アラサーの男に非現実は似合わない
この日本には、多くの神がいる。
それは八百万の神と言われ、一年に一回出雲大社に全ての神が集まると言われている。
その神の司るものは、非常に多く
財産や愛情、果ては世界を司る神もいれば
長らく大切に使っている鍋や鏡のように日常に溢れているものにも神が宿ると言われている。
もちろん、神社仏閣で奉られている神も存在していることや、異教であればギリシャ神話でのゼウス、ヒンドゥー教のシヴァなどを合わせると世界には様々な神に溢れている。
みなさまは疑問に思ったことはないだろうか。
どの神が世界で1番強いのだろうか。
どの神が1番偉いのだろうか。
日本神話では天照が。
ギリシャ神話ではゼウスが。
ヒンドゥー教ではシヴァが。
人によって価値観が変わり
様々な考えや価値を見出して生きている現代で、神という存在は本当に超常的な力を持って存在しているのだろうか。
信仰が失われかねている世界で、その力は失われかねているのではないだろうか。
そんな前置きから始まるこの物語。
前置きはさておき
こことある神社でもそんな疑問を抱える存在での会議が行われていた。
「うちの主神が最強だって言ってんだろうがっっっ!!!!!」
目の前のテーブルに、拳を叩きつけ男がいう。
「やめましょう。ここにはそんな話をしに来ているわけではないのですから。」
筋肉隆々で高身長、その顔には幾度の戦さを乗り越えてきたというのか物語るように数多もの傷跡が刻まれている男がいかにも怒っていますと言わんばかりの様子の男を、隣に腰をかける男が宥める。
隣にいる男も筋肉隆々で、隣の男にも負けない体格の持ち主。だが、その顔には冷静な表情や嗜めるような口調から体格とは異なり非常に理知的な人物であることが窺える。
ここは日本。
現行11月24日の島根県にある出雲大社。
日本に存在する八百万の神が一堂に会して集まると言われている時期、そして場所での一幕である。
先ほどの男たちの周りには、様々な装いのものたちが溢れている。
不満を顔に浮かべ、侮蔑するような表情を浮かべるもの。
喜色を浮かべ、もっとやれと騒ぎ立てるもの。
我関せずと全く別の方向を見ているもの。
装いだけではなく、行動も様々な様子である。
「いきなりここに現れ、自分たちのの下に降れなんて言い草が通るわけないでしょう。最強だからいいってものでは無いのです。」
拳を叩きつけた男の隣の男が、男を宥めながら話す。
「はあ。では何様でこのようなことを。」
宥められて少しは冷静さを取り戻したのか、今度はもう片方の男が状況を語り出した。
今現在、世界では様々な宗教や信仰対象が存在している。
また信仰対象は信仰されればされるほど神格化され、神としての力や成り立ちとなっていく。
エジプト神話、日本神話、ギリシャ神話、ヒンドゥー教、人間から神格化されたものとなるとキリストやアダム、釈迦なども神格化されている1柱である。
そんな中、神や神格対象が増えすぎていることで神間での統率が取れなくなってきていると男は語る。
また神が存在する通称神界にも決められている範囲や、生存領域がある程度決まっており、それは各宗教ごとに割り振られている。
そんな中で宗教や神格、信仰対象ばかりが増えていくと今までかつてから存在している神々のどんどんと領域が狭まっていると男は話す。
領域が狭いのではれば、創造すればいいだろう。
そう考えるものもいるだろう。
元は星は超新星とか言われるビックバンから生まれたと言われている。
そして、生命が生まれ知的生物や人間が生まれた。
人間が生まれ信仰対象の神が生まれた。
神とはいえど、世界を無限に作れるわけではなく、世界の許容範囲内での創造しか行うことはできないのだ。
わかりやすく考えると携帯電話やPCが想像しやすいだろう。
データの保存容量が決まっていて、その中でアプリを使ったり写真を撮ったり保存したり。
その考えと程近いものであると言える。
容量が決まっている中で信仰対象は増えていけば、自ずと領域は減少していくと語る。
そこで、神々が考えたのが他の領域を奪えばいいと。
他の神々の領域を我が物にしたい神々が動き出しているとのこと。
神々が争うこととなれば、影響は神域だけでは留まらず、現実にも影響が出ることは間違いがないだろう。
現実に影響が出て、信仰する知的生物が消滅すれば神も一緒に消えてしまう。
