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城壁都市 上

例によって登場人物の服装は描写しておりません。どうか適当に脳内補完してください。お願い致します……。

「城壁都市か……」


 男が高台から見るその先には高い城壁で囲まれた都市があった。

そして平原に流れる大きな3本の河川の合流地点がその城壁のすぐそばにある。




 男は都市の城壁にある出入国管理所へ向かう。

 都市へ入るための人の行列があり、待つこと約1時間。男はようやく都市へ入ることができた。入国手続きの際に、銃器などの危険物や乗ってきた単車も都市内部

への持ち込みは禁止されている。理由は治安維持と経済活性のためだ。都市内部を早く移動するのなら、馬車や車などの公共機関を使わなくてはいけない。これが外貨獲得になっている。



 男が食事をとるために飲食店に入る。『オステリア・クレモナ』という都市内部に12本ある大通りの一つ、3番通りにある飲食店である。木造で暖かな雰囲気の店である。

 入店し、適当な席を探す。昼下がりなので、客はまばらだ。

そうしていると、


「あれ、コンスタンさんじゃないっすか!お久しぶりっす!」


 軽い調子の声が男の足を止める。

 見ると身長250cmはある女が座っている。ついているテーブルの下にその長い脚が収まっておらず、はみ出している。髪は肩口程度まで伸び、そこで切りそろえられている。快活そうな雰囲気の女だ。


「ああ、ぺトラ。久しぶりだな。2年くらいだったか」


「偶然ですね。コンスタンさんもここで昼ごはんっすか?」


「そうだ。ぺトラがいるってことはパルミラもいるのか?」


「師匠は今、この都市にはいないっす。私だけ先に来て、後からやって来るッす。なんでも他にやることがあるんだそうです」


「なんだ?その他にやることって。聞いてないのか?」


「そうなんですよー。聞いてくださいよー。師匠、まだ、あたしのこと信用してくれてないいすかねー……。通商条約の仕事があるのよ、とは言ってましたけど……」

落ち込んだ口調でぺトラと呼ばれた女が答える。


「そんなことはないだろう。少なくとも最後にパルミラにあった時はお前のことを信用していない風ではなかったぞ」

微妙な言い回しでコンスタンと呼ばれた男が応える。


「そう、なんですかね……」




 そう話していると、水の入ったコップがテーブルの上に置かれた。


「で、注文はどうするのかしら?」

 男が横を見ると女性のウェイターが立っている。手には注文を取るための紙がある。


「ああ、そうだな……。ぺトラ、今、お前が食べているものはどういう料理なんだ?」

 コンスタンがぺトラに料理についてたずねる。


「これっすか。これはリゾットという料理っす。ご飯にいろいろ入っていて、あたしが注文したのは魚介類のリゾットっす。オリーブの良い香りもあって、かなり美味いっすよ」

 ぺトラは真剣になって料理について説明する。どうやら気にいっている様子だ。


「リゾットか。聞いたことはあるが、食べたことはないな」


「では、リゾットにします?オリーブオイル、ニンニク、ネギなどで炒めたのをベースにして具材を入れるのよ。野菜、きのこ、肉、魚介類の4種類があるわ。肉は宗教上の制約があれば言ってね」

 とウェイターが説明を加える。


「4種類か。多いんだな」


「ええ、そうよ。初めてこの町にきたの?」


「そうだ」


「この町の説明いる?」


「ぜひ」


「その前に注文をお願い。料理が出来上がるまでお話しするわ。もちろん、他にお客さんが来ない限りだけど」


「じゃあ、肉のリゾットで。宗教は特にないからそのままで」


「わかったわ。ちょっと待っててね」




 女性ウェイターは最後にそう言い残し、厨房の方へと戻っていった。


「ぺトラはあのウェイターからこの町の説明とやらを聞いたのか?」


「ふぇ?ふょふんなふぁなしふぁ、ひひふぇふあぃっふ」

 モグモグとぺトラは食べている。


「しゃべるか、食うか、どっちかにしろ」

 ゴクリと飲み込んだあと、口を開く。


「ふー。すみません。や、あたしは聞いてないっすよ。親切にしてくれるのはウェイターさんがコンスタンさんに惚れたからじゃないっすか。コンスタンさんは寡黙で多くを語らず、おれの背中についてこい!っていうかっこいい雰囲気を醸し出してるじゃないっすか。」


