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欲しいもの
おれは目を覚ます前に、男の神様の声が聞こえた気がした。
あなたが無人島に一つだけ持っていくとしたら何を持って行きますか?
俺は悩んで答えた。
井戸
です。
そうして神様は答えてくれた。
井戸の場合、屋根とレンガと滑車はあるが、桶はないので頑張るのじゃぞ。
ケチだなって思った。
そして目が覚めた。
俺の脳内には、井戸があるだろう場所がなんとなくわかった。
俺は、男Àと女Aと一緒に、森の中に歩いていった。
「男Aは、なにを願ったんだ?」
そう聞き、一瞬?を浮かべたが、ピンときたようで、
「そりゃもちろん、ナイフだよ!無人島といえばばナイフだよな」
と、同意を求められても困る。
そう言って、30cm程度のナイフを手にクルクル回している。
井戸にしたおれは、おかしいのだろうか。
「女Aは、なにを願ったんだ?」
女Aは、少し罰が悪そうに、
「スマホかな、急に言われて、あんま思い浮かばなかった」
そう言って、スマホを手にしている。
スマホは本人のもののようで、幸い電源は入るようだが、電話やネットは使えないようだ。