英語と燎斗
今日は水曜…
課題のために放課後…
俺と燎斗、そして日谷さんと清家さんの4人で集まろうと約束した日だ。
ただ放課後にはまだまだ早く、今は4時間目の授業を受けているところだ。
そして4時間目…
俺たちのクラスが何の授業を受けているのかと言うと英語…
そう、英語だ。
そして英語で思い出したかもしれないが…
担当の先生はあの、早乙女先生という自称処女ではないらしいお人だ。
それが本当か嘘かは、俺には分からない。
でも俺的には嘘にしか聞こえない。
ただ先生本人がそう言っている。
なら、きっと本当なんだろう。
誰も信じてはいないと思うけどね。
そしてその先生が、今何をしているのかというと…
いつも通り…
俺の目の前の席の燎斗は、机に頭を付している。
その姿から、たぶんだけど手を枕にでもして眠っているんだろう。
きっと、気持ちよく良い夢でも見ながら…
ただそんな燎斗の元への伸びる、処女の影が…
先生は寝ている燎斗の隣に立って…
そして、燎斗の耳元まで顔を近づけてから…
「矢代、く~~ん。」
そう呟いた。
どこの誰に需要があるのだろうか、先生から漏れ出た甘い声…
その声に…
ぞわぁ…
俺にはその声は向けられていないはずなのに、身体の芯から嫌な感覚が走った。
ぞわぞわと、身体が震えあがり…
急激に周囲の温度が、5度くらい下がった気がした。
そしてそんな感覚に襲われたのは、俺だけじゃないみたいで…
俺の隣にいる清家さんは…
両手をギュッと握りしめ、寒さをしのぐために…
いや寒気をしのぐために、より小さくなるようにガチガチと震えながら背中を丸めた。
そして斜め前の日谷さんは…
目に見えて、大きな変化はなかった。
なかったけど、よく見てみると…
左手で握っているシャーペンが、ブルブルと震えている。
それに顔も、いつもに増して白く見える気が…
俺だけじゃなくてみんな、先生の甘い声が効いたみたいだ。
そして、もちろんそれは燎斗も例外なんかじゃなく…
先生の甘い呟きを聞いた瞬間…
静かに寝ていた燎斗の身体は、ブルブルと震えあがり…
そして震えながら、背中が起立した。
その背筋は、すごくきれいんいそびえ立っていた。
ただすぐに、寒気をしのぐためか背中が丸まっていく。
ただ、燎斗は起きることには起きたから…
「あっ、矢代君、やっと起きましたね?」
やっぱり、先生の甘い声…
もうノリ的には、初めてのお泊りとか新婚とかそう言う感じなのだろうか。
「え、あぁ、はい…」
燎斗の、戸惑いと震えを混ぜた返事…
その返事に先生は…
「授業が始まってから、ずっと寝てばかりですね。体調でも悪いんですか?」
生徒を…
燎斗を想っての一言なのかもしれない。
その言葉に、燎斗は頭を手で搔きながら…
「あー、少し体調が…」
ここまで言葉にしたとき…
早乙女先生は被せるように…
「なら、保健室に行きますか?先生と一緒に♡」
ピタっと、燎斗の動きは止まった。
当然、ダルそうに頭をかいていた手も一緒に…
そして、ギギギ…
まるでそんな音が鳴ってしまいそうに、首を震わせながら先生の方に向ける。
「や、ややっぱり、す、すごく元気です。な、なんで、だだだ、大丈夫です。」
この時の燎斗は、どんな顔をしていたのだろうか。
後ろにいた俺からは、彼の顔は見えない。
でも…
今も震えてる燎斗の頭と身体…
だからきっと、かなり取り乱した顔をしていることだけは確かな気がする。
ただ、そんな燎斗にお構いなしで先生は…
「遠慮しなくていいんですよ?それに…」
先生は顔を…
視線を下に向ける。
場所的には、燎斗の腹部…
いや、もっと下の部分かもしれない。
そしてその瞬間、燎斗の手が動いた。
まるで、自分の股のあたりにある何かを隠すような動きだ。
ただ、それでも先生は止まることはなく…
「そっちの方は元気ではないみたいなので、先生が元気に…」
「いえ、結構です。」
「そうですか?遠慮しなくても…、先生と一発…」
「いえ、ほんと結構なんで!!!」
燎斗の声は、強く…
そして、強い意思が籠っていた。
だから先生は残念そうに…
「そうですか…
ようやく、先生も処女卒…、ゴホン…
イケメンで処女卒ぎょ…、ゴホンゴホン…
残念です。」
隠せてもいないし、隠す気もなかった。
そしてこのタイミングで、チャイムが鳴った。
先生は教壇へと戻ってから…
「えー皆さん、先ほどのやり取り…
皆さんは何も見なかった…
いいですね?何も見なかったんです。
もし先ほどのことが外に漏れた場合は、先生の初めての相手…、ゴホン…
先生と一緒に宿題をこなしてもらいます。
もし嫌なら…、分かってますね?分かりましたね?
では、これで授業は終わります。」
先生のこの言葉を最後に、授業は終わりを迎えた。
みんな…
特に性別が男の生徒が、顔を青くしていたことは言うまでもないだろう…