「そんなわけないだろう」


「そんなわけがあったのよ」



 二人が横を向くと、いつの間にか先ほどの女性ウェイターが立っている。今度は料理をトレーに置いてである。


「やっぱり、そうなんすね!」

 とぺトラがほら見てとばかりに男に向かって言う。

しかし、そうぺトラが言った直後、


「そんなわけないじゃない。何言ってるのよ、あなた」

 とウェイターが言い返す。


「へへーん。やっぱり、そんなわけないじゃないですか、って、え?!」


「ほらみろ、ぺトラ。そんなわけなかったじゃないか」

 とコンスタンがぺトラに向かって言う。


「え?!なんでハシゴ外すようなことするんすか!」


「ふふ。だってあなた、からかいやすそうな雰囲気なんだもの」


「はは、そうかもしれないな」


「そ、そんな~。二人して酷いっす……」

 ぺトラがうなだれるようにつぶやき、コンスタンとウェイターの二人がほほ笑む。




 コンスタンが注文した料理を受け取ると、再びウェイターが話を始める。


「じゃあ、さっきの話の続きをしましょうか。この町の説明だったわね」


「ああ」


「さっき、え~と……」


「おれの名前はコンスタンという」


「あら、いい名前ね。ようこそ、城壁都市トルチェッロへ。ここは交易で栄えている都市。理由はこの辺り一帯を流れている3本の大河の合流地点がすぐそばにあるから。必然とヒトやモノが集まるわ。そんな背景があるからこの町は豊かなのよ。コンスタン、あなたはさっきリゾットの種類が多いって言ったけど、それは各地の食材が手に入りやすいからなの。小麦や米、トウモロコシなんかの主食は全てそろうわ。トルチェッロで食べられないものはないって言われているのよ」


「なるほど。それとこの料理は美味いな。バターと塩味が効いている」


「ありがとう。口にあったようでよかったわ」


「あたしのも美味しかったっす!」


「ぺトラもありがとう。後で厨房に伝えておくわ。

じゃあ、説明を続けるわ。城壁についてかな。この町で一番目を引くのは城壁だと思う。その城壁で囲まれているのは、昔からここを自らの国に吸収しようとする周辺各国から守るため。最初は浅い堀程度だったらしいんだけど、だんだんと強固にしようとしてああなったみたい。今となってはあまり意味がないんだけどね」


「どうしてっすか?周囲をなぎ払う超兵器でも造ったんすか?!」


「そうじゃないわ」

ウェイターは苦笑いしながら答える。


「かつて周辺の小国が乱立して、お互いの商品の取引が今と比べて少なかったころと違って、今は大きな国でいくつかにまとまってきた。そしてお互いに商品の取引が多くなってきた。その現状で戦争をしてこの都市を手にいれることによる利益と戦争した後の不利益を天秤にかけて後者の方が大きいとみんなが判断しているから。って、これは知り合いの受け売りなんだけどね」


「つまり、戦争をふっかけられる理由が無くなってきたから、城壁の存在理由が無くなったと」


「まあ、乱暴に言えばそうなるわね。とはいえ、観光名所にもなっているから、取り壊すのはありえないわ。それに私も含めてこの町みんなが愛着をもっているしね」


「素晴らしいことっすね。やっぱり平和が一番ですよ」


「ん~……。でも、最近はそうでもないのよ」


「何か異変が起こったのか?」


「異変って言っていいのか、ちょっと分からないけどね」

とウェイターが店内を見渡す。いつの間にか客はコンスタンとぺトラの二人だけだ。


「あれ、もうお昼の営業時間が終わってる。ごめんなさいね、これから夜の営業の下準備をする必要があるから」


「そうか。じゃあ、退散するよ」


「もし、よければ、夜ご飯も食べに来てね。少しはひいきにできるものもあるわよ」


「お!本当ですか!やったっす。コンスタンさん、夜も行きましょうよ!あたしはここの料理気にいっちゃいました」


「じゃあ、また来るか」

そう言いながらコンスタンとぺトラの二人は店を後にする。



「ぺトラはこれからどうするんだ?」

店を出た後、コンスタンがぺトラに話しかける。二人の身長差が頭3つ分はあるので、コンスタンがぺトラを見上げる形で話すことになっている。


「いや、特にすることはないっす。師匠からは、先にこの町に行ってなさい、という指示しか受けてないですから。強いていうなら、観光ですね。さっきのお店のウェイターさんが言っていたように城壁が観光名所らしいので、行ってみようかと思ってました。コンスタンさんはどうするんですか?」


「おれは……」

コンスタンがそう言いかけた時、背後で大きな爆発音がした。

二人は驚きながら振り返った。


会話文ばっかり……。

見切り発車なので、きちんとオーバーランせずに停車できるのか……!?

まあ、なろうに数多く存在しているエタった作品が一つ増えるだけだと思えば、気が楽になります。


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