表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

クサナギタクマ 1

遅くなったくせに量も少なくて申し訳ありません。

書きためていたものが消えてしまっていました。


内容自体はなんとか覚えているので大丈夫だと思います。



放課後の教室。

2年2組の生徒達も皆部活に行ったり、家に帰ったり、はたまた遊びに行き教室には人が4人しかいない。

草薙 琢磨ははぁっっ……とため息をつき、盛大な舌打ちをする。

学園では常に誰とでも仲良く、文武両道の完璧を演じている琢磨が普段人前で見せない光景だ。

だが、琢磨にとって自分以外に教室にいる4人には素の自分を出せた。


1人は峰岸 涼子。黒い髪を腰まで伸ばしている綺麗系の顔立ちの少女だ。涼子の家は剣術の道場を開いていて、琢磨は小さな頃からそこに通っていた、所謂幼馴染みというやつだ。

だがよくある漫画や小説とは違い、2人にともお互いに恋愛感情は一切ない。しかし2人の間に存在する信頼関係は恋人のそれよりもあった。


1人は斎藤 沙織。黒い髪をボブカットにしている可愛らしい顔立ちの少女だ。沙織は中学時代に琢磨と涼子知り合い、意気投合して以来親友になった。

これも涼子と同じで恋愛感情はさらさらない。


1人は星宮 昴。黒い髪を肩まで伸ばしている少年だ。昴に限っては琢磨とも涼子とも沙織とも仲良くはなかった。というよりも誰とも仲良くない。俗に言うボッチな奴だった。

と言っても顔立ちは琢磨ほどではないにせよかなり整っているし素行も悪くはない、話し掛ければきちんと返してくれる。だがある一定のラインからは決して踏み越えさせない少年だ。

昴のような人間は人の秘密をばら蒔くようなことはしない、そう琢磨は考えていた。

何よりも琢磨は昴と是非仲良くなりたいとまで考えていた。琢磨自身も他人を『自分』に踏み込ませないために仮面を被って学園生活を送っている。自分と同じ目的で、自分とは違う方法でそれを行っている昴は琢磨にとっては興味のつきない存在であった。


だからこそ琢磨は3人にだけは仮面を外すことが出来ていた。



琢磨が学園生活の中でもっとも充実出来ていたその時、ソレは起こった。

床が光を放ち、教室全体を包み込む。

4人は驚くが声をあげる余裕もない。


そして次の瞬間、教室から人が消えていた。



ーーーーーーーーー


もう500年は前になる。

人が主として生きる現界、魔人が主として生きる魔界、竜や翼人族が主として生きる天界の3つの世界で成り立った『世界』で戦争が起こった。これこそが後世に語り継がれている『3界大戦』である。


『世界』に住む全てを巻き込む大戦は『世界』全体に余りにも大きな被害を残した。

魔界では13魔王のうち3人の死、4人の魔王の封印。

天界の7大竜王の2体の死、3体の封印。

現界の中でも最大の大国の滅亡、その他幾つかの国の壊滅、勇者の死。



いつ、どこで、なぜ起こったのかはわからない。それぞれの世界の最高権力者であってもそうであった。気付いたら戦っていたのだ。

だが誰もがもう二度とこのような戦争は起こさないで置こうと肝に命じた。



それから30年が過ぎた頃、偶然にも同時期にこのような戦争が起きた理由について調べ始めた3界のそれぞれの学者達が居た。そしてこれまた偶然にも『世界』に生きとし生けるモノ全てに存在するマナ(魔法使いが持ち、使う第2魔力ではなく、誰もが持つ第1魔力ーー別名存在力)に着目してである。


それが現界のエトワール、魔界のエドウィン、天界のエレノアの3人だ。


戦争中であったならば、互いの世界の情勢にも詳しくなるだろうが生憎戦争終結後は3界とも完全に交流を絶ってしまっていた。

そしてこの3人はこの30年の間に有名になった学者であるため、3人は協同で研究したわけでもないし、そもそもお互いに存在すら知らなかったであろう。

だが3人の戦争原因の仮説は全く同じものだった。


『世界』には意思がある。戦争は『世界』が破滅してしまいそうになったために『世界』が自浄作用を起こしたものだということだ。


この仮説の根拠になったのが、戦争開始1年前に起こった出来事だ。

元々12人だった魔王に13番目が生まれたこと。

元々6体だった竜王に7体目が生まれたこと。

そして勇者とその仲間が異世界から召喚されたということ。


これらが指し示すのは強者達が『世界』に現れたことで、『世界』に漂うマナが大量に増えたということである。


3人はこれに続けて言った。


『世界』に存在できるマナの量は決まっている。そのラインを越えてしまえば『世界』は崩壊してしまう。だから『世界』はその住人である私達を殺し合わせたのだと。



それぞれの世界の住人達は極一部がこの仮説を正しいのではないかと考えた。いつから戦い始めたのかすら誰にも分からないということは、自分達には及びもつかない頂上の存在が何らかのアクションを起こしたとしか考えられないと考えたからだ。


だが大部分は違った。『世界』に意思があるだなんて突拍子もない仮説だと嘲笑った。




真相は500年経った現在でもはっきりとはわからない。






だがクサナギタクマらが異世界から勇者とその仲間として召喚されたことで『世界』に与えた衝撃は古の死者達を甦らせるような計り知れないものであるということだけは事実である。


つまり真実はこれからわかるということだ。



サーナイ伯爵領魔族襲来まで


【あと15日】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