親友との変わらぬ日常
初めまして、主にファンタジー物を書いているのでこちらはサブになります。連載はしますが少し日にちが空いたらすみません....
鮮やかに朱色に染まる太陽を後ろに俺は愛する人を抱きしめた。
「大好きだよ....沙弥....」
「私もだよ....湊....」
それは高3の夏の事だった....
いつも通りの日常に俺は満足していた....。
いつもの通学路を歩いていると後ろから声をかけられた
「みーなと!!おっはよー」
バシッ!!
背中を叩いてくるのは俺の幼なじみ、東雲 沙弥だ。栗毛色のショートカットが特徴的でボーイッシュな所があるので男子に人気だそうだ。
俺は小さい頃から知っているので、あまり異性として見れない。
「いってーな!!さや!!何しやがるんだ!!」
「いーじゃん、別に!!嬉しいでしょ?私に叩かれて」
「俺はMじゃねぇ!!」
「へぇー初めて知った~」
と沙弥は意味深にニヤケ俺をからかってくる。
「もっと!照れなよ~私に惚れちゃいなよ~」
その反応が面白かったのか
俺の腕に手を通しながら顔を寄せてきた。
あぁめんどくさいな、朝からやられると気力が無くなるんだよな....
「へっへ~、惚れてもいいんだぜー」
と一昔前に流行ったギャグをかましてくるので、
いい加減うざかった俺は、彼女の顎をクイッと上げながら、俺の出せる最高のイケボで彼女の耳元に囁いた。
「そんなに誘惑して、俺が惚れたら沙弥は俺と〇〇〇してくれるの?」
すると沙弥の顔は茹でたタコのように真っ赤になり、顔から湯気が出た。
「な、な、ななな、なに、い、いってんのよ!!」
俺はその反応が面白かったので右手を沙弥の後頭部に左手を腰に当てた。
「沙弥が欲しい....。」
沙弥はさっきより顔を赤くしたと思ったら俯いてしまった。
「どうした?沙弥」
俺は心配になり声をかけた。
「バ、」
「バ?」
「湊のバカーーーー!!!」
沙弥は大声をだし俺の腕を振りほどき逃げてしまった。
「お、おい!!」
気づくと回りの人たちが俺の事を見てニヤニヤしていた。
「くそっ!!学校に着いたらあいつ覚えてろ!!」
振られた男って思われたじゃねぇか!!
渋々、回りの視線に耐えながら学校に向かっていった。
俺は学校に着くと、親友の翔が声をかけてきた。
「さっき、沙弥ちゃんがすごい勢いで廊下を走ってきたけどどうかしたのか?」
「あ、いやちょっとな....」
「また痴話喧嘩か?妬けるなぁ!!」
「そんなんじゃねえよ」
翔はけらけら笑っていた。
翔と俺と沙弥は昔から一緒だ。何をするにしてもずっと一緒だった。今もつるんでいるし、この関係がとても幸せでこの関係がいつまでも続けばいいなと思っていた。
このあとこの関係にヒビが入っていくのを俺は知るよしもなかった。
授業がすべて終わりあとは部活だけになった。
沙弥は俺と目を合わすだけで逃げてしまう。
あいつ今度見つけたら必ず取っ捕まえてやる。
翔が声をかけてきた。
「湊ー部活行こーぜー」
「おう」
まぁ沙弥とはいつでも会えるし、いいか....と思考を切り替え部活に向かった。
「湊!!シュートシュート」
「分かった!!」
パスッ
俺が放ったボールが吸い込まれるようにバスケットゴールに入った。
「ナイス!!湊」
「お前もな!!翔」
俺たちはバスケ部に所属している。小学生からバスケをしているので他の部員たちよりずば抜けて上手い。自分で言うのもあれだけど....
ひとしきり終わり休憩に入ったとき翔が話しかけてきた。
「湊は上手いな~さすがだな。」
「いやお前もな!!でもどうした?このごろ、調子悪いみたいだけどどうした?」
「いやー風邪気味でちょっと、すぐ治るよ」
「そっか、もうすぐインターハイなんだから治せよな!!」
「うん、分かった....」
心なしか翔は元気がない....
「湊、大切な話があるんだ....。」
「ん?なんだ?」
翔は辛辣な表情で呟いた。
「驚かないで聞いてくれよ?」
「なんだよ?勿体ぶるなよ!!」
「実は俺....沙弥が好きなんだ....沙弥に告白しようと思ってる....。」
俺たちの関係がこの時から揺らぎ始めていた。