そこで考えられたのが、知的生物に加護を渡し、加護の対象で争わせると取り決めがあったそうだ。
「そのような話は我が国では、説明がありませんでしたが。」
「その点は申し訳ないと思っております。」
眉尻を下げ、申し訳なさそうに男は話す。
対するは、白の着物を見に纏い頭部には輝かしい王冠の様なものを嵌めている女性。
「天照殿や日本の神々は集会を行なっている時期と分かっていながらも、北欧のオーディン殿やエジプトのバステト殿などが集結できるのが井いまの時期しかなかったのです。」
「はあ。そしてその話をヘラクレス殿とアレス殿が伝えにきてくださったと。」
「おいおい、そんな話があるかよ。てめえらで勝手に話し合って決めてきて、取り決めに従え。挙げ句の果てにはてめえらの指揮下に入れってか。」
話すのは、怒りゆえか体に雷が迸り今にも剣を抜こうと腰に手を据えている男。
「やめなさい、武甕槌。」
「だがよ!!わかった分かった。そう睨むなって。」
そんな武甕槌と呼ばれた神を制し、アレス、ヘラクレスに対し天照は話し出す。
「私達にも参加しろと言うことですね。私達の領域も害される懸念があるのは理解いたしました。私達の神の数が多いこと、人間での戦闘において数が有利であることを考え、私達八百万の神に目をつけたと言うところでしょうか。」
「隠さずに言うとそう言うことだ。分かったなら降れ。うちのゼウスが最強であると言っても人間を媒体にする以上、懸念は省いておきたい。」
天照は考える。
ヘラクレスの説明とアレスの申し出から、自身の媒体とできる人間を見つけ、力を駆使できるようになるまでの時間。
また会議から3日程度とはヘラクレスが言っていたが、時間の有利をとられている状況でのリスク。
軍門に降った上でのリスク。
「ヘラクレス殿やアレス殿の話は理解致しました。此度のお話はお断りさせていただきます。」
空は青々と、鳥たちも気持ちよさそうに飛んでおり雲ひとつない空を見上げている人がいた。
社会人になり早9年。
大学は勉強が嫌いといった理由から、進学することはなかったが親にせめて専門卒といった学歴はつけておいてくれと20から働き始め今年で30になる。
前髪は、目を覆うほど長くいわゆる黒髪マッシュヘアー。
視力が悪いのか、メガネをかけており反射するメガネを鬱陶しそうに外す。
装いは社会人としてのスーツを身にまとい、体格はガリガリ。
タバコを吸いながら、ただ呆然と空を見上げていた。
仕事めんどくせえなあ。
いかにもTHE社会人といった表情である。
別に楽しそうでもなく、日々憂鬱な仕事と上司に揉まれ、職場での同僚の愚痴聞きに花を咲かせ、どうして生きているのだろうと自問自答している。そんな表情だ。
彼女はおらず、派遣での仕事に従事する。
金銭面でも派遣での仕事を行なっているだけで、別に裕福ではない。
部屋も一人暮らしで、1K。
周りの友人はみんな結婚結婚と、自分は変わっていないからか1人取り残されていく様な気持ちに鬱が加速していく。
タバコとコーヒーで誤魔化しながら、パチンコで裕福を夢見る。
いわゆるダメンズ。
そんな男は、今日もいつも通りの憂鬱な仕事での休憩時間を過ごしていた。
今日の昼も金は使えねえから、菓子パン一個。
菓子パン一個で成人男性の胃袋なんて満たされるわけはないのだが、今後の生活を考えると妥協するしかないのが現状である。
昔と比べてみんな値上がりするし、生活費もバカになんねえなぁ。
考えれば考えるだけ頭がいたい。
やれ結婚しろ、彼女はいないのか。
貯金はできているのか。
両親は健在で電話があるたび、実家に帰るたびに急かされる始末で頭が痛いのに、追い打ちをかけるように自国での物価がどんどんと上がっていく状況に未来を諦め今のことだけ考える。
現実逃避しながら、男は生きていた。
あぁ、みんな死ねばいいのに。
そしたら俺の価値が上がって給料も増えるのに。
清々しいクズっぷりである。
パン一個買うにもケチケチしながら買わなきゃいけないほどの生活環境の男では、高価な嗜好であるタバコ。
吸い終わったタバコは、目の前の灰皿に落としタバコの入った箱を大切そうにポケットに戻す。
今度値上げしたらやめよ。
めっちゃ高いもんな。
絶対やめないであろう思考を挟みながら、胸ポケットにタバコの箱を戻した。
んっ????????
