぁ、分かったでしょう!私の家族に目をつけられないそのうちにここから私を解放して………」


「御家族ならここに」


「えっ?」


……それから戻ってきた裁判官の言葉に絶句することになりました。


「シェロイア様……」


「お父様……」


そこにいたのは父と同じように肥えた、母と娘らしき人間。

そしてその姿を見て、1人の元領主達が膝から崩れ落ちた。

その崩れ落ちた元領主の姿に、他の元領主達の顔に自分の家族では無かったという安堵の表情が浮かぶ。


「お父様!」


「カレロミ様!」


「なっ!」


だが、それはほんの一瞬だけしか保つことはできなかった。

次々と元領主達の顔に驚愕、そして失望の表情が浮かんで行く。

そう、これでもう元領主達は私達に抗うことはできない。

指示に従う人間が居ないのだから。

そのことを悟り、顔に絶望を浮かべる元領主達に私は白々しい口調で声を出す。


「偶然、彼女の新しい愛人達が王都に来ないかと呼び出した日らしく、彼女達も同罪として捕えることになりましたわ」


「っ!」


それはもちろん嘘でしかなかった。

彼女達の新しくできた愛人、それは私の仲間だ。

元領主達の抵抗を抑える為に元領主の家族を領地から離そうとここまで連れてきたのだ。

しかも、夫から隠れて動こうとした妻や娘は護衛などを殆ど付けておらず、あっさりと捕えることができた。


「これでおとなしくして頂けますね」


そして私は衝撃の事実に打ちのめされている元領主達へとそう笑いかけた。


「くっ!」


その瞬間、ようやく元領主達は悟っただろう。

どれだけ私達が自分達を追い詰めるために時間をかけて罠を張って居たか、そしてその罠からはもう逃げられないという、そのことに……

更新遅れて申し訳ございませんでした!

少しリアルの事情でバタバタして居て更新が遅れてしまいましたが……

もう少しこの不定期更新が続くかもしれませんが、出来るだけすぐに定期更新に戻せるようにするのでよろしくお願いします!

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