妄想と現実の脆い境界線
「なあ、直江、うち泊まらない?」
「いやなんでだよ」
「いやさ、俺たちこれから練習で青春なんて潰れるじゃん、だからさ、泊まることで青春を取り戻そうぜ!」
「ダウト、お前ただ単に朝起きれないだけだろ。」
「そっそそっそんなわけないじゃないか・・・」
「じゃあ青春何割?朝起きるの何割だ?」
「うっ・・・セイシュンニワリ、オキルノハチワリ・・・」
「そんなことだろうと思ったよ・・・まあ、仕方ないな泊まってやるよ。」
「え?まじ?!ありがとう〜じゃあ土曜日まで泊まっていってよ」
「土曜まで?!お前それは長すぎじゃないか?木、金、土、と今日合わせて3日間って」
「いいじゃん!」
「いや、お前の親とか大丈夫なのかよ」
「そこはご安心を、俺の親、日曜まで帰って来れないらしい。なので夜飯代貰ってます。」
「用意周到だな・・・」
「ねぇ、だから一緒にいてよ!そんで家事手伝ってよ!」
「おまえ・・・俺に家事もさせようとしてる?」
「決まってんじゃん、そのために誘ってるんだよ!」
「だめだこいつ・・・」
(夏祭りまで残り3日)
「カレーって煮込むだけでこんなに美味くなるの凄いよな。」
「急にどうしたの?」
「いやさ、他の料理って隠し味入れたり、ひと手間入れたりして美味しいって言わせるのに、カレーって時間さえあればどれだけでも美味しくなる、最強じゃないか?」
「カレーだって、ひと手間はいるわよ?隠し味だっているし、唯一無二のカレーを作らないとカレー屋なんて即刻潰れるわよ。あんた本当にこの店の店長?」
「あんなのひと手間に入んないだろ。」
「あんたがそう思ってるなら、他の料理人だって、同じこと思っているわよ。」
「そんな訳ないだろ。」
「やっぱ、カレーのことになると狂っているわね。」
「なんだよそれ、俺はそこまでカレーバカじゃねぇって」
「じゃああんた、もしも不死身の体を手に入れたら何するの?」
「カレーを煮込む」
「やっぱ、バカじゃん。」
(夏祭りまで残り2日)
「あんたさ、夏祭り何で行くの?」
「何って、普通に私服だけど?」
「なによそれ!私服って、はぁー」
「いやそんなため息つかれても・・・、なに?浴衣でも着てけって?あんなのまず家にないよ。」
「はぁー、聞いて呆れるわ、好きな子と一緒に夏のひとときを過ごせるのに?私服??最近の浴衣だったらね、ほらこれ。」
「ん?なになに・・・?着付け小物、諸々込みで2500円?!・・・って安いの?」
「安いわよ!ほら見せたい相手がいるならさっさと申し込みなよ!」
「うーん、どうしよっかななー・・・って好きな子?」
「うん、どっちかが好きなんでしょ」
「あんた、潰すよ」
「なんでよ!?好きなんでしょ?好きだったら男とまず行かないでしょ!」
「あんた・・・私の人脈を知ってそう言ってるの?」
「人脈って・・・友達っていいなさいよ、えーっとあたしと・・・直江君と・・・」
「もういい、悲しくなる、そう私は何故か3人しか友達がいないの、あとはカレー屋のマスターぐらいなの!」
「カレー屋のマスターってそれはただ単に常連だからでしょ。」
「もしもね、あんたが行けたら一緒に行ってたわよ。あんな奴らほっておいて!!」
「いや、仕方ないじゃん、その日は帰省するんだから。お土産買うからさ、ね、許して!」
「もう・・・!」
(夏祭りまで残り1日)
「あれ?あれれれ?嘘だろ?!」
勉強をする気は全くもって微塵もないのだがクリアファイルの紙を整理するために机に向かったはいいが、事件はその整理で見つけた夏休みの宿題の一覧表だ、これさえ見なければ俺は知らぬ間に夏休みを過ごせたのに。
「うーわっ、まじかよ、漢字のワークを普通学校に忘れるか?」
漢字のワークを忘れたのである、数日の俺をぶん殴れるなら今殴っている、今なら壁に叩き連れられるな、
しかし、普通の有象無象のプリント類ならまだ忘れても、どーでもいいや〜、って捨てるのによりによって漢字のワークというのがタチが悪い、