そこで奇妙な光がタバコの箱から、かすかに見えた。
タバコの箱にライター入れたままにしてたっけ。
今一度、自身のタバコの箱を取り出すと先ほど閉める時には見当たらなかったちっちゃな猪が赤くピカピカと光っているではないか。
おい誰だよ、人のタバコの箱をゴミ箱にしてやがるのは。
そんなことを思いながら(ずっと胸ポケットに入れっぱなしである)タバコの箱の奥で光る猪を取り出そうと摘む。
「痛い痛い痛いっ!!!!!!!!もっと優しく持たんか、馬鹿者!!!!!!」
光る猪を摘んだ瞬間、どこからか声が脳裏に響く。
その声??パワー??はキンキンと頭に響く様な声。
こんなガキみたいな声のやつ、職場にいたっけな???
周囲を見回すも、自分以外にタバコを吸っているのは腹のデプっとでたおじさまばかり。
気のせいかと思い、そのまま猪へと意識を戻した。
その瞬間にちっちゃいキーホルダーぐらいの光る猪は、その牙で摘んでいる指に噛みついた。
「いってぇな、おい!!!このキーホルダー動くのかよ!!!!!」
「そんなわけがないだろう、たわけ!!!!!キーホルダーではないわ!!!!」
咄嗟に摘んでいた指を放し猪を捨てようとしたものの、猪の方が一歩行動が早く、いつの間にか男の肩の上に猪は乗っていた。
肩から聞こえる声と、動く光る猪に唖然とする。
猪って喋るんだっけ?
猪って光るんだっけ????
猪ってちっちゃいんだっけ??????
自身の肩の上にいる猪を何度見ても、光っているちっちゃい猪である。
はあ、現実が嫌になりすぎてついに幻覚を見るようになったかなぁ。
有給もついていることだし、しばらくいいもの食ってパチンコでもして息抜きかな。
「おい。」
今日の飯は、久しぶりに焼肉でも行こうか。
一人焼肉も、食べたいもんいっぱい食えるから楽でいいよな。
「おい!」
寿司もいいな。
卵にえんがわに茶碗蒸し。
日本酒でキュッとやるものいいな。
「おい!!!!!!聞いているのか!!!!!!」
現実逃避も理解が及ばないことが続きすぎると、体からシャットダウンするらしいってどこかから聞いたことがある。
そんなことを考えながら、目は白目をむいて泡を吹いて倒れたことを後々、病院で目を覚ました時に聞いた。
・・・・・・・・・ここは・?・・・・・
目を覚ますと、目に入ってくるのは白を基調に点々の黒の模様の入った病院の天井だった。
病院の天井って、俺、仕事してたんじゃなかったっけ。
考えながら、辺りを見回しても普通の病院の一室である。
周りには、点滴を受けている男性や女性がおり、6人ぐらいが収容されている部屋のようだ。
仕事をしていて何か事故にあった様な記憶もなく、いつも通り普通に休憩してタバコを吸ってぐだぐだとしていたような記憶がある。
ただ、休憩中の記憶を思い出そうとするたびに思い出せないような思い出したくないような、そんな体が拒否をするようにモヤのかかった部分が気に掛かる。
気持ち悪りぃ。なんかあったっけな。
心を落ち着けるために、ふとポケットのタバコに触れるが病院内であることを思い出し、ポケットから取り出すのを諦めた。
「やっと起きたのか、待った待ったぞ。」
なんだ、この声。どっかで聞いたことがあるような。
非常に自身の感覚として、不快な印象を受ける声が脳裏に響く。
そんな子供が病室にいただろうかと、周りを見回すも周りにいる病人の中には子供はおらず、また見舞いなども見当たらない。
「ここだ、お主の胸におるだろう!」
胸にいるだと・・・っ
再び脳裏によぎる声に、モヤのかかっていた記憶が少しずつ鮮明になっていく。
確か、タバコを吸って。
吸い終わって、灰皿に捨ててタバコをしまおうとしてたんだっけ。
胸ポケットに箱をしまったら、タバコの箱がピカピカ光って。
気になって開けたら、猪??のキーホルダーがあって。
キーホルダーに噛まれて。。。。
キーホルダーに噛まれた?????
