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report 穴仏集落跡
県央の山間に所在する。
二〇〇九年に多数の死傷者を出した火災のあとに、住人が途絶えて打ち捨てられた。
火災は、集落に住んでいた老夫婦による焼身自殺が原因であると言われており、この老夫婦の住んでいた鹿田家跡には、彼らの亡霊が出現するのだという。
また集落の奥にある岩壁には、血の涙を流すと言われる石仏が存在する。
現在、くだんの石仏は夥しい苔に覆われており、丹念に探さなければ発見は困難であるという。
この手の血の涙の正体といえば、目の窪みに溜まった雨水で異常繁殖したケラチア菌が精製する色素であるというのが一般的な解釈である。
しかし、一方で、かつての集落には、石仏の中に封じられた鬼が流す涙であるという伝承が伝わっていたのだという。
また、この石仏の前で憎んでいる相手の事を口にすると、石仏の中の鬼が同情して、その人物に災いをもたらすという噂もあるが、真偽のほどは定かではない。
危険度ランク【B】