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仕事が終わるまでスマホを見れなかった。
忙しくてではなく、不安で。
「お疲れさま、がんばれ。」
同僚が肩をポンッと叩いた。
「うん、ありがとう。」
私は、会社の自分の席に座ったまま、
鞄からスマホを取り出した。
画面は真っ暗。
だけど、着信や受信等を知らせる光が
ピカピカと小さく点滅している。
恐る恐る、横にあるボタンを押す。
画面が明るくなる。
[ライン、新着メッセージあり。]
通知を確認してドキッとする。
ラインのアプリを開く。
かえで、だ。
[まり、ラインありがと。ごめん。]
"ごめん。"
その言葉で、終わっていた。
もう、会えないの?
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ…ん。
誰も居ない、会社で私は、かえでに対して
何度も声に出しながら謝った。
かえで、傷つけて、ごめんなさい。