キーホルダーって噛むんだっけ???
記憶は鮮明になっていくものの疑問が残る状況だった。
自身の記憶の中では、キーホルダーに噛まれて意味がわからなすぎてブラックアウトしている。
噛んでくるキーホルダーなんて訳のわからないゴミを、俺のタバコに入れたのはどこのどいつだと腹を立てるものの難解な状況にふと意識を戻す。
「また倒れられても敵わん。仕方がないか。」
難解な問題を解くかのような、難しい顔をしながら胸を見まいと現実逃避をしている男を尻目に胸の猪は胸からベットの横へと回転をしながら飛んでいった。
すると、なんてことでしょう。
ボフンっ!!!といった音とともに、白い煙に猪が覆われたではありませんか。
勘弁してくれっ!!!
病院内でボヤ騒ぎを起こしたなんて、言われたらめんどくさいだろう!!!!
周りを確認しても、周りでは煙が見えている様子も慌てている様子もない。
しばし1人で慌てているうちに、煙がどんどんと晴れていく。
晴れていく煙の中から出てきたのは、小学校低学年か下手したら幼稚園ぐらいの女児であった。
ボヤ騒ぎの次は誘拐かよ。
俺の罪がどんどん増えていくんだが。
周り奴らは、全く気づいてもいないし。
どういうことなんだって。わけわかんねぇ。
頭を掻きむしりたくなる気持ちを抑え、煙から出てきた女児に意識を戻す。
見た目は、ちっさいガキであること以外に目立つところと言ったら真っ赤に燃えるような髪、髪は後ろで一本に結えられ、その根本には煌びやかに光る金色の鈴が目に入る。
装いは年末年始に神社のアルバイトが着ている様な、巫女の格好といえば伝わるだろうか。
ガキのコスプレとか誰得だよ。
てか、こんな子供にコスプレさせて病院とか親は何考えてやがんだよ。
最近の親はなんでもありだな、名前はキラキラしてんのかなとか考えつつ女児に声をかける。
「どうしてここにいるんだい??親御さんはどこにいるのかな。」
「母上はここにはおらぬ。やっと話ができそうだ、このたわけめ!!」
もっと早く話ができるはずだったのに、、、、
このたわけが見た瞬間気絶なんぞ、訳のわからん行動をするから、、、、
ぶつぶつ文句を言っているガキを見つめ、頭の中で状況を整理していた。
この子は時代劇大好きなのかなとか、設定が作り込まれていて頭のいいガキなんだなとかは置いておいて。
意味不明な状況すぎて、????が頭の中でいっぱいである。
中のいい奴らの子供は、みんな遠方におりすぐに来れる距離ではない。
となると、仕事場の同僚が子供を連れて見舞いに来たというシナリオが濃厚か。
「お父さんはなんていう名前かわかる???」
「父上はいえぬ。ええい、我はそんな話をしたいのではないわ!!!!」
自身より小さい子供に馬鹿にされ、果てはどこから取り出したのかもわからないハリセンで頭を叩かれる始末に困惑もさておき、腹が立ってくる。
ふと気づけば、周囲の注目は自身に集まっており困惑の表情や、どこか怖がるような目線を向けられていた。
「まぁ、このような状況になるであろうな。病院には屋上があるのであろう。誰もいないところで話をしたい。ついてこい。」
起きて間もない状況であるにも関わらず、手を引かれて屋上へと引っ張られていく。
あのちょっと待っていただいてよろしいでしょうかっ!!
