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草原の移動都市

登場人物の格好はご自由に想像にして下さい。お願いします、書けませんでした。

男が平原を単車で移動している。


「あそこで食糧と燃料の補給をしよう。それに……、お目当てのものがいるかもしれないな」


男があそこと言い、見上げたのは巨大な建造物。

それはだだっ広い平原のど真ん中にあった。

ラグビーボールをさらに横に引き伸ばしたかのような外観を成している。

最も長いところで幅は十数キロはあるだろう。上部にはビルのようなものが無数に生えている。

平原にあるには不安定な形状をしているためか、つっかえ棒のような柱が無数に構造物から地面に向けて生えている。

数十分後、男はその巨大な構造物の下にたどり着いた。


「どこから入ればいいんだ?」


着いたはいいが、中に入るための入口が見当たらない。


「周囲を回ってみるか……」


男はそうつぶやき、再び、スロットルを回す。

構造物から大地へ向けて無数に伸びる柱の間を単車が駆け抜ける。柱の材質は構造物のそれと異なるようだ。色や表面の光沢が別ものである。





数分後、男は入口を見つけた。


「ここが入口か」


しばらく上へ上へ続く一本の通路を単車を押しながら歩く。

通路は薄暗い。

通路の照明は10m間隔おきに両壁面の足元にもうしわけ程度の明かりが灯っている程度である。


「ここは電気が通っているのか……」





単車の距離計の数字が3つほど増えてきたところで前方が明るくなってきた。それまでの通路の幅より広くなっている場所になってきた。

目の前には重厚な扉があった。

そしてその横には『関所』と書かれた看板があり、その下には窓口があった。

窓口の仕切りのガラスは相当な厚さだ。男が持っている銃でも壊せるかどうかわからないぐらいだ。

中には20歳くらいの一人の女性が居た。スーツを着ており、いかにも仕事着ですといった印象を受ける。


「ここから先に行くためには、この関所で検査を受ける必要があります。」


女性が男に気づくと話しかけた。


「何をすればいい?」


「初めてここに訪れますね?でしたら、これが検査項目です」


と女性が指差す壁のボードには膨大な項目が書いてある。その数は50項目以上はある。

男はその内容に目を通している間、女性が話しかける。


「あやしい人間はこの都市に入れない方針ですので」





全ての検査項目を終えた男が窓口の女性に尋ねる。


「なあ、この都市で今までに動物の皮をかぶったような人間、『獣人』を見たことがあるか?」


「なぜそんなことを聞くのです?」


「その特徴を持ったやつを探しているんだ。別に犯罪者とかじゃない。」


「そうですね、私がここの関所で働いてきたのはそんなに長くないのもあるかもしれませんが、おっしゃるような人物は通した記憶がないです。もし、ご希望であれば、過去のデータから照会してみますか?」


「ああ、すまない」


「少々お持ちください」


女性が『休憩中』と書かれた表示を窓口のガラスに立て掛ける。その直後、それまでの透明だったガラスが、くもりガラスのようになり、窓口の中が見えなくなった。

男はとめてある単車によっかかって女性が再び現れるのを待った。




十数分後、再び窓口のガラスが透明になり、女性が現れた。


「先ほどあなたがおっしゃったような人物はこの都市にはいないでしょう。どうします?それでも扉の向こうの都市へ行きますか?」


「いないというのは残念だ。観光でもするさ」


「わかりました。でしたら、まず、入ってすぐ見える市庁舎に行くといいでしょう。そこでこの都市の大方の情報が入手できると思います」


「そうか。親切にしてくれてありがとう」


「いえ、これも仕事ですので」


女性は表情を変えずに言った。



「では、扉を開けます。危ないですので、扉から10メートル離れた赤線の内側で完全に開くまでお待ちください」


そう言うと、先ほどまで全く隙間もなかった扉が鈍い音を出しながらゆっくりと、ゆっくりと開いていく。そして女性が言う。




「『アンリ・ジ・ファール』にようこそ」





「中は想像以上だな」


暗く長い通路を抜け、扉の向こう側には多層構造の街が、いや、都市があった。見渡す限りのビル群が来るときに見えた構造物の上部だけでなく、内部にも存在した。目に映るのは灰色の人工物ばかりだ。立体的な地図がないと迷いそうだなと男は思った。


「とりあえず、燃料と食糧の補給だな」





男が燃料と食糧の補給を終え、都市の上部の空中公園で訪れていた。


「ここが来るときに見えたビルの屋上か」


男がビルから見下ろす平原の地平線には沈む夕日が見えた。空は深い青色から濃い赤まで美しいグラデーションで彩られていた。

広大な平原だ。周囲数百キロは何もない。あるのはいくつかの未舗装の道と点在する木々と草のみだ。

この都市はまるで砂漠の真ん中のオアシスのように見える。


男がベンチに腰かけていると一人の女性が近づいてきた。


「さきほどの方ですね。こんばんは」


男が声をかけてきた女性の方を向く。そこにはさっきの窓口の女性が立っていた。服装は先ほどのスーツではなく、ゆったりした綺麗な色のワンピースと柔らかい素材のローヒールといったラフな格好だった。手には食材の入った袋をぶら下げている。


「ああ、窓口の。今日はもう非番か?」


と男が言う。


「ええ、そうです。あなたの方こそ今日はどこか観光はされましたか?」


と女性は答える。


「ああ、用事は済んだ。だからどこか観光しようと思って、さっき言われた市庁舎に行ったら、ここがオススメだっていうんで来たんだ」


「ああ、なるほど。そうですね、この空中公園はこの都市でも指折りの名所だそうです」


「確かにここからの夕日はとてもきれいだ。こんな光景は外部では見たことがない」




「外部……」


と女性はつぶやく。それも懐かしさを感じるように。


「そういえば、あんたはこの都市の出身なのか?」


「はい。ここで生まれ育ちました。外には行ったことがありません」


「外に出ようと思ったことは?」


「ありました。……でも、今はそんなに外に出ようは思いませんね」


「他の連中はどうなんだ?さすがに誰も出ようとしないっていうのはないだろう」


「少なくとも私の知る限りでは、他の人々も私と同じですね。都市の外にあまり興味が無いようです」


「そうか……」


「過去には外部に出ようとした人間はいたにはいたんです。でも、結局ここの都市に戻ってきてしまうんです。みんな口をそろえて『ここを捨ててまでどこかに行こうとするのは嫌だったから』というのです」


「……」


「ねぇ、どうして私たちはこの都市の外へ出ようとしないと思います?どこかへ行きたいと思う気持ちはあるのに……」


「……」


「あなたには関係のない質問でしたね……。済みません。忘れてしまって構いません」





翌日。

男は都市の入口である関所の窓口の前にいた。


「もう行ってしまうのですね」


「ああ、いろいろと助かったよ。ありがとう」


「いえ、こちらこそ昨日はあなたには関係のないこと言ってしまいました」


と女性は少々済まなさそうに言う。


「そんなことはないさ」


と男が返す。


危険物である銃の返却も済み、男は昨日登ってきた薄暗い通路を逆方向に下っていく。

薄暗い通路を抜け、再び草原を単車で駆け抜けていく。

出発から数分後、男が振り返る。

最初に男があそこといった建造物は飛行船の形をしている。


「そりゃ、旅の途中でおいて行かれるのは嫌だからな」


と男がつぶやいた。


オチ

男が訪れた構造物(都市)は飛行船で、都市住民は飛行船の乗組員なので、話にあるようなことになっている。


ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。

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