表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

処分したいおばあさん

作者: 想 詩拓

処分したいおばあさん


 突然、雨が降ってきたので、私はとりあえず雨宿りをしようと、近くのお店の軒先に避難したんです。

 そこは写真屋さんでした。

 

 写真屋さんの前では、おばあさんが一人、写真を手に持って、なにやら困った様子で立ち尽くしていました。

 雨宿りで手持ち無沙汰だったもので、私は「どうかしたんですか」って、話しかけたんです。


 すると、おばあさんは、一人のおじいさんが写っている写真を見せて、言いました。

 

「これをどう処分したらいいか困ってるの」


 写真ってちょっと処分しにくいでしょう?

 確かにそれは困るな、と思いながら、提案したんです。


「写真屋さんに引き取ってもらったら」

「ちょっと人様に任せるのはねぇ……」


 めんどくさい人だなぁ、と私は内心思ってしまいました。


「では、燃やしてしまえばどうですか?」


 ちょっと投げやりに言った提案を、おばあさんはこの案が気に入ったみたいで、「そうね。そうするわ」と、満足そうに、うなずきました。

 ちょうど煙草を吸うのにライターを持っていたので、貸してあげたら、おばあさんはその写真に火をつけて燃やしました。


 そろそろにわか雨が上がったので、おばあさんに、「じゃあ」と、声をかけて写真屋の軒先から離れようとしたとき、おばあさんに呼び止められました。

 

「今日はありがとう。もう一つお願いしていいかしら?」


 * *


 後日のことです。新聞に目を通してたら、社会欄に見覚えのある顔が写っているのに気が付きました。

 それは、おばあさんが燃やした写真に写っていたおじいさんでした。

 その記事は、そのおじいさんが焼死体で見つかった、という事件を伝える記事だったんです。


 私は血の気が引く思いでした。

 おじいさんが焼死したことだけではありません。

 あの日、最後におばあさんは、私にこう言ったんです。


「今日ここで会ったのも何かのご縁だから、あなたの写真を撮らせてもらえないかしら?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 付記 タイトルはよいと思います。「ん?」と思うよね。
2017/05/30 09:25 退会済み
管理
[良い点] 文章はよいので4。 [気になる点] 発想がありきたりゆえに、3。 [一言] とまあ、普通の評価をしてしまいました!! 面白くないな!!!
2017/05/30 09:24 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