点滴が抜けるんですけど!!!!
必死の抵抗も女児の力は非常に強く、成人男性が抵抗しているにも関わらずそのまま連れて行かれる始末である。
必死に点滴が繋がれている棒は引っ張っていった。
おいおい、ガリガリだって言ってもそろそろ30の大人だぞ!!
誰が三十路だって!!うるせえ!!!
てかてか、チカラつよっ!!!!!!
あっという間に、病院の屋上へと連れて行かれた。
病院の屋上からの眺めは、住まいを構える東北の都市で普段日常を過ごしている街を軽く展望できる様な場所であった。
「で、ここまで引きずってきて何を話したいっていうことなんだい??」
「順を追って話そう。」
そう言って、摩訶不思議女児は今までの経緯や自身の状況。
そして俺が巻き込まれている内容を詳しく語り始めた。
女児の名前は、火の眷属であると語る。
火の眷属での個別での名称は存在していないらしい。名所がないと不便だと伝えると、勝手につけてくれとのことだったのでウリボーからウリと名付けておいた。
ここからはウリちゃんとさせてもらおう。
まずはこの世界には、神という存在が確かに存在しているらしい。
成り立ちとしては、人間や知的生命が神という存在を信仰し始めることで神は生まれるのだという。
この存在は、普段は神域という領域に住まいを構えていること。また、常人では認識できる存在ではないことから神を見たという存在はおらずそのために、伝承のみの存在になっているのだという。
そんな生まれの神は、日本だけではなく伝承の数だけ神は存在し伝承や信仰が増えれば神は生まれるのだという。
神という名称上、超常的な存在は確かに多いが祀られれば昇華するものもいるそうで、人間から神にと言った存在もいるそうな。
そんな神様たちが自分の土地(神域)の領地を確保しようと揉めている。
神間で揉めるとやべえので、人間を使おう。
人間でバトルだ。
うし、人間を探そう!!
な状況らしい。
それで戦いにおける素養のある人間に声をかけまわっていると。
戦いにおける素養とは、神をその身に宿せるのかのフィーリングらしい。
頭の弱い私では、理解できる範疇に限界がある訳なのだが大体そんなもんだと呆れた目でうなづかれた。
重要な戦いの方式や場所はどうなっていくのかというと
神域と神域は繋がっているとのことで、戦いの場所自体は神域での戦いになっていくとのこと。
日本で歩いていて後ろからグサっと行かれるという可能性は、なきにしもあらず。どうやら、選抜された人間は選抜した神間では感じ取れるようで、近くにいればわかると。
神域で戦うもあり、事前にぐさっもあり。
おいおい、勘弁してくれ。こちとら生まれてこの方武道なんて、部活でかじった弓道と授業の柔道ぐらいだって。。。
「で、その神域にはどうやっていくもんなんだい。」
「世界には我らのような眷属や使徒が神域への門を開ける場所が存在している。それは、ここ日本でいう神社仏閣や他宗教であれば教会などが当たる。そこの場所へいき、我らが神域へ干渉すれば自ずと扉が開く様になっておる。」
神域へアクセスできる建物は、どの宗教のものでも神域へのアクセスができるとのこと。
例えば日本神話でも教会からのアプローチができるし、逆に北欧神話でも寺からのアクセスができるとの話だ。
じゃあ、近くの神社からアクセスした後、別の神社や寺などから出ることができるのか聞いたところ、それも可能らしい。
「それじゃあ、どこから敵が現れるのかわからないってことだ。」
「その通りだ。肝心な戦い自体は、選抜されたものには選抜され了承した時点で、神の加護や神の力の一端が目覚める様になる。無論、複数の神より力を賜るものもいるだろう。その力を使って、相手に負けを宣言させる、相手が存在しなくなるのどちらかを満たせば勝利となる。」
よって、殺しもよし。降参もあり。
それ以外は問わないというなんでもバトルなんだそうな。
「基本は神域内にも現実での闘技場やコロッセオに近い舞台は存在しているため、そこで面と向かっての戦いになると取り決められている。だが、その場に現れることができなければ不戦勝といった勝利になるために、裏での行動も注意が必要だ。」