というのも、うちの担任は何故か国語の担当であり、終業式の前にうちのクラスのみ始業式に集め、しかもそれで忘れたら課題を増やすと言う鬼畜っぷり、もっと追い打ちをかけるとすると、範囲がバカみたいに多い、普通にキレる、いやキレた。
嘘だろ、嘘だって言ってくれよ・・・まあ本当でしょうね、
まだ掃除の初めの方ならまだまだ、一応ない希望を抱けたのに、本当の最後にやったせいで自分の部屋には漢字のワークがないことが確定で分かっている、てか掃除に3日かかったっていうのも大分やばい気がする。
「今はまだ朝の9時か、夏祭りの集合は5時だ、よし、今日の午前は取りに行って、午後から夏祭り、よし!完璧!」
やることが決まったら、俺は行動は早い、はずだ、
とりあえず着替えて・・・そのあと・・・
「1時間かかったな。」
俺はクーラーという楽園から太陽の光という地獄へ落とされた、いち早く学校へ向かわないと死ぬのは確実だろう、生憎俺は自転車を持っておらず、歩いて学校を向かわないといけない、まあ近いからなんでもいいんだけど、
「あっち〜、よくあいつらは外で練習できるよ。」
俺は公園で子供がサッカーをしている姿を見ながら、その子供を賞賛した、俺だったら家だな。
コンビニ、横断歩道、なんかよくわからない店、カレーショップフェニックス、俺はそんないつも通りの横目に歩くと、最近までいちいち朝早くまで起きて向かっていた学校が見えた、ゴールまではあと少し、
俺は部活動の人達用の入口から入ると、遠くで陸上部が走り込んでいた、直江もいる、よくやるよ。あいつ今日夏祭りだろ?
「おっ、あいてる」
夏休みということもあり、いつもは3つの扉の中で全部空いているが、さすが休み1つしかあいていない、
俺のクラスは2ー3だ、俺は階段を2回上がると、3階の自分のクラスについた、
「扉は・・・まあ、あいてるわけないな」
俺は扉を横に引くがその扉はビクともせず鍵がかかっていた。普通なら入れなくて絶望ってなるが、俺の学校は自分のロッカーが廊下にあるのだ。
俺は鍵がかかっていることを確認すると自分のロッカーへ向かった、俺のロッカーは鍵がかかっていない、いや厳密に言うとかけていない、本当はかけなければいけないが、めんどくさいが勝ち、かけていない。
「さぁ、魔境の時間だ。」
俺は自分のロッカーを開けると、使わない教科書類が積まれており、奥の方にはぐっしゃぐしゃになった、プリントが見える、取らないけど、理由は簡単、だるいから
「お、あった」
さっきまで、魔境と思っていた探索は案外早く終わってしまった、なぜなら1番上に積んであったからだ、積んであるなら持って帰れよって思ったのは内緒だ。
しかし、案外早く終わってしまった、家から出てまだ30分も過ぎたか怪しい時間だ。
「まあ、いっか」
俺は自分のカバンにワークを入れるとチャックを閉じ、一応のため、もう一度ロッカーを確認すると、ロッカーの扉を閉じた。鍵はもちろん閉めない。
「帰りますか・・・」
「なんで!」
俺はその声に心臓が止まりかけた。
「え?なに?」
聞こえた声は2ー1だ、だけど廊下にはいない、とりあえず俺は声の主を調べることにした、まだ聞こえるな
「なんで!なんで!俺だけ日常を掴ませてくれないだよ!」
「何言ってんだこいつ」
「奇跡の一つや二つ起きてもいいじゃん!」
「おい、そこのお前、うっさいんだ・・・・よ?」
俺が注意をしようと2ー1へ行くとそこには黄色い帯が張り巡らされていた、だけど声の主は教室の中にいた、そしてその声の主は、
「お願いだよ!もう何を捨ててもいい、だから、俺のわがまま聞いてよ!叶えてよ!頼むよ!」
「俺・・・?」
そこには俺がいた、チョークで円を描き、その真ん中で叫んでいる俺、
そしてもう1人の俺の声が枯れてきている
「だからさぁ・・・頼むよ・・・」
「おいあんた、なにしてる・・・っ!!」
頼むよ・・・そう言った瞬間彼、いや目の前の俺が消えた。
全くの謎、不可思議だ。
「消えた・・・?!こんなことありえない・・・ありえない・・・?うっ・・・」
頭痛が走る、なんだ、俺の中で俺じゃない記憶がある。
自我を保て、俺は、俺は、俺は、俺は?
「あれ・・・俺、名前なんだっけ」
俺は急いでさっきしまった漢字のワークを取り出した、
「はぁ?・・・名前がない・・・?」
漢字だからだろ?他は?他だ!
俺はさっきのロッカーに向かって一心不乱に自分の教科書を漁った、名前なし、名前なし、名前なし、名前なし、名前なし、名前なし、名前なし。
漁る度に頭痛が入る、まるで思い出しちゃいけない思い出を思い出を引きずり出しているような・・・
「くそっ!こんなクソ教科じゃ書いてないのも当然だ!家だ!家!」
俺は1段飛ばしで下をおりると走って校門から出た
「あれ?ピリオドじゃん」
俺はさっき、直江がいたような気がしたけど、俺は聞く耳を持たず、走った、よく音が聞き取れなかったが、多分「おっ、」ぐらいだろ。
「おおっ、早っ、ん?ピリオド?ピリオドってなんだ?英語の表現?」
カレーショップフェニックス、なんかよくわからない店、横断歩道、コンビニ、俺は行きより3倍早く帰ってこれた、よし、親はいる、これでわかる!
ガチャ!!
でかい音で扉を開けると、上がりまくった自分の息をなだめながら、リビングへ向かった、扉を開けると、母親は俺の行動に驚いている様子だ、そんなのどうでもいい!!
「ええ?!ちょっと?!どうしたの??」
「母さん!はぁ・・・はぁ・・・、ひとつはぁ・・・聞いていい?俺の名前ってなに?」
「あんたの名前?!」
やっと知れる、
「 ?」
「え?」
「 でしょ、あんたの名前」
「えー、あーそうだったごめん、ごめん」
「ほんとにどうしたの?あんた、今日おかしいよ」
「ごめん、ごめん」
ああ、今のではっきりした、俺は名前が、無い、多分
自分の部屋に戻りながら息を戻しながら考えた、
なんで俺の名前だけ分からない、なんでだ?親は確実に言っていた、だけど俺の名前の時だけ口パクだった、なんでだ・・・なんでだ?
「なんで俺だけ、名前がないんだ・・・」
「それはな・・・ここが、記憶の中だからな。」
「そして君が自分の名前を覚えてないだけ。」
「はぁ?!なんだよこの声?!」
「やっぱり忘れてる」
「忘れてる、忘れてる」
この声はどこから?どこなんだ?
「おい、お前らはどこにいる?!」
「ここだよ、ここ」
「ここだねぇ」
「はぁ?!まさか、そんなわけ、フィクションじゃあるまいし。夢だ、これは悪い夢」
「おっ、あたり、そうこれは悪い夢」
「やっと見つけた、僕達のリーダー」
そんなわけない、まさか、まさか、石が喋るなんて
「「久しぶり、"ピリオド"」」




