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犯人はだれ?④

 メイリが立ち上がって部屋を出た後で手早く着替えた綾奈も部屋を出てリビングに入る。申し訳程度に敷かれたカーペットの上に座り込んだ2人がこれまた申し訳程度に置いてあった14インチの小さなテレビを食い入るように見ている。


 「あっ起きたんだよな」


 と言いながらボリュームボタンを押して音を出した。


 「つか、2人して音無しテレビ見てたの?」


 メイリはもちろんだが皇成にも何らかの超能力があるのでは?と思う綾奈だ。まだ綾奈が寝ていると思っていた皇成の気遣いと、メイリはなにも考えず皇成と一緒になって無音の画面を見ていただけなどという複雑な設定を把握するほど起き抜けの頭は冴えていない。


 「洗面に歯ブラシあるよ。あっシャワー浴びれば?着替えは無いけど流すだけでも良くない?」


 「うん。そうします」


 ボディーソープやシャンプー、さすがにバスタオルは無いが10枚セットのタオルが洗面スペースに散らばっている。シャワーを使って出来るだけ綺麗に洗面回りを整えると相変わらずテレビに釘付けの2人の後ろに立ってテレビを眺めた。


 思わず髪も洗ってしまったので櫛も欲しいなと考えながら。


 「現在のところ要求はただ一つ、「我らに従え」です。狂気です。ヨーロッパを中心に数ヶ国が過去よりヴァンパイアの存在を認知し、かつ友好的な関係があった事を表明しています。我が日本もはるか昔からヴァンパイアの存在を把握しており共存関係に有った事、昨日起こったテレビ局関係者惨殺、中継車破壊事件の犯人はヴァンパイア絡みで有ることを発表しております。また、昨日の事件以前に国内においてヴァンパイア絡みの惨殺事件が過去3年間に数件起こっておりますが、今回の件とはつながりが有るとは思えない事を公式発表としております。現在、アグラム教国エリアへの食料供給は行なっておりますがもちろん要求を飲めるはずも無く各国首脳はイギリスに集まり協議を重ねております。各元首は自国で起こりうる不測の事態に備え、示し合わせて自国に待機中との事です。繰り返しお伝え……」


 「なんなんだ我ら従えってのは」


 皇成は呆れたようにつぶやく。


 「訳仕方の問題も有るんじゃない?いずれにせよ犠をだせってね。でも、こんな要求が通らない事はコムネナには分かっているはず。ヴァンパイアの中には的外れなのも多いけどコムネナはヒトと手広く商売をしていたしね。どういう事だろ?」


 メイリにもコムネナの真意は計りかねるようだ。


 「まずはご飯食べるって事でどう?」


 綾奈の提案に皇成が綾奈はこんなに残念な頭だったかと振り向くと涙を必死に堪える姿が有った。


 現時点では大多数の日本人にとって遠くの国のクーデター程度の認識しか無いだろう。アンデットに襲われて亡くなった遺族さえその真実を正確に伝えられていないせいも有りそれほど危機感を抱いていないはずだ。


 しかしメイリ達を別にすれは唯一アンデットを倒せる存在として戦闘に参加してきた綾奈にすればアンデットより圧倒的に強いとされるヴァンパイアの暴虐は恐怖以外の何者でも無い。怖さを誤魔化すためあえて日常に帰ろうとしたのだ。


 皇成は慌てて思い直すと


 「そうだな。メイリ、相談なんだがこの先3人は離れて行動しない方がいいと思うんだ。食事にしても1人が買いに行った方が目立たないだろうが万一どちらかが攻撃を受けて離ればなれになるとどうしても一方が気になって制約が出てしまう。とにかく3人で一緒なら余計な気苦労を負わなくていいと思うんだがどうだろうか」


 「そおねえ。何しろ一番弱いのは皇成ちゃんだしねえ。皇成ちゃん拐われたら綾奈ちゃんと助けに行くの面倒だしねえ。でもいつも一緒ってどうなのお?お風呂とかあ。私と綾奈ちゃんはイイけどお」


 「お前らだって一緒には入らないだろが」


 「コラ皇成!お前ってのは誰の事だ?メイリ様って呼ばせるぞ?」


 いきなりメイリが逆ギレしてくる。


 「そりゃ悪かったけどメイリだって俺の事ちゃん付けで呼んだぞ?聞いてねえぞ?」


 「あっそか。くそ、おあいこでいいよ。これから気をつけろよ」


 「つか、言葉遣いわりいよ。綾奈の教育上良くない」


 「これからお気をつけあそばせよ、皇成」


 クスクスッと綾奈が笑う。


 「お二人さん気が合うのね。妬けちゃいますわあ」

 

 「「違う」」


 確かになかなか息の合う二人だった。

 

 結局原則3人で行動する事にして、マンションを出る。


 「俺のカード使えるのかな?」


 「キャッシュカードでも監視されていると思った方がいいよ。とりあえず私が持ってる現金はこれだけだけど皇成は?」


 「結構有るよ。戦闘に出る時は出来るだけ現金を持ち歩くものだからな。状況を脱出するためにタクシーや民間の船を使う事も考えてね」


 「よろしい。では全部出しなさい。無駄使いしないように私が調整します」


 「オイマテ。それじゃ俺が孤立した時どうする?つか、子供じゃないぞ?」


 「私から見れば幼児だよ。いいから早く。ちょっと残してやるから」


 「こんな時だけ歳魔属性使いやがって」


 「はいはいいっ?」


 メイリはわざとらしく耳に広げた手を当てている。


 「もう、お腹空いたってば」


 綾奈の一言でファミレスに行った後でポピュラーな服が安くてなかなかお洒落なショップによる。


 昨日は暗かったしメイリの案内が案内だったので良く分から無かったがマンションは駅にも近いかなり便利な場所だったのだ。3日分位の衣類と厚手の上着類を各自買い込みマンションに帰る途中で皇成が


 「車に行って無線を確かめる。先に帰ってくれ」


 「ちょっとお兄ちゃん、3人で動くんでしょ?私達も行かないと」


 綾奈は携帯を戦闘時から持ってきておらず皇成は戦闘中に壊してしまっていた。メイリは最初から持っていなかったそうだ。


 「私達は友達とか仲間とかの関係は作らないからね」


 との事らしい。無線は仲間との唯一に近い連絡手段になっていたしコインパーキングに入れっぱなしも不自然なのでとりあえず乗り出す。


 近くの公園脇の広めの道に路駐して無線機のスイッチを入れる。入れても何も喋らず様子を伺う。しばらくして送信ボタンを押してみる。スピーカーの雑音に少しの変化があっただけだ。


 「この車はアグラムの貸出しなの?」


 メイリの問いに皇成が答える。


 「そういう事になるかな。俺が買ったんじゃないからな」


 「車を出して!」


 突然、メイリが叫ぶ。




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