基本的な情報は以上になるとのこと。
戦いは、まずは宗教ごとの選抜戦。
各宗教や神話ごとに5人まで選抜してくること。
選抜方式は各宗教ごとに自由にしていいこと。
現在からおおよそ1年後にトーナメント方式で各宗教、神話ごとに争う予定になっていくこと。
最終的に順位の高いものから、神域での領域範囲が決まっていくらしい。
順位の低い神域は徐々に狭くなっていき、領域が与えられなかったものは最終的には神としての存在自体が抹消される可能性もあるとのこと。
神域があってこその神ということなんだろう。
神が消えるということが現実に及ぼす影響として、進行する対象が消えると進行している人類も一緒に消滅するというおまけ付きだ。
これは信仰するものたちがいる限り、存在してしまう
存在すれば、過剰に増えた信仰や神の問題が解決しない。
神域問題はそのままになる。
といった状況を避けるための措置らしい。
「つまりは、日本神話がなくなれば下手したら日本人が消滅するということかい?」
「認識の通りである。」
なんでそんな重要なものに選抜されるかなぁ。
日本での神の総数は八百万の神と名称があるように、非常に多く複数の神より力を賜れる可能性がある以上、有利であるとのこと。ただ、何柱の神からのものを使えるか否かは、人間の容量次第と話していた。
おい、俺でいいのか。そんな重要な舞台で。。
「そんなこんなで素養のある人間に声をかけている。早く用意をして選抜をしなければ、我々神の眷属や神といえども消えかねない状況だからな。」
「いやそんなこんなと言われてもなぁ。俺にそんな力があるとは思えないし、了承次第もう参加って形になるんだろう??そんなすぐには決められないよ。俺にメリットもあるとは思えないし。」
非日常は憧れていた。
小説のヒーローのように選ばれて、みんなの日常を守るために戦うヒーローだって、俺最強系の小説だって。
ただ現実に起こると鼠講か何かのような疑って信じられなくて、リスクを考えて前に進めない。
そんな心境に陥るなんて思っても見なかった。
「力の程度に関しては、正直なところ与えてみないと判断ができない部分は多く、我々でもどの程度と説明をすることはできかねてしまうが。メリットはある。」
ウリちゃんは語る。
神といえども全ての事象に干渉できるといったものではないと。
ただ最終的な勝利時に、自身に加護を与えてくれていた神の範疇で自身の望みを叶えてくれるとのことだ。
それは例えば冥界に関しての能力を持つ神であれば記憶を持ったままに輪廻転生やら、過去に干渉できる神であれば記憶を持ったまま過去に転生とか。
時空や空想に関しての神とあらば、物語の世界に転生とか。
俗にいう今の自分の人生とは異なる人生を謳歌する。
金がめっちゃ欲しいのであれば、財運の神に望むとか。
かのドラゴンの7つの玉くらいにとは行かないが、それでも多くの選択肢から1つ望みを叶えてくれるとのこと。
そして代表者5人が全て残っているのであれば、人数分しっかりと保証してくれるという。
「それと言っておくが、我らの話ている声も我らが行う事象も周りの人間には認識できないことは伝えておく。ただ神の加護や能力を使って起こす事象は、視認できるし現実で使えば現実でも使用できる旨も事前に伝えておく。」
おい。道理でさっきから周りの目線が痛いやつを見るような視線なわけだよなぁ。
まぁお決まりと言えばお決まりだから、薄々察してはいたけれども。。
そこのガキ、人を指さして厨二病のおじさんじゃないよ。
お母さんは見ちゃいけないものじゃないんだよ???
この状況全て、見えないことにしてくれないだろうか。
現実なんて非常に退屈である。
嫌な上司にペコペコと頭を下げ、金のない現実に現実逃避し、飯を食っていくだけの人生。
あぁ、俺も頭おかしいかもな。
非日常という響きに。
選ばれたという響きに。
こんなに嬉しくなっている自分がいるんだからおかしいんだろう。
死ぬかもしれない、自分に多くの命の責任が乗るかもしれない。
そんなことを言われても、現実味もわかず少しのワクワクだけが自分の中から、湧き出てくる。
「やってもいいかもな。非日常。」