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犯人はだれ?②

 なるほど。


 皇成は何も言葉が次げない。自動的にコムネナは父親になる訳だ。


 肉親の情、と言うものはヒトに比べて薄い様だがまがりなりにもメイリは愛する者達が狂気に染まって行く様を眺めて来たのだ。


 「ううん疲れたな。今日はこのくらいにしましょうよん。もう休まないと」


 急にくだけた調子でメイリは伸びをしながら話題を変えた。


 「ヴァンパイアも疲れるのか?」


 「なんか失礼じゃない?基本的にはヒトと同じと言ったでしょ?もっとも一週間くらいなら寝ないで活動出来るけどね。血でエナジーを補給しながらならもっといけるし」


 「どこがヒトと同じなんだ。スーパーマンじゃないか」


 あえて化物とは言わない。皇成は別にメイリの事が嫌いな訳では無いのだ。


 「……皇成が疲れているでしょうが」


 「俺は大丈夫だ。って、えっ?俺?」


 「ヒトは18時間程度連続して活動すると疲れてくるものと認識してるけど?それともがっつりお昼寝でもしたの?」


 思いがけないメイリの優しい声音に戸惑いつつ急に眠気を感じる。


 「ウチは廊下とリビングで寝るの禁止だから綾奈ちゃんと寝るか玄関の外で寝るか私と寝るかね」


 廊下で寝泊まり禁止など事態が大きく動く中で全く気にする余裕は無かった。確かにさっき廊下とリビングで寝てはいけないと言われた気がする。


 しかしメイリはヴァンパイアで有ることは置くとしても、いや置いてしまえばかなり可愛らしいの美少女なのだ。


 「いや一緒はマズいだろ。綾奈がなんと言うか……つか、他に選択肢がなければ……いやしかしな……」


 「てゆうかあ、別に添い寝はしないわよ?皇成は私の部屋の床でねるの。なんか期待しちゃってなあい?」


 ヴァンパイアとしての顔は完全に引っ込みちょっといたずらっぽいとさえ言える可愛いらしさを見せる。母は誰からも慕われたと言う血統書付きだから皇成の慌て度もマックスだ。


 「ああ、そうだな。それならいいんじゃないか?」


 そして2人で部屋に入ると


 「あっパジャマどころか着替えも無いんだ。ううん仕方無いなあ。皇成、床は確定なんだけど何もかけなくて大丈夫そう?」


 「ああ。外でもどこでも寝れるからな。ベッドに寝るのと変わらない快適さだよ。明日、と言っても今日だがいろいろ仕入れよう。2、3日は動け無いだろう」


 「なに言ってるの?のんびりするつもりは無いわ。でもこれからの話しも全部起きてから。さっ寝ましょ」


 メイリは小さなランプを残し部屋を暗くする。


 メイリが布団に潜る気配と共に皇成にも眠気がやって来る。ハードな鍛錬をしているので実際体力の限界はまだまだ先だったが、休める時は休むの原則と共にやはり疲れてはいたようだ。


 「皇成、お願いが有るの」


 「何?」


 「一度しかお願いしない。駄目なら永遠に口にも出さない。だからもし駄目でも一度だけ許して欲しいの」


 「分かったからなんだよ?」


 繰り返すがメイリは十二分以上の美少女なのだ。甘い声で囁かれれば緊張もする。


 「血を、吸わせて欲しいの。表向きの理由はあなたの能力を手に入れるため。血を吸うとそのヒトの能力を手に入れられる事がある。私達はヒト相手なら十分強いから格闘訓練なんてしないし銃も扱わない。私の剣術は特別で武器開発の為に訓練しただけなのね。皇成はこれからの私に必要となる能力をたくさん持っている……」


 皇成には不思議と血を吸わせる事自体への嫌悪感や拒否感は無い。それがメイリの望みなら叶えてやりたい気持ちの方が強い。


 「表向きは分かった。裏向きもあるの?」


 「ダンピールになってこれからを共に過ごして欲しいの。私の時間は長い。一生とは言わないわ。実際500年近くをずっと同じパートナーと過ごした話しは聞いた事が無い。それでもヒトはあまりに早く死んでしまうからとても一緒にはいられないの。必ず悲しい思いをする事が分かっている相手と笑い合える?いえ、笑い合えるからこそ余計に余計につらいんだな。でも私の歳だと手順を踏んでも必ずダンピールになるかは分からない。あと100年も経たないと確実にはならないんだけど」


 「ふうん。今いくつなんだ?」


 何気を装いあくまでもさりげなく聞いてみたがダメだった。急に身体を起こして声にもおなじみのドスが混じる。


 「今それを聞くのかよ。だいたい女にシレっと歳聞くんじゃねえよ」


 目は双方が赤く輝き顔は怒りの雰囲気を出している。が、牙の覗く口元は軽く歪み身体も半身起こしているだけでシナだれている趣きで全く怖さは感じない。それでも皇成はわざとらしく怯えた素振りで


 「大変申し訳有りません」


 と頭を下げる。




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