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欲しかったモノ  作者: 彰子
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見えないモノ②

書いていると、日本語の難しさを実感します。

夏に近づいている事を感じるくらいの暑さの中を、自転車で最寄り駅へと向かっていた。

今日は余裕がある事で、気持ちにもゆとりがある。

駅の駐輪場に自転車を止めて改札前でいつものように友人を待っていた。

改札を通る人は急いでいたり、スマホをいじりながらゆっくりと通る人もいた。

私も友人を待つ間、スマホで時間を潰していた。

乗る予定の電車の発車時刻まであと5分。

そろそろホームへ移動しておきたいのだが、肝心の友人が来ない。

何をやってるんだアイツは、と思い連絡しようとした時、走ってくる1人の女子高生を発見。

制服を見ると同じ学校。

間違いない、友人だ。




「ゴメン!ギリギリになっちゃった!!」




息を切らせて私の前に来た人物こそ待っていた友人、尾張高校(おのはりこうこう)進学学科 1年 小早川 鈴(こばやかわ すず) 16歳。

明るく誰にでもフレンドリーな性格から、友人の多い子。

彼女とは高校で知り合い、友人となった。

高校で行われた、1年生の親睦を図る目的で行われたレクレーションで同じ班になったことがキッカケ。

それから、お昼を誘ってくれたり、誘ったり。

今では登校は彼女と一緒が日常となっている。

無事、電車に乗ることが出来、遅刻することなく電車は学校の最寄り駅へと走っていた。






本日最後の授業の終わりを告げるチャイムが校内に響いた。

背伸びをしながら解放感に浸っていた。

そこへ来た(すず)




凰華(おうか)さ~ん、相談があるんだけどぉ…。」




だいたいの予想はつく。

机に頬杖をつきながらため息交じりに答えた。




「掃除当番でしょ?」

「よくお分かりで!さすが我が友人♪」




やっぱりね‥。

大方、片思い中の《彼》を誘い、放課後デートでもしたいのだろう。

つくづく行動派だな、と思う。

友人の勇気ある行動を邪魔することはできない。

仕方ない、引き受けてやるか。

了承を伝え、ウキウキしている(すず)を呆れながらも、羨ましく思っている時、教室のドアが開き、(すず)が思いを寄せる《彼》が登場。




「お前ら、今から帰り?」

龍也(りゅうや)先輩! |凰華(おうか)は掃除当番なんですよ♪」




嘘をつくな、嘘を…。

本当ならアンタだろう。

《彼》の正体は、尾張高校(おのはりこうこう) 2年 小林 龍也(こばやし りゅうや)

私の幼馴染で家族ぐるみでの付き合いだ。

見た目は幼馴染の私から見てもかなり良い方だと思うし、性格も優しく友人も多い。

運動もよく出来る方で、現在はバスケ部のエース。

見た目良し、性格良し、運動神経良し。

もうこれは、神は与えたもうた…ですよね。




凰華(おうか)、掃除なのか。」

「うん、まぁね。だから2人で帰ってよ。」

「2人で?」




龍也(りゅうや)の後ろで私に向かって、親指を見せる。

何がグッドだ…。




「う~ん、じゃあさ、掃除手伝ってやるから一緒に帰ろうぜ。」




…え…?

コイツ空気読めてない。

思わぬ申し出に固まる私と(すず)

作戦は失敗に終わった。






結局は全員で掃除をすることになり、終始ガックリとうなだれた(すず)を見ていると、全く悪くないはずの私が申し訳なくなる。

最後の机を元の位置に戻し、掃除は無事に終了した。

それぞれ帰り支度をすると、学校を出る。

帰宅途中、龍也(りゅうや)の提案でカフェにより談笑した。

カフェを出る頃には、すっかり暗くなっていた。

よほど楽しかったようで、(すず)は顔が緩みっぱなし。

そんな様子を見ていると、私の気分も柔らかくなるようだった。

笑っていた(すず)が突然、足を止めた。




「どうしたの?」

「…ねぇ、ここに神社ってあったかな?」

「え?」




(すず)に歩み寄り、視線の先を見ると、確かにそこは古びた神社がポツンと佇んでいた。

ただ辺りが暗いせいもあり、不気味な雰囲気がある。

よく通る道だが、全く気付かなかった。




「ほんとだ、全然気づかなかった。」

「だな。俺も初めて見た。」




どうやら全員が同じ感想のようだ。

でも何故今まで気づかなかったのだろう。

この小さな神社は、まるで1人寂しく誰かを待っていたかのように見える。

私は1つの提案をした。




「ねぇ、せっかくだからお参りしてみない?」

「まじか!?」




声は出していないが(すず)も私の提案に驚いている。

そこまで驚かなくても…。

なんだか祀られている神様が淋しそうに思えてならない。

龍也(りゅうや)の一言が沈黙を破る。




「…挨拶だけでもしとくか。」




これが、私たちの『時間』を狂わすキッカケとなる。



まだまだ続きます。

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