大学生のシノミヤと教授
食堂では様々な彩りの食材を皆同じように口に運ぶ
手を工夫を凝らし味の違う物を同じ動きで私達は口に入れて
わざわざ綺麗に飾られているものを砕く
何度か利用しただけで私は大学生でコンビニ弁当を一人でいつも食べていた
そして多分皆誰かと食事を楽しむ場所と考えていたけれど
一人で淡々と今日のAランチ鶏もも肉とナスの揚げびたしと野菜炒めをシャクシャクと咀嚼している
丸メガネと黒い髪白い肌この真夏にスーツという中年の男性の前へ座る
ちらりと眼鏡の奥の瞳が動いてばさりと置いた私のお弁当を見て指から私へと視線が動いて
コンビニの袋とジーパンにシャツ姿の私を映す
がすぐに視線は咀嚼していた野菜炒めに移り、私は所在なく座った席で
ビニール製のお弁当を出す。
かぱりとフタをあけ目の前の人を同じように箸に乗る食べ物を口へ運ぶ
「今日も随分暑いですね」
ごくんと飲み込んだ音がするくらいには空気は重い
そして出た言葉は空に浮かんだ
しばらくの沈黙の後なんとなく箸を止めた目の前の男に再度話しかける
「教授はスーツ暑くないんですか?」
やはり顔は上げないで視線が動いて私の顔を見ながらやっと顔が動いた
「もちろん暑いさ、今日は論文の発表があってね残念なことにこの格好だ」
手を顎の下に置き箸は持ったまま特に表情を変えないままやっと話をしてくれる
私は少し口角を上げ大変ですねと言おうとしたところで
「そういう君は昨晩と随分と雰囲気がちがうね?」
口をたの形をしたまま私は固まる
そうして走馬灯のように昨夜のことが蘇る