【07】狂気の産物
※若干、読みにくい部分がありますが仕様です。
俺の名前は死愚魔光輝。
十六歳。
空間能力者。
Sランクだ。
サラサラとした黒髪。
よく女に間違われる中性的な顔立ち。
小柄な体躯だが筋肉はほどよくついている。
アニメも好きだしラノベもよく読むがオタクではない。
そんな俺はあるとき、俺の通っていた学校に通学を行うと、そんな教室で見知らぬ巨乳の女に話しかけられた。
『死愚魔くん、おはよう!』
光輝はびっくりし、その娘の美しさに驚いた。
何故なら俺の考えでは、その女は、とても美しい美少女だったと思ったからだ。
サラサラとした黒髪。
艶やかな唇。
良くとおった鼻筋。
大きな瞳。
バストは98ぐらいはありそうな大きさで豊満な巨乳だった。
お尻もムチムチしていて、太もももムチムチしているが、ウェストはしっかりとしまっている。
そして驚いた事におっぱいがムチムチしている。
それでいて小柄で胸が大きいのに小さな可愛いメス犬のように可愛く巨乳である。
見ているだけでそそるし、良い香りがする。
ちなみに下着は上下ともに白で、パンティには可愛いリボンがついているが、その事を光輝は知らない。
しかし、俺は女などには興味はない。
俺は紳士だから彼女をそういう目では見ないのだ。
その美しい巨乳がとても美しい瞳で俺を見つめている事に光輝は気がついた。
俺は紳士だから何なるべく失礼にあたらないように巨乳から目をそらして言う。
『俺の名前は死愚魔光輝』
『私は綺羅星魅零だよ♪』
その瞬間にたわわな巨乳がぷるんと揺れた。
同じクラスのリア充グループの巨乳美少女でクラスの女子の中で一番の巨乳である成績優秀で文武両道な人気者の綺羅星魅零だった。
やれやれ。魅零のヤツ・・・クラスでは目立たないフツメンの俺になんのようだろうか・・・・
光輝は心当たりを探ったが、俺にはさっぱり解らなかった。
光輝は考え続けた。
すると、前世の記憶を思い出す。
それは俺と虹川の前世である女神アシュタルテの泣ける真実の物語であった・・・・
『ああっ、光輝・・・愛してる。好きにして』
魅零が突然に光輝に抱きつく。
バスト98が当たっている。
驚愕し動揺し赤面し頬を赤らめてびっくりした紳士の俺は驚いた――
「なんっっじゃこりゃああああああっ!」
桜井梨沙は、頭をかきむしりながら絶叫した。
茅野循が物凄い勢いでノートに書かれたその小説に突っ込み始める。
「視点ブレッブレ! 一人称か三人称かはっきりしろ! あとオタクかどうかなんて知らないし、どうでもいいわよ! それから最初に『見知らぬ女に話しかけられた』ってなってるのに、後から『同じクラスの~』って、どういう事!? 設定までブレてるし。ヒロイン即落ち過ぎ! そもそも、虹川って誰?」
そこに桜井も乗っかる。
「あと、巨乳、巨乳、しつこくてキモい!」
「……ていうか視点ブレさせてまでヒロインの下着の描写するな!」
「キモキモキモキモ……」
しかし、何だかんだ言いつつ二人は他のノートも手に取る。
因みに“AL.AZEF”というのはやはりスペルミスだったらしく【0042】からは修正されて“AL.AZIF”になっていた。
そんな訳で桜井は『AL.AZEF【0019】』を……茅野は『AL.AZIF【0115】』を、 それぞれ読み始めた。
俺は闇落ちした義和に向かって叫んだ。
『貴様! 何故、魅零をッ!!!』
義和はニヤリと笑う。
『光輝。お前には解るまい……俺の気持ちが……』
『お前の……気持ち……だと……』
『そうだ。俺は何時もお前に嫉妬していたのさ』
俺は驚く。
『俺はずっとお前が羨ましかった。お前の才能が妬ましかった。お前は俺から自信というものを奪っていった』
『待てよ! 俺とお前は親友だったはずだ』
『そうさ……だから、俺は、お前にとって一番大切なこの女を奪ってやったのさ』
そう言って義和は石化した魅零の頬をそっと撫でた。
『ここでお前を叩きのめし、何もできないお前の眼前で、この石になったお前の女の頭部を砕いてやる』
『貴様! やってみろよッ!!!』
『良いぞ!!! もっと本気になれ!!! 死愚魔光輝!!! 次元能力者のお前と石化能力者の俺……どっちが上か……目に物見せてくれる』
『うおおおおおっ!!!!』
光輝が突っ込む。
『最初から本気でいかせてもらうッ!!!!!』
『こいッ!!!!!!』
『空閃流七十七式奥義! 究極真殺絶対審判ッ!!!!』
ドッカーン!!!!!
しかし、煙が晴れるとそこには――
『フハハハッ! その程度か死愚魔光輝よ』
和義は無傷だった。
『何……だと……?』
俺は驚いた。
「ちょっと上手くなってるけど、まだビミョー。ていうか、主人公が死愚魔光輝でヒロインが綺羅星魅零なのに、ライバルキャラが高田和義て……フツーの名前すぎ」
桜井が飽きれ果てた様子で言った。
そして、茅野の読んでいた『AL.AZIF【0115】』は……。
振りおろされた英雄の剣は、残酷城の謁見の間の石床を容易く砕いた。
俺はそれより一瞬だけ早く飛び退いて距離を取る。
剣閃に合わせて衝撃波が走り、床を砕きながら後方の石柱を粉砕し壁に大穴を空けた。
……まともに食らっていたら、ここで終わっていた。
その焦燥を出来る限り顔に出さないように、俺は右手の対能力者用魔銃のスライドを引き、弾倉から薬室に弾丸を放り込む。
すると、闇の百八神将の第七位暗黒聖騎士のシュヴァルツェ・ドラッケンが不敵な笑みを浮かべた。
「どうした? シグマコウキ。この程度で臆するようなら貴様の選択は間違っていたという事なのだ。初めから組織に逆らうべきではなかったのだ」
「五月蝿い! 俺は……愛する者の為に……散っていった友の為に……ここで退く訳にはいかないのだ!」
……正直怖い。
相手はあの第七位だ。
“一桁の者たち”は、単騎で並行世界をひとつ滅ぼせる戦闘能力がある。
俺程度では、到底およばない。
しかし……。
「俺は、負けないッ!! ウオオオオオオッ!!」
「来い!! 万物魔王様に楯突く愚か者に死をッ!!」
こうして、俺と第七位の絶望的な戦いの火蓋が切って落とされた――
「まあかなり文章は上達してはいるけど……これはこれで、変な方向にこじれてるわ……。ていうか敵の幹部が百八人もいたり、並行世界を滅ぼせたり、インフレ感が半端ないんだけれど……」
茅野はげんなりとした様子で言った。
「ねえ、循。これを書いたのは志熊さんなんだよね?」
「多分、そうね」
「これを見られたくなかったのかな?」
桜井がいたたまれない表情で言った。
「きっと、そうなんでしょうね……」
茅野は沈痛な面持ちで答える。
「ねえ」
「何かしら?」
「これ……どうしよっか」
茅野は桜井の問いかけに、鬱々とした溜め息を吐く。
窓の外は既に日が落ちかけて、薄暗くなっていた。




