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大事件ですね。あっちでもこっちでも大騒ぎです③

50Mと言っても3秒程度で到達するアンデット共にとっては距離が有る内に入らない。直線的とは言え少しは回避行動も有るアンデットを中央後方でバラボラを広げたレーダー車が動きを捉えリンクデータを基に隊員が補正して拡散バリスタを撃ちまくる。50M程先でピタリと止められたアンデットにテルミット弾3000度の炎が降り注ぐ。タイミングさえ合えば楽にすら見える戦いだが次第に手当たり次第撃っている様な流れになってしまっていた。


「7番機不調。4番機理由は分かりませが撃ち方止まっています。」


アンデットはあまりに速いので「良く狙って撃て」と言え無いのが難しいところだ。弾幕が途切れれば一気に侵入される。


「レーダーによればあと20体です。」


「分かった。いくらなんでも弾が持たないだろう。2番6番9番も射撃停止、テルミット部隊はそのまま撃ち続けろ。機銃も残弾を考慮しつつそのまま迎撃。」


過剰と思えた拡散バリスタを減らした結果、当然弾幕は薄くなる。


「反応はあと10体程度です。」


このまま終わってくれるのか、と指令官が順調に見える戦果に気が弛んだとしても責められないかもしれない。指令官は残弾の心配と共に、もし、10体以外にもアンデットが存在したなら、とも考えていた。


「指令。2体に防衛線を突破されました。」


レーダー手の緊張した声がインカムに響く。指令官が目をやった時には拡散バリスタ砲とテルミット部隊が並んだラインを突破されレーダー車の前だ。


「全隊員、後ろを見るな。前方に集中しろ。後ろから殺させるような事はさせん。」


叫びながらも冷静さを出すところにこの指令官の優秀さを感じさせる。自身はアーマーを着込んでいないにもかかわらず真っ直ぐアンデットに駆けよって行く。隊員はアンデットの一撃にかろうじて耐える金属製の鎧のようなアーマーを着込んでおり、もしアンデットに取り付かれたら廻りの隊員が取り付かれた隊員にかまわず散弾をぶち込むのだ。


 アーマーは散弾を通さずアンデットは所詮ヒトの肉体だからアーマーにべっとりとヒトの残骸がへばり付く訳だが気持ち悪いなど感じている余裕も無い。指令官はそのアーマー無しで機敏にアンデットを捉え散弾銃を撃ちまくる。移動してきた機銃の弾と指揮官の銃が同時に一体のアンデットを捉えて行動不能に追い込んだがそこまでだった。


一瞬で迫ったもう一体のアンデットに腕を引き抜かれ大きく放り投げられる。それが機銃の射線だったため機銃手が撃ち方を躊躇うと気を失った様に見える飛ばされている途中の指令官の声で


「撃て。」


とはっきりした言葉が機銃手の耳に届く。機銃手も夢中だった。追い詰められた心が


「この銃弾は指令官には当たらない」


と思い込み引金を絞る。指令官の身体をバラバラにした銃弾はアンデットも砕いていく。2体目も塵となった頃、正面を見ているレーダーからアンデットの姿が消失した。


 ひとまず80体のアンデットには勝ったのだった。指令官の死亡はインカムのやりとりで誰もが知るところだったので副指令官が


「撃ち方止め。全員そのまま待機。補弾を速やかに行え。」


と命令を出す。その時、


「レーダーに反応。何かおかしい…レーダーに…アンデットが…いや、小型アンデット。凄い数です。カウンターは253を示しています。」


アンデットがヒトの大きさである以上、レーダーでヒトと見分けているのは体温だ。アンデットの体温は外気温プラス2度程度であることを利用している。犬猫の様な動物も同じ様にアンデット化するがヴァンパイアが犬猫の血を吸った結果の為、滅多に見ることは無い。レーダー手の見た反応はヒトの大きさよりも小型であったと言う事だった。


「副指令、反応が一定しません。ヒトの大きさは無いのですが。」


「目視警戒。アンデットが小型動物の可能性がある。そのつもりで索敵を続けろ。」


「何かいます。ヒト?アンデット?数6。軍服を着ている様です。友軍でしょうか。」


スエリ軍が応援に到着しても良い頃合いだった。スクランブルをかけた戦闘機なら通報から10分とかからず到着出来る距離なのだ。今回は戦闘機が間に合ったところで意味は無かったが、降下部隊なら着いてもいい頃だ。


「反応はあの兵士です。任意のA、B、C個体座標一致。あれはアンデットです。あの制服が体温を遮断していると思われます。偽装です。この光点全てがアンデット?カウンター314体。動きに統制が有ります。4体づつのグループに分かれて展開。おかしい、おかしいですよ。」


建物が有ると探知にも限界は有る。それでも統制された動きをするアンデットなどどんな文献にも記録は無い。統制されているため遠目にはヒトにしか見えない事も副指令に判断をつかせかねていた。


 突然、スピーカーから男の声が流れる。美しい景観が壊れない様に巧みにカモフラージュして配された、広場全体に響く公共スピーカーだった。王宮内部から有線もしくは無線で音声を流せるシステムだが、無線の周波数が乗っ取られたらしい。


「諸君、お疲れ様。たまには戦闘もいい運動だろう。この新しい者達は完成形でね。廃品処理に付き合わせてしまった事恐縮するよ。君達にうらみは無いし退散してもらえばそれでいいんだが、重ねがさねすまない話し、ぜひ全世界へのメッセンジャーになってもらいたい。メッセージはだな、「ヒトはヴァンパイアに従え」だ。なに、これから命を失うヒトは格段に増える。寂しくは無いはずだよ。もっとも私は寂しいと言う感情が理解出来んのだがね。それでは、さようなら。」


完成形と言われたアンデット兵が4体1組で一番端の拡散バリスタ砲1番機に迫る。大型のライフルを片手で軽々扱いアグレムの戦闘員の腹に射程ゼロで数発撃ち込んだ。拳銃弾はもちろんライフル弾もある程度弾く性能を持つアーマーだがこれはひとたまりも無い。しかも2体が同時に3発づつ計6発を撃ち込まれ当然隊員は戦闘不能になる。


 拡散バリスタ砲隊、テルミット砲隊がアンデットの圧倒的な速さとパワーを縦横無尽でかつ統制された動きによる攻撃で数分と経たず全滅しレーダー車が残される。アンデット達はテルミット砲を3門かかえ、そこにある弾を次々レーダー車に撃ち込み始める。熱さで乗員が出てきたところで首をもぎり飛ばし首から下は車内に落下して、もう一人いた乗員は車内の熱でそのまま死を迎える。


 さらに手当たり次第に残弾を王宮にバラバラと撃ち込み弾が無くなるまで続けた。1時間後、王宮内にいたヒトが皆殺しになった後、300体以上のアンデットを従えたヴァンパイア十数人が、宮殿内に入って行った。






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