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ライム

遅くなって申し訳ありません!

今回から二章開幕です

「えっと、英雄の婚約者?それで貴女が勝手に私達の領地を奪った、その認識でよろしいのですか?」


そう私、ライムに笑いかけてきたのは目の前に腰かけた男性達の1人だった。

脂ぎった顔に、丸く肥えた腹部。

そしてどれだけ散財してきたのかも考えたくなくなるような豪華な服。

そう、私の目の前にいるのは見るからに悪徳と言った様子の領主たちだった。

いや、元領主と言った所だろうか?

何せ丁度数日前に私がその領地を剥奪したのだから。


「ええ。その通りです」


「ほぅ、認められましたな!」


そしてそう私が元領主の言葉を認めた瞬間、その領主の顔に隠しきれない歓喜の表情が浮かんだ。

その顔には私への下卑た感情がありありと浮かんでいて、一瞬私は反射的に顔をしかめそうになる。

私の身体で欲情していいのはカルバスだけだというのに、本当につくづく最低な人間達だ。


「あぁ!貴女は何ということをしてくれたのだ!私達が必死に治めてきた領地を追い出し、今領民達は飢えていることだろうと考えると私は胸が張り裂けそうで……」


芝居のかかった元領主の言葉、それに私は殺意を覚えた。

何が胸が張り裂けそう、だ。

そんなことは一切考えていないくせ、この禿げと私は内心、元領主を罵る。

そして実際その通りだった。

領民のことを元領主は本当に気遣っているのではない。

そしてそうじゃないことを私が知っていることも元領主達は分かっている。


「ライム嬢、貴女はこの償いをどうやって取るつもりかな?」


なのに何故彼らがこの場に来たのか、その理由は二つ。

その一つ目は自身の力を過信していること。

つまり、今は領地を取り上げられはしたが、だが私などには自分達をどうすることも出来ないという自身。


「っ!」


そして、もう一つは私の身体だった。

下衆な目で見られてるだろう、そうと分かり覚悟をしながらも、思わず私は元領主達の視線に身体を仰け反らしてしまう。

目の前で私のその反応にさらに下劣な視線を私に送る元領主達が敵の本拠地である王都に来たのは、私の身体を好き放題できるのではないかという余りにも下衆な理由からだったのだ。

それは正直、気持ち悪いとしか言えないそんな動機。

いや、というか普通に今の王都では強姦は犯罪だ。


「おや、どうしましたか?」


ーーー だが、それだけの無茶を押し通せるという自身が元領主達にはあり、そしてその自信はけして自惚れではなかった。


何せ今私の目の前で笑っている領主達、彼らは元国王であるサーゼルと組んで私腹を肥やし、今では王国有数の力を持つ存在なのだから………






◇◆◇







サーゼルが元領主達とやっていたこと、それはつまり私が必死に国を立て直そうと動いている傍らでの横領だった。

私が王国を直している手柄を吸い取ってどんどん名声を上げていたサーゼルだったが、彼には一つ不満があった。

それは私が国庫の殆どのお金を使い、そして貿易に関しても支配して国の立て直しをしているせいで自由になる金銭が少ないということだった。

それは正直あんまりすぎる理由。

そしてそのことを不満に思った国王は、その当時私から送られたお金の少しを横領し、私腹をこつこつと肥やしていた領主達に持ちかけたのだ。


そしてそのサーゼルの言葉に今まではこっそりと少しの横領をするだけだった領主達は動き出したのだ。


その動きに対して、日々王国を復興しようと働き回っていた私には分かるはずもなく、その時からどんどんと領主達は成長し始めたのだ。

それからのサーゼルと領主達の動きは横領だけではなく、他国から王国名義で借金など多岐に渡った。

しかも私が冤罪で動けなくなった時期にはもう隠さなければならない理由はないとばかりに、自身の領地に回って来た農民への寄付金を全額横領し、その上で明らかにおかしな増税を農民達へと課し始めたのだ。


そしてその結果が、貴族の中では立場の低かったはずの領主達が、王都で政治に関わる高位貴族を超える力を持つという今の状態だった。


私は今、目の前で何もお前にはすることができないだろうと踏ん反り返る領主達を見て今更ながら、幾らカルバスが行方不明で冷静でなかったとしてもサーゼルなどという人間に手柄を取られて気にしなかった過去を後悔する。

あんな人間に手柄を奪われても気にしないなんて幾ら何でもやりすぎだったと。

頭に飢えて死にかけていた目の前の領主達の領民が飢えて死にかけていた光景が蘇る。

あんな悲劇が起こる前に私は領主達の暴走に気づかなければならなかった、その後悔が泥のようにべったりと私の胸に張り付いていた。


「……えぇ。本当に償いをしなければなりません」


「おぉ、やはり貴女は話のわかる方だ!素直にその身体を差し出すというならば私達も………」


「誰が、貴方達に償うと言いました?」


「はっ?」


そしていまも苦しんでいる領民達を目の前の男達の魔の手から助けることがいま私にできる償いだと私は自身に言い聞かせながら笑う。


「私が償うのは今も苦しんでいる領民の方々にです。


ーーー そのために寄生して利益だけを吸い取ろうとする毒虫には退場していただきましょうか」


「なっ!」


その言葉に顔色を変えた元領主達を見て私は笑う。

おとなしく少しの横領で満足しておけばよかったのに、今まで好き勝手して来たことの償いを今受けさせてやると。

今回の投稿と同時に新作開始しました!

下にタイトルと粗筋、URLを貼っておくので気になった方は是非!


「婚約破棄?そもそも私は貴方と婚約していません!」

https://ncode.syosetu.com/n4719eh/


 私は大国リオールの王女シリア・リオール。

 隣国であるマートラスとの政略結婚のため婚約者を選ぶように言われ護衛騎士のロミルと共に隣国に渡りましたが、


 ーーー 一番大切な披露会で前から身体関係を強要されていたマートラスの王子に婚約破棄されました。


 え?愛しのセリーナを傷つけたてなんのことですか?私、となりの明らかに愛人の女の人とは初対面なんですが………

 そもそも自分は浮気とかしながら、婚約破棄とかよく臆面もなくいえますね………

 いやその前に私は貴方となんて婚約した覚えもするきも一切ないんですが!


 というかこの王子忘れていませんか?マートラスが大国でいられるのはリオールのおかげであることを………

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