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あなたに、であえて。  作者: たけ ゆう。
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3

「お疲れさま、飲み行く?」


席を立ちながら、同僚が言った。


「お疲れさま。ううん、今日は帰る。」


「分かった、また明日。」


「うん、また明日。」


会社から出てバス停まで2、3分。

今日、あった事を振り返る。


ライン…来てるかな。


バス停前に立つ。

鞄からスマホを取り出す。


右横にあるボタンを押す。

真っ黒だった画面が明るくなる。


[ライン、新着メッセージあり。]


そう通知がきていて、少しだけ緊張しながら

画面をトンッ、とタップする。


[元気?今日、荷物送ったからね。]


あの子、"かえで"じゃなかった。

母から。


[うん、元気。ありがとう!]


そう打って送信した。


……送って、みようかな。


[こんばんは]


後の文章が思い浮かばない。



考えていると、バスが来てしまった。


乗車して座る。

暗くなり始めている街をボーッと眺める。


ー((ブルブル))


鞄に入れたスマホが震えた。


母からの返信かな。


ラインのアプリを開く。


母の場所には受信のマークは付いていなかった。


あれ?


かえでの場所にマークが付いている。


ふぅ…、

息を吐いて開く。


[こんばんは(^_^)]


ん?


よく見るとさっき打っていた文章が送信されていた。


やってしまった。

ラインの画面をそのままの状態にして、

鞄の中に入れてしまっていた。


急いで返信を打つ。


[こんばんは。ごめんなさい。]


[なんで、謝るんですか?]


[あの…、文章を考えていて、"こんばんは"だけ、

送ってしまいました。]


[ダメなんですか?それだけじゃ。]


[何か他に会話しなきゃいけないのかと思いまして。]


[あまり深く考えないで送ってもらって、いいですよ。

普通に話しするみたいに。]


[それで、いいんですか?]


[はい、いいですよ。…ところで、1つ提案があるんですけど]


[なんでしょう?]


[あの、敬語、やめませんか?]


[はい、すぐには難しいかも、しれませんが。]


[それで大丈夫。あの、年齢を聞いても?]


[25です。]


[同じじゃん。]


[え、そうなの?]


[敬語やめてくれた。笑]


驚いて思わず。


[驚いちゃって。]


[明日も、いつもと同じバス?]


[うん、そう。]


[分かった、じゃあ、また明日、バスで。]


[また、明日。]


ライン上での会話が、終わった。



同じ年齢。

また、バスで。



乗車した時とは違う、

楽しい気持ちでバスを降りる。


明日、気になっていた事が聞けるかな。


少し、ワクワクした気分で自宅の鍵を開け、入る。


「ただいま。」


誰も居ないけど、言いたくなった。








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