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転生魔王は勇者ああああを子育て中  作者: リリリリリム
はじめてのおつかい編
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23.なんでも拾ってこないこと

 あの後レナードは無事にアーキスから防犯アイテムを入手することに成功した。



 今は設定を変更するためシアに連絡を取るところだ。


 俺の目の前にあるのは、登録した相手と連絡が取れるというアイテム。腕輪型で通信中は映像がホログラムとなって相手の映像が投影される。これはレナードが共同研究をしていた先輩と作り上げたもので、まだ試作段階だという。少々ごつく、今のままでは身につけると手枷でもつけているように見えてしまうので、現在は軽量化を目指して改善中とのことだ。



「旅に出ることを聞いた時に、シアにはこれを持って行くように先に届けていますので、シアも同じものを持っています。


 なのでこれを使えばお互いの連絡はいつでも可能です」



 通信実験はすでに終えているのだが、シアには色んなところから繋がるか確かめたいから協力して欲しいと言って渡したようだ。


 本人は心よく協力を申し出てくれたようだがやっていることはアーキスと正直変わらない。

 本人了承済みかそうでないかの違いだ。


 こう言ったところに血の繋がりを感じるな。



「では繋げます」



 腕輪から淡い光が浮かび、映像が映し出された。


 画面の相手はこちらを認識するととたんに笑顔になった。


「動作確認異常なし。問題なく作動」


『わ! ほんとうに映ってる!

 父様! 私が見えますか?』


「しっかりと見えているぞ。元気にしていたか?」


『はい! 今は山を越えてもうそろそろ父様の言っていた村のあった場所に着く予定です』


「そうか。ずいぶんと早いな。山を越えるのに数ヶ月はかかるだろうにまだ一週間くらいだぞ?」


『それがですね...』



 シアが話す途中で急に向こう側の映像が乱れた。画像が乱れるというよりは腕輪を持っているシア自体が動かしたため乱れたといった感じだ。


 合間にシアの、嗜める声が入ってくるので、側に誰かいて邪魔をしているのだろうか。


 もはやさっそく虫がついたか、と一瞬懸念がよぎる。


 そうなればアーキスの防犯アイテムが反応するはずなのだが故障でもしているのか。もしもの場合は転移さえ使えればそれで俺が向こうへ行き、相手の息の根を止める。



 俺は眼光鋭く画面の向こうを睨みつけ、相手を見ようと目を凝らす。


 それでちらっと画面の端に映ったのは。



「鱗?」



『おとなしくしててって言ったのに!』


 もう! と怒ったシアの声と同時に向こうの映像が戻る。


『ごめんなさい父様、お騒がせして。


 今見えたかもしれませんが、山で逸れドラゴンを拾いました! それで私が足に捕まりながら飛んでもらったので早く着くことができたんです!』



 娘はどうやら虫じゃなくてドラゴンを引っかけてしまったらしい。


 軽くドラゴンを犬猫を拾ってきたかのように告げるのもやめて欲しい。肝が座り過ぎているというか、娘が大物すぎてついていけない。



「逸れドラゴン?」


『まだ子供なんですが、傷だらけだったところを手当てしてあげたら懐かれて、そのまま着いて来たので今一緒にいるんです。


 これから先は山を降りて人のいるところに行くのでこの子とはここでお別れなんですが、言うことを聞かなくて...』


「ドラゴンも人族からすれば立派な脅威だからな。目撃されれば子供と言えど、下手をすれば王都から冒険者や騎士が派遣されて来るかもしれない」


『やっぱりそうですよね。


 なんとかしないといけないんですが......置いていかれると思って離れるのにものすごく抵抗するんです。やんちゃで、何度注意しても私の物を取って行ったりするし手がつけられません』



 あの、とレナードが声を発する。


「横から失礼します。


 僕が思うに、その子は離れたくないからこそ物を取っているのだと思うよ。物を取れば取り返しに来てくれるから。


 人族のところに行くのに連れて行けないのはどうしようもないから、ここはまた会いに来るとか、置いて行くわけじゃなくて離れても戻ってくるというように交渉してみてはどう?」



 レナードが冷静に分析し解決策をシアに言う。



 ドラゴンは子供のうちは親につきっきりで過ごすもの。逸れて怪我をしていたようだし余計に一人きりになるのが心細いのかもしれない。



「少なくともシアもそのドラゴンに愛着があるのなら、レナードの言うように伝えればいい」


『ではこの子を飼う許可をくれるんですか!?』



 シアが喜びをいっぱいにしながら画面にドラゴンを映す。



 飼う!!?


 そこまでは思っていなかったのだが?!


 まずドラゴンって飼うような生き物か!?



「珍しい色だ。白い身体だが鱗の形状や姿からして火龍の種類。怪我をしていたのも大方珍しい突然変異種として狩られそうになったかだろうね」


『そうなの! 炎は青い色でとっても綺麗なんだ~』



 心得たようにドラゴンが口から少量の炎を出して見せる。


 色は確かに青く美しい色をしている。身体はまだそこまで大きくなく、シアの背の半分くらいほどか。白という目立つ身体の色からしても、この先も狙われ続けるだろうと思わせるには十分だった。


『懐いてくれてるし、こんなに綺麗な炎も出せるのよ! できれば私もこの子とずっと一緒にいたいなって思って。


 父様、やっぱりダメですか?』



 はぁ、仕方がない。


 やはり娘のおねだりには勝てそうもない。それが例えドラゴンを飼いたいなどというとんでもないお願いでもだ。

 


「一応困った時に手助けはするが、面倒はしっかり自分でみること。


 あと、躾ができるのなら可能な限りしておきなさい。いずれはこの城内で過ごすのだとしたら、あちこち燃やされては困るからな」


『ありがとう父様!


 じゃあしばらくは山でこの子と過ごそうと思います。しっかり躾した後城に行かせるので、私が人族の国を巡っている間預かってください!』


「まあ、いいだろう。しっかり躾をした後ならな」



 躾はしっかり頼む!!



 娘にそう念を送っておく。


 俺にはドラゴンの躾は到底できそうにないからな。


 前世で猫を撫でるときにだって引っかかれないかビビっていた俺だぞ? 


 後足元をうろちょろされるのも足や尻尾を踏んでしまったら怒って噛みついてくるんじゃないかと気が気でなかった。そのくせなぜか懐かれてしまうので、よく膝に乗ってきた猫にフリーズしたり、犬に飛びかかられてすっ転んだ後に顔面をびちゃびちゃになるまで舐められたりしたな。


 周りは微笑ましそうに見ていたが俺には恐怖の記憶である。



 まあ最悪こちらにはマーシーがいる。怪我などを治療してもらったりと、城内で医療関係を任せてはいるが、彼女も変わった種や大型の魔物を飼い慣らしている。色んな生態に詳しいので、もし不安なことがあれば彼女に聞けば大丈夫だろう。


 というかむしろ彼女なら喜んでドラゴンに食いつきそうだ。彼女に色々されないよう俺が責任持ってマーシーからドラゴンを守るハメになる可能性もあるのか。



 やはりドラゴンを飼うことを了承したのはまずかったのではないかと俺はそっとため息をついた。

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