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課題と意見

えー、自信がありません

ということで、プラスでもう一話出ます

 とりあえず買うものは買ったから、席に着く俺たち4人…

 そんな俺たちが今からやるのは、現国の授業で課されたグループ課題。

 俺たちは、今からみんなで協力してそれに取り掛からないといけない。

 いけないのだが…

 

 みんながテーブルの上に課題のプリントを取り出す。

 その中で同じ動きはしているものの、何故か急に焦ったようにしゃべり出す男がいた。

 そう、燎斗だ。


 「あのですね、みなさんに謝らないといけないことがあります。」


 この前振り…

 こいつが今から何を言い出すかが予想できてしまって…

 俺は急に、小さな偏頭痛に襲われた。


 ただ、そんな俺に構わず燎斗は…

 「やってくるの忘れちった。すまん。」

 舐めたような謝罪をしてきた。

 ほんと、偏頭痛が痛かった。


 ただ誰も、その燎斗の言葉に返答しない。

 清家さんは、嫌そうな顔と困った顔が入り混じったもの…

 日谷さんは何を考えているか分からない、ポーカーフェイス…

 

 そして俺は…

 俺はどういう顔をしているのだろうか…

 自分で自分の顔は見えない。

 ただ決して、良い顔はしていないことは確かだろう。

 だって、痛い偏頭痛がしているのだから…


 みんな誰も返答をしない、クソ重な空気…

 さすがの燎斗もこの空気は辛いのか…


 「なぁ幸成…」

 燎斗が絡んできた。

 でも俺は、彼からすぐに顔を違うとこへと背けた。

 

 来る途中でもいい…

 先に謝ってたらきっと俺は許した。

 なのにこのタイミング…

 このタイミングでの開示…

 きっと、みんなが許すしかない雰囲気になることを期待している。

 そう思うと…

 絶対に許してたまるか…

 俺の心の中から、そんな気持ちが湧いてきた。


 そんな俺の肩を、燎斗が揺すってくる。

 しょうがなく、そっちに顔を向けると…

 無駄に顔の良い顔がそこにあった。

 

 そしてその顔が、苦笑交じりの笑顔で笑ってきて…

 イケメンはどこまで行ってもイケメンなんだろう。

 燎斗の顔が、すごく憎たらしかった。


 「死ねばいいのに…」

 「ひでぇな…」

 「あーごめん。つい本音が…」

 「本音って…。幸成、そっちの方がひどいからな!?」

 「あーそっか…」

 「そっかって…」


 俺と燎斗の、割といつものノリ…

 このノリに、今日は日谷さんが入ってきた。


 「ねぇ幸城、許してあげなよ。」

 俺は無意識に、そう言った人の方に顔を向けた。

 するとそう口にした人は、人の視線は…

 俺には向いてなく、燎斗の顔へと注がれていた。


 はは…


 そして清家さんからも…

 「わ、私も許してあげたらいいと思う…」

 段々と声が小さくなっていく、いつも俺が聞いている清家さんの調子…

 清家さんの方に視線を向けると、いつものように顔が俯いていた。

 

 あっ、清家さんはいつも通りだな。

 俺はそう思った。

 ただ、それは俺の勘違いで…

 よく見ると、彼女の頬は少しだけ赤く…

 そして、チラチラと燎斗の横顔を盗み見ていた。

 

 あー…

 「イケメンって得だよな~。」

 この言葉に、女二人の肩がピクっと跳ねる。

 ただそれに燎斗は気づいてないらしく…

 「どうした?いきなり…」

 不思議そうな顔をしながら、そう言ってきた。


 でももう、俺の中ではどうでもよくなってしまっているから…

 

 「いいや、なんでも…」

 「そっか…」

 

 こんなことがありながらも、俺たちは課題に取り掛かっていく。

 

 そして、燎斗は自分のプリントの端を持ち上げながら…

 燎斗から、次に出てきた言葉は…

 「これ、どういう内容だったんだ?」

 

 ほんと、頭痛が痛かった。

 この男、強強メンタル過ぎる。

 そして何故か、女性陣の2人が俺を見てくる。


 この視線…

 お前が説明しろということなんだろう…

 

 でもさっきのやり取り…

 燎斗を許そうって言ったのは女性陣の二人…

 なのにこういう役割は俺…

 すごく納得できなかった。

 いや、もう諦めてやるんだけどさ…


 はぁ…

 さて、どう説明するか…

 とりあえずは、端折っての説明でいいか…


 「題材に使われてる国じゃ、2000年少しくらいまでだったかな…

 商品を買う時につけ払いでやり取りしてたらしんだよ。

 ただ作者的には、それがあんまり良く見えてなかったらしいんだよ。

 でも、なんていうかな…

 つけにしてあげたお礼として…

 客側がおごってくれたりとか、次の商売のきっかけになるとかで…

 つけが返って来なかったとしても案外悪いやり方じゃないんじゃね?って話かな。」


 けっこう端折った。

 でも自分的には、良い感じで説明できた気がした。

 だけど燎斗からの反応は…

 「ふ~ん…」

 冷たい声で、どこか冷めている感じだった。


 俺の言葉を聞いてない…

 テキトーに流しているとかそういう感じではない。

 

 ただ、俺が言った内容…

 作者の意見というか、その国のやり取りの仕方…

 何かが分からないけど、燎斗からしたら何か納得しがたいものがある…

 そんな感じの反応だ。


 そして追加で燎斗から…

 「そんな上手くいくもんかね…」

 そう付け足された。

 やっぱりその物言いは、彼にとってはどこか思うとこがある話なんだろう。


 そして、そんな燎斗に続いて日谷さんからも…

 「私もそう思う。絶対、上手くいかない。いってなかったと思う。」


 日谷さんも、その国で行われていたやり取りに懐疑的なみたいだ。

 

 二人の意見も十分に分かる気がする。

 つけって言うのはやっぱり、どこまで行っても人を信頼した上での話で…

 人を信頼した上でのやり取りが、そんなに上手くいくか?

 そう言われると…

 上手くいくとは、簡単には言い難い。


 そして踏み倒されたとしても、返ってくるリターンが見込める…

 そう言われても、本当か…?

 そう疑ってしまいたくなる気持ちも分かる。


 まぁ、とりあえず…

 二人はあんまり良いように思っていないみたいだ。

 

 そしてここまでのやりとりで、少し空気が重くなってしまった。

 でもその空気を…

 

 少し嫌な言い方だけど…

 いつもは、考えなしみたいなとこがある人…

 だけど今回はその人が、この空気を少しだけ良くしてくれた。


 「わ、私は、助け合いみたいな話で、す、すごく良い国だと思った…」

 そう、清家さんだ。

 

 彼女の意見は、二人とは正反対…

 返してくれるかどうか不明であるつけ払いを…

 それはいつかちゃんと返ってくる、もしかはそれなりのリターンがある。


 どちらにしても、ちゃんとなんらかは返ってくる…

 返ってきていたのなら…

 逆に、素敵なこと…


 いや、そう信じ合えていたのなら素敵だ。

 そういうことだろうか…

 たぶんそうだろう。

 

 そして…

 二人の意見に比べたら理想論で、絵空事…

 ただ、そう信じ合える社会であれば素敵だっていうのには俺も賛成だ。


 二つの意見なら、俺はどっちなんだろうか…?

 

 燎斗や日谷さんの言ったように…

 そんな上手くいくことはないだろう…

 それも分かる。

 ただ、清家さんの理想も素敵だと思う。


 だから少し考えてみた。

 そして思ったのは…

 

 きっと俺は、清家さん寄りなんだと思う。

 そういう、信じあえる世の中が良いと思う。

 

 いや…

 たぶん燎斗も日谷さんも、きっとそう言う社会が良いとは思っているのだろう。

 ただ二人は…

 俺や清家さんみたいに、楽観的になれない…

 きっと、そういうことなんだろう。



 

 ただのプリントの内容を軽く説明しただけなのに、みんなのことがより分かった気がした。

 そしてそれが役に立って、宿題は良い感じに進んだ。

 

 ただ終わりとまでは行かず、水曜の放課後…

 そこで宿題の残りを、またやろうということになった。

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