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転生魔王は勇者ああああを子育て中  作者: リリリリリム
はじめてのおつかい編
20/34

20.子どもの交友関係は気にかかる

「では、もしかしたら人族の国に行くことで私は両親ことを知ることができるのかもしれないですね。


 はっきりとは分からないんですが、あの国の方から呼ばれている気がするんです。


 ずっと、それこそ小さい時から、漠然とあの国に行かなくてはという気持ちがずっと私の中に......」



「そうだったのか」



 俺には見つけられなかったがシアなら見つけることができるのかもしれない。

 二人に関して俺も一応は探してみたのだ。人族の国でなかなか手こずったものの、それでもできる限りは調べた。


 だが、不自然なほどに二人のことは何も知ることができなかったのだ。まるで隠されているように。


 だがシアが何かを感じているというのなら、二人が残したものを見つけ出すのは俺ではなくシアというわけか。



 これは必然なのだろう。



「父様にとってあの国に対して良い思い出はないのかもしれません。だからこそ私があの国に行くことをあまり良く思っていないのも分かってはいるつもりです。


 でも、それでも私は行かなくてはいけないと思います。


 父様、私はもう守ってもらわなくても大丈夫なくらい強くなりました。


 確かに父様にはまだまだ敵いませんが、そう心配しなくても大丈夫です」


「言われてしまったな。


 もうそんな子どもじゃない、立派に成長したことは理解しているんだがな。

 やはり何歳になろうと心配にはなるんだ。


 師匠たちの唯一遺してくれた大切な忘形見であり、俺の大事な娘だからな。


 無事に戻れ。それが旅を許す条件だ」



 机の中から古い地図を取り出す。


 この地図には無くなってしまった村が描かれている。これを頼りに新しい地図と照らし合わせば、シアがあの村のあった場所に行くことができるだろう。



 取り出した地図をシアへと差し出す。

 表情からシアもすぐに察してハッとした顔で受け取った。



「これを持って行くといい。もう分かっているとは思うがこの古い地図なら村が描かれている。


 村の名前はカルムト村。冥闇の森を抜けた先、中央を通って人族の国の王都を経由するか、国を囲む山脈を辿っていく迂回するルートで行くことができる」



 俺は黒持ちなので、極力人目につかないように山脈を辿って魔界へとやって来た。

 遠回りで山は過酷な環境のところもある。正直言って俺みたいな事情が無ければ王都を通る方が楽なルートだ。



「では、最初は山を辿って行ってみます。父様がここに来た道ですよね? 私も同じ道を見てみたいです」


「そうか。あの時は周りの景色を楽しむ余裕がなかったから、あまりこれと言っておすすめの場所を知らない。何か綺麗な観光場所でも知っていれば良かったのだがな。


 あの場所にいるのは俺のような人目を避ける者か、あとは修行に来ているような者たちくらいだ。


 それと、俺が通って来た時にはいなかったが、今はあの山脈らへんを縄張りにドラゴンが住み着いているようだ。まあそうそうドラゴンに会うことはないと思うが念のため気をつけておくといい」



「はい。


 村のあった場所に行った後は王都の方も見ておこうと思います」


「あの国も最近はおとなしいが黒持ち狩りなど魔族に対して敵意を隠そうともしない国だ。くれぐれも魔界から来たことはバレないようにな」



 表立って事件は起きていないが常に不穏な様子の国である。


 黒持ちを庇っただけでも罪に問われるくらいだ。人族ではあっても魔族と関わりがあるということがバレたらシアもひどい目に合うことは察するに難くない。



「はい! 人族への紛れ方や王都での動き方はミリアさんに聞いてみました!


 観光場所やおすすめのお店も何軒か教えてもらったので、そこにも行ってみようかと思っています!」



 ミリアは幻術を得意としている。


 息抜きがてらによく色々な国に観光に行っているとは聞いていたが、まさか人族の国にも行っていたとは。


 元々ファルルはミリアからの紹介であるし、連絡を取ろうと思ったら簡単にできるだろうがいつの間にそんなことを教わっていたのか。



「あと、ナンパの上手なかわし方や奢らせ方とかも教わりました!」

「それは覚えなくていい」



 娘の交友関係が知らない間に広がって、要らぬ知識まで取り入れてしまっている。



 まったく、ミリアは人の娘に何を教え込んでいるんだ。


 彼女の面白がる様子が容易に想像できてしまうのが、シアに教えながら俺がそれを知ったときの反応を楽しむためとしか思えない。



「......色々教わるのはいいが、あまり変なことまで教わらないようにな」


「もう少し大きくなったら手玉の取り方を教えてあげると言われたのですが、それは教わらない方がいいものでしょうか?」


「うむ......」


「良い男とダメな男の見極め方は?」


「それは俺が見極める」



 本当に、ミリアは何を教え込もうとしているのか。



「じゃあ観光ガイドマップだけ今度貰って来ます」


「ぜひそうしてくれ」


「父様も旅に出てチェスターさんたちと出会ったんですよね?


 ミリアさんも旅はイイ人に出会えるチャンスって言っていたので、私も楽しみです!」



 確かに俺は旅に出たことで今の仲間たちと出会えたが、ミリアの言う出会いは違うと思う。

 だが、純粋に俺のように旅をすることで長い付き合いになるような信頼のおける者を出会えることを楽しみにしているのだとしたら水を差すのも悪いだろう。



「そうだな、シアも俺のように良い出会いに恵まれるといいな」


「はい!」



 ミリアには後でしっかり釘をさしておこう。